絵本の魅力「へびのニョロリンさん」(富安陽子×長谷川義史)
2025.01.13
この作品は「こニョロちは」「ニョロしくおねがいします」といった不思議な“ニョロ語“を話す礼儀正しいへびのニョロリンさんとおばあさんのほのぼのとした物語。
文は富安陽子さん、絵は長谷川義史さん。お二人とも大阪在住の作家です。
先日、大阪・梅田のホテルで発刊を記念した刊行記念スペシャルトークが開催されたのでお邪魔してきました。
左:長谷川義史、右:富安陽子
2025年1月
なかでも参加者が興味津々だったのは、絵本が仕上がる過程のお話。
長谷川さんが案の段階の作品を掲げつつ、それを絵本作品に完成させていく過程を説明すると、会場からは感嘆の声がもれました。
富安さんは「もともと原稿用紙2枚程度の短編として発表した作品でした。へびのキャラクターが面白かったので絵本用に書き直したのですが、へびの絵となると担当する長谷川先生は大変だなぁと思っていたところ、最初に見せていただいたものが、もうすでに愛すべきのんきなニョロリンさんになっていて感激しました」と語ると、長谷川さんは「もともと僕はへびが怖くてね…。なんで僕やねん、って思いましたけれど。描くにあたり動物園でへびを触らせてもらいましたし、写真もたくさん見ました。今は好きかも(笑)」
左で長谷川さんが掲げるのがラフ案、右で富安さんが持っているのが完成版
2025年1月
「へびのニョロリンさん」刊行記念スペシャルトーク
大阪市北区(2025年1月)
絵の具を絞って下絵なしに模造紙の上に筆で色をのせていき、時折富安さんと面白トークをしながら、大胆に「トメばあさんとニョロリンの散歩」を仕上げていきます。
長谷川さんの、家族で回転すしを食べに行った時のちょっとしたエピソードが絵本になった体験談や、小学生から「僕はサッカーをがんばるから、富安さんは文をがんばってね」といった手紙をもらったエピソードなど、二人のユーモアあふれるトークで場内は常に笑いがあふれていました。
長谷川義史(画家)2025年1月
「へびのニョロリンさん」(童心社)
すでにこの絵本を手に取ったおとなたちからは「ニョロ語にはまりそう」「穏やかな余韻が心地よい」「おばあさんとニョロリンさんのやりとりにほっこり」といったレビューがネット上に寄せられています。
また、2025年1月14日(火)から2月10日(月)まで、ジュンク堂書店 近鉄あべのハルカス店(大阪市阿倍野区)にて「へびのニョロリンさん」原画展が開催されます。貴重な原画を間近で見られるチャンスですね。
東京生まれ、大阪育ち。「人を幸せにするほらは、吹いてもいい」という家訓のもと、幼少期から父や叔母から、たくさんのおはなしを聞き、自身も空想好きな少女となる。大学在学時より児童文学作品が出版社に採用され、そのまま作家となる。『クヌギ林のザワザワ荘』(あかね書房)で日本児童文学者協会新人賞・小学館文学賞受賞。「ムジナ探偵局」シリーズ(童心社)、「シノダ!」シリーズ(偕成社)、「妖怪一家 九十九さん」シリーズ(理論社)、「博物館の少女」シリーズ(偕成社)など、著作多数。
長谷川義史(はせがわ・よしふみ)
大阪生まれ。2000年に絵本作家デビュー。『おたまさんのおかいさん』(解放出版社)で講談社出版文化賞絵本賞、『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)で日本絵本賞・小学館児童出版文化賞、『あめだま』(ブロンズ新社)で日本絵本賞翻訳絵本賞受賞。「いいからいいから」シリーズ(絵本館)や、『へいわってすてきだね』(ブロンズ新社)など、ユーモラスな作品から社会派絵本まで、さまざまなテーマに取り組んでいる。絵本ライブも全国各地で行い、幅広い世代の人気者。第2回やなせたかし文化賞を受賞。
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