磯村勇斗×𠮷田恵輔監督が語る映画『mentor』──「‟新感覚シネマトラクション“を楽しんで」【インタビュー】
左から、𠮷田恵輔監督、磯村勇斗さん(2026年10月、カンテレ)
俳優の磯村勇斗さんと、Aぇ! groupの末澤誠也さんがダブル主演を務める映画『mentor』が2026年10月16日(金)に全国公開されます。少年時代に花火遊びで火事を起こし、過去にとらわれたまま大人になった龍之介(磯村)と拓海(末澤)、そして、その火事で妻子を失い、自身も大やけどを負った埜本(綾野剛)。3人のいびつな関係を軸に、人間の心の奥に潜む「業」を描きます。監督・脚本を手掛けるのは、「人間の業」を描くことに定評のある𠮷田恵輔監督です。完全オリジナル脚本で描かれた本作について、磯村さんと𠮷田監督に話を聞きました。
■𠮷田監督がオリジナル脚本にこだわる理由
──この映画の着想のきっかけは?
𠮷田監督:きっかけとなる事件自体は20代の時に思い浮かんでいたのですが、技術的な問題もあって、ずっと寝かし込んでいました。「そろそろやるぞ」と思ってノープランで書き始めました。一時は「3人で鳥人間コンテストに出る」という話を書いたりして迷走しかけましたが(笑)、「絶対違うな」と気づき、紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、最終的に「嫌な人間の集まり」という作品になりました。
──磯村さん演じる龍之介の役は当て書きなのでしょうか?
𠮷田監督:基本的に当て書きはしません。まず書いて、キャストが決まってから微調整していく感じです。磯村くんレベルのスターは、何を書いても基本的にうまくはめてくれます(笑)。
──オリジナル脚本にこだわる理由は?
𠮷田監督:自分の「濃度」が上がりますし、自由度も高いからです。それに、長いエンドクレジットを見たとき、自分が思いつきで決めたことによって、大勢の人の人生が動いているという実感があり、それが楽しいです。原作ものだと自分以外の監督でも成立するかもしれませんが、オリジナルは多くの人を巻き込んでいる感覚が面白いですね。
■磯村「今、自分がやりたかったジャンルだ」
映画『mentor』の一場面 (C)2026「mentor」製作委員会
──𠮷田監督の脚本を読んだ時、どう感じましたか?
磯村:めちゃくちゃ面白かったです。𠮷田監督の作品にいつか出演したいと思っていましたし、笑えて皮肉もあり、直感的に「今、自分がやりたかったジャンルだ」と感じました。龍之介という人物を後半どう崩していこうか想像が膨らみ、すぐにやりたいと思いました。
──龍之介は、アーチェリーのオリンピック日本代表候補。吹き替えなしで臨んだアーチェリーシーンが印象的でしたが、練習はどのようにされたのですか?
磯村:監督から「なるべく早く(アーチェリーに)触れておいたほうがいい」と提案していただいたので、オファーを受けた1年前から体作りを始め、半年前からアーチェリーの練習に入りました。最初は至近距離でフォームを練習するばかりで、すぐには打たせてもらえませんでした。実際の距離で打てる場所も少ないので、的の真ん中を狙う練習を集中して行いました。
左から、𠮷田恵輔監督、磯村勇斗さん(2026年10月、カンテレ)
──アーチェリーは難しかったですか?
磯村:普段使わない筋肉を使いますし、指の動きや肩の力み、呼吸一つでぶれてしまうので非常に繊細で難しいです。毎回同じフォームと呼吸を決めなければならず、毎日何百本も打っているプロの方々を心から尊敬します。
──じわじわと忍び寄る脅威に対し、龍之介がフラストレーションをため、やがて爆発していく内面の表現は、どのように意識されましたか?
磯村:フラストレーションをそのまま演じても、映像では見えづらいため、仕草や目線、ちょっとした違和感やズレで「今たまっているな」と伝わるよう意識して演じました。
𠮷田監督:撮影順がバラバラな中でイライラの段階をピンポイントで作って表現できていたのは、彼の感覚の良さだと思います。
──人間の心の奥のゆがみを掘り下げる描写が多い理由はなぜですか?
𠮷田監督:単に性格が悪いのかもしれませんが(笑)、人の言葉選びや仕草など「今の言い方は前の言葉にイラついたのかな」といった細かい部分が気になり、電車でメモを取ったりします。ニュースで事件を見たときも、単に「頭のおかしい人」で片付けず、「どういう精神状態でこういうことをしたんだろう」と自問自答して深く掘り下げるのが好きなんです。
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