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京都五社のひとつ「松尾大社」で重森三玲の最晩年の傑作庭園を楽しもう!

2023.11.01

京都五社のひとつ「松尾大社」で重森三玲の最晩年の傑作庭園を楽しもう!
東の“賀茂の厳神”と西の“松尾の猛霊”!?
「東の賀茂、西の松尾」という言葉がありますが、これは、“賀茂の厳神”と“松尾の猛霊”のことを指し、二神は平安時代に都を守る神として、人々に尊ばれてきました。松尾大社は、“松尾の猛霊”と呼ばれる酒造りの神であるが祀られています。また、方角を司る四神(北の玄武、東の蒼龍、南の朱雀、西の白虎)が守護する“四神相応の地”として作られた平安京にゆかりのある神社「京都五社」の一つであり、“西の白虎”に相応する神社です。
日本を代表する庭作家・重森三玲(しげもりみれい)の最晩年の傑作が見られる!?
日本を代表する作庭家である重森三玲(しげもりみれい)の最晩年の傑作庭園「松風苑」【曲水(きょくすい)の庭・上古(じょうこ)の庭 ・蓬莱(ほうらい)の庭】が見られます。今回は特別に松尾大社 権禰宜 (ごんねぎ)の岩田康彦さんに「松風苑」を案内していただきました。
青石の顔と日差しに注目!曲水の庭(きょくすいのにわ)
荒々しい青石とくねくねと曲がっている水の流れが特徴の庭です。入り口側から庭を眺めると、まるで怒っているような表情の青石たちが迎え立ちます。通常は、進行方向と逆方向に水を流すところ「曲水の庭」は進行方向と水の流れる方向が一緒。すべての青石が怒った表情をしているので、そこに逆方向に流れている水が合わさると心が疲れてしまうからだそうです。
この庭でもっとも大事なのは“日差し”。庭は石組と水と木がワンセットですが、この庭には高木類が全くなく、非常に開放感があります。庭全体に降り注ぐ光が丘 や水面をより美しく浮立たせます。曲水の真ん中を通る様に置かれている青石は、平安時代の遊び「曲水の宴」の盃に見立てています。
太古の神話を体現!上古の庭(じょうこのにわ)
「曲水の庭」とは全く異なるタイプの庭で、松尾大社の背後の松尾山の磐座(いわくら)【現在は磐座登拝は廃止されています】にちなんで山下に造られました。一面に覆われた丹波笹の中に渦状で点在する岩石たちはまるで石器時代のような太古の雰囲気を感じさせます。
最上段の二つの巨石は、松尾大社の御祭神、大山咋神(おおやまぐいのかみ)と市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)であり、写真の右側にある斜め向きの石は二神が天から舞い降りてくる様子を表しているそうです。
最初で最後の親子合作!蓬莱の庭(ほうらいのにわ)
蓬莱の庭は、重森三玲が作図し、長男の重森完途(しげもりかんと)が作庭した生涯唯一の親子合作です。庭を一周してみると、青石の配置に重森三玲らしさの遺志を感じると同時に、石の形が曲水の庭や上古の庭とは違って上品さが際立っていて、重森完途のこだわりもしっかり伝わってきました。
大きな池を囲う木々と空のコントラスト、青石の絶妙な配置が安心感を与えてくれます。時がとまって いるかのような錯覚をしてしまいそうです。静けさの中で流れる滝もまた鑑賞ポイントの一つです。一日中ぼーっと しながら永遠と眺めていたいなと思っていたら、すぐ近くに茶所 があったということを後から知り、すごく後悔しました。「蓬莱の庭」が気に入った方は、ぜひ茶所 にもお立ち寄りください。
庭園を拝観するなら、ペットボトルが必須!?
「上古の庭」を過ぎて、順路を進むと「亀の井」という霊泉が見えてきます。お酒の神様が祀られていることで有名な松尾大社。その昔、松尾山の湧水を用いてお酒を仕込んだところ、一日にして出来上がったという逸話があり、延命長寿、よみがえりの水としても有名なことから、酒造家のみならず、多くの人が「亀の井」の水をくみに来社されます。
この機会を逃すまいと、空きのペットボトルにお水をくんで家に持ち帰りました。残念ながらお酒は造れないので、ドリップコーヒーのお水として使用させていただきました。おいしいコーヒーにもおいしい水は必須ですからね!
嵐山最強パワースポット!霊亀の滝(れいきのたき)
実は密かに人気を集めているという「霊亀の滝」。足を踏み入れると、空気がまるで違うというのですが、半信半疑でいざ柵を越えると、風は全く感じられず、澄んでいる空気を吸った途端、「本当に空気が変わった!」と思いました。 奥に進むと、段瀑(だんばく) の滝が見えてきます。不思議な亀が現れ、時の元正天皇がこれを瑞兆 (良いことが起きる前兆)として「霊亀 (れいき)」(715〜717年)に改元されたという伝説が残っている滝です。
松尾大社の神使のひとつが亀なだけあって 、境内の至るところに亀がいます。手水舎(てみずや)にも「亀の井」にも「蓬莱の庭」にも亀がいる …!子どもと一緒に亀探しをするのもまた一つの楽しみ方ですね。
神輿庫(みこしこ)の酒樽は必見!地元の銘柄が見つかるはず!
ちなみに、拝殿の左側にある神輿庫を飾る酒樽。100以上すべて違う銘柄の揃っている酒樽の光景は圧巻です。 地元の銘柄を見つけて写真を撮るのが松尾大社参りのもう一つの楽しみになっているそうなので、ぜひ探してみてください!
“西の白虎”に相応する松尾大社の白虎の御朱印をゲットせよ!
松尾大社に来社される際にぜひゲットしていただきたいのが、「白虎の御朱印」(500円)。白虎が描かれた御朱印は珍しくないかもしれませんが、ここは“西の白虎”に相応する松尾大社。これは外せません。他季節限定の御朱印もあるので、御朱印巡りの方は要チェックです!

アクセス

住所:京都府京都市西京区嵐山宮町3
拝観時間:午前9時~午後4時(平日・土曜)、午前9時~午後4時30分(日曜・祝日)
拝観料:大人 500円、学生 400円、子ども 300円(庭園・神像館共通)
公式HP
miyoka
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