変わらない星の美しさと、戻れなくなった家族の時間。ドラマ『銀河の一票』第10話で黒木華がたどった記憶
次回で最終話を迎えるドラマ『銀河の一票』(毎週月曜 午後10:00~/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。その第10話が6月22日に放送されました。
大物政治家の父・鷹臣(坂東彌十郎)の不正を疑ったことで秘書の仕事も家も失った星野茉莉(黒木華)が、出会ったスナックママの月岡あかり(野呂佳代)に都知事選への出馬を打診するところから始まったこのドラマ。
第9話では、都知事選告示日に向けて立候補者たちの動きが活発化。あかりの陣営“チームあかり”は、参謀・雲井蛍(シシド・カフカ)が掲げた、告示日の1日で都内の全掲示板に選挙ポスターを貼り終える無謀な計画「告示日当日全掲示板制覇」が、ボランティアの協力もあって現実味を帯びます。こうして迎えた告示日当日。あかりは、これまで自分を支えてくれた茉莉と共に演説の壇上へ上がりました。
第9話では、都知事選告示日に向けて立候補者たちの動きが活発化。あかりの陣営“チームあかり”は、参謀・雲井蛍(シシド・カフカ)が掲げた、告示日の1日で都内の全掲示板に選挙ポスターを貼り終える無謀な計画「告示日当日全掲示板制覇」が、ボランティアの協力もあって現実味を帯びます。こうして迎えた告示日当日。あかりは、これまで自分を支えてくれた茉莉と共に演説の壇上へ上がりました。
『銀河の一票』第10話 野呂佳代
そして今回の第10話。SNSを活用した戦略や、レジェンド声優・白鳥光留(日髙のり子)が選挙カーで“ウグイスさん”を務める話題性、ボランティアの力強いサポート、そして茉莉とあかりによる一人一人に耳を傾ける姿勢が評価され、支持率も徐々にアップ。与党の民政党が後押しする日山流星(松下洸平)や対抗馬であるAI企業社長・風間藍生(梶裕貴)が優位な状況は変わりませんが、あかりは4番手につけます。そんな中、茉莉は、父親である民政党幹事長・鷹臣との関連が疑われる医大の学部長の転落死をめぐる手紙の真相にも近づいていくことに。
『銀河の一票』第10話 松下洸平
『銀河の一票』第10話 梶裕貴
星空を見ると泣きそうになる
物語が佳境に進むにつれてエモーショナルな展開が続いている、ドラマ『銀河の一票』。筆者は第9話で、風間が「人の力やがんばり」に心が動かされる姿を見てジーンときたのですが、この第10話の内容にも再び目頭が熱くなりました。
筆者の感情を揺さぶったのが、茉莉とあかりが星空を見るために高台へ行った場面です。あかりは、星空を見上げて「泣きそう」「ならない? きれいなものを見ると」と言います。ちなみに筆者も年齢を重ねるにつれて、星空や自然を見て感動を覚えることが多くなりました。人それぞれだと思いますが、筆者は10代、20代のときはそうした感覚はまったくと言って良いほどありませんでした。「いつでも見ることができるだろう」という気持ちがあったのかもしれません。「もっとおもしろいものが世の中にはある」と考えていたようにも思います。
でも、今は違います。私たちは常に新しい技術やサービスに囲まれて暮らしています。しかしその一方で、目まぐるしい変化に疲れを覚えることもあります。いろんなものが失われたり、後退したりするところを日々、見かけます。そんな中、いつの時代も変わらない星などを見ると、その神秘性に心が奪われます。「いつでも見ることができる」がどれだけ美しく、そして貴重なものなのか。そうしたことに気づくようになってきました。
そんな思いもあり、あかりの「泣きそう」「ならない? きれいなものを見ると」という言葉は、ここまでの放送回を通してもっとも共感できるところがありました。
筆者の感情を揺さぶったのが、茉莉とあかりが星空を見るために高台へ行った場面です。あかりは、星空を見上げて「泣きそう」「ならない? きれいなものを見ると」と言います。ちなみに筆者も年齢を重ねるにつれて、星空や自然を見て感動を覚えることが多くなりました。人それぞれだと思いますが、筆者は10代、20代のときはそうした感覚はまったくと言って良いほどありませんでした。「いつでも見ることができるだろう」という気持ちがあったのかもしれません。「もっとおもしろいものが世の中にはある」と考えていたようにも思います。
でも、今は違います。私たちは常に新しい技術やサービスに囲まれて暮らしています。しかしその一方で、目まぐるしい変化に疲れを覚えることもあります。いろんなものが失われたり、後退したりするところを日々、見かけます。そんな中、いつの時代も変わらない星などを見ると、その神秘性に心が奪われます。「いつでも見ることができる」がどれだけ美しく、そして貴重なものなのか。そうしたことに気づくようになってきました。
そんな思いもあり、あかりの「泣きそう」「ならない? きれいなものを見ると」という言葉は、ここまでの放送回を通してもっとも共感できるところがありました。
『銀河の一票』第10話 野呂佳代、黒木華
ふとしたことで変化する家族の幸せ
そしてなにより切なさがあったのが、茉莉が星空を見上げながら振り返った子どもの頃の記憶です。当時、父親の鷹臣、亡き母親の瑠璃(本上まなみ)、幼なじみの流星とキャンプへ行った茉莉は、眠れずにテントを抜け出して天の川に向かって走ったのだそう。そこで迷子になってしまったのですが、いつも身に付けている電球のペンダントが手掛かりとなり、発見されます。探し回ってくれた瑠璃、鷹臣、流星と合流し、見上げたのが銀河。そこでの4人のやりとりはとても温かく、まさに“家族”でした。
茉莉の記憶の中にある“家族”は、みんなの心がちゃんとつながっていました。しかし今は瑠璃が亡くなり、流星とは都知事選で戦う立場になるなど因縁が生まれ、鷹臣とは疎遠に。それぞれが自分の信念の道を行くあまり、“家族”がバラバラになってしまったのです。
自分たち“家族”はなぜそうなってしまったのか――。茉莉のそんな気持ちが伝わってきます。星の美しさは古来より変わりません。でも家族のあり方は、ふとしたことで変化してしまうもの。美しい過去を、遠くへと追いやってしまう“現実”がとても切ないですよね。
茉莉とあかりは、夢中で、楽しくて、きれいなまま最後まで行くような物事は許されるのか、そんなのは夢じゃないかと語り合います。実際に茉莉にとっては、“あの頃”の家族の幸せは続きませんでした。どれだけ願っても取り戻すことができなかったのかもしれません。星空の普遍的な美しさと、私たちの現実。第10話ではその対比が描かれたことで、変わらないものの尊さと、変わってしまうものの切なさがより際立っていたように感じられました。
茉莉の記憶の中にある“家族”は、みんなの心がちゃんとつながっていました。しかし今は瑠璃が亡くなり、流星とは都知事選で戦う立場になるなど因縁が生まれ、鷹臣とは疎遠に。それぞれが自分の信念の道を行くあまり、“家族”がバラバラになってしまったのです。
自分たち“家族”はなぜそうなってしまったのか――。茉莉のそんな気持ちが伝わってきます。星の美しさは古来より変わりません。でも家族のあり方は、ふとしたことで変化してしまうもの。美しい過去を、遠くへと追いやってしまう“現実”がとても切ないですよね。
茉莉とあかりは、夢中で、楽しくて、きれいなまま最後まで行くような物事は許されるのか、そんなのは夢じゃないかと語り合います。実際に茉莉にとっては、“あの頃”の家族の幸せは続きませんでした。どれだけ願っても取り戻すことができなかったのかもしれません。星空の普遍的な美しさと、私たちの現実。第10話ではその対比が描かれたことで、変わらないものの尊さと、変わってしまうものの切なさがより際立っていたように感じられました。
『銀河の一票』第10話 野呂佳代ほか
文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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