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食で巡る万博スペイン館のレストラン、全19地域を舌で体験

2025.05.01

食で巡る万博スペイン館のレストラン、全19地域を舌で体験
歴史的・文化的背景や言語の違い、さらに地理的要因に基づいて17の自治州と2つの自治都市で構成されるスペイン。各地で食される料理もそれぞれ特徴的なのですが、なんせ日本の国土の約1.3倍の面積があるため、旅行ですべてを食べつくすのは至難の業です。

現在開催中の大阪・関西万博の海外パビリオンのひとつ・スペイン館では日本との国交の歴史などが展示されるほか、レストランが併設。なんと19すべての土地の料理をギュギュッとまとめたコース料理もあり、ここだけでスペイン1周旅行を体験できてしまうというので、お店にお話を伺いました。

■ 複雑な歴史で育まれた、スペインの多彩なグルメ

「スペインは地域ごとに特徴があるんです。海が近い都市は海鮮がおいしく、エストレマドゥーラ州はお肉がたくさんある。バルセロナのあるカタルーニャ州にはパリパリのカラメルがトッピングされたクレマカタラーナも」と話してくれたのは、同レストランを取り仕切る平山仁さん。

メニュー自体がバリエーション豊かな理由を尋ねると、「アンダルシア州はイスラム支配の時代があって、キリストの時代があって、逆にヨーロッパを支配するスペインの時代があったり、でもバスクはずっとバスクだったり、カナリアはアフリカにある島でここもスペイン…、ミックスしてますよね」と、人種や宗教が入り乱れたスペインの歴史に背景があると教えてくれました。

レストランではアラカルトでピンチョス盛り合わせやオリーブ、デザートにチュロスなどがメニューに並び、スペインビールやサングリアといったドリンクの種類も豊富。パビリオン展示に加えて、舌でもスペインの歴史と文化を学ぶことができるようです。

■ 17自治州と2自治都市の料理を食べつくす

なかでも注目は、郷土料理をタパス(小皿料理)とピンチョス(串料理)にした「スペイン17自治州・2自治都市のピンチョス、タパスが食べれるコース」5,500円(取材時点では1日50食限定)。本来大皿に盛られるメニューが小皿でひとつずつ出され、スペインの郷土料理19食をすべて楽しめます。

平山さんは、「本町でバスク料理店をやってるのですが、バスクは独特な一部の地域。今回スペインパビリオンでスペイン料理を提供してくださいと依頼いただき、エリアを絞らず完全に国全体でやろうと、お店で出していなかったメニューも開発しました」と話されました。各メニューに少しずつコメントいただいたので、一覧でご紹介します。

1.アンチョビとクリームチーズのトースト(カンタブリア州)
 「海の水が冷たくてアンチョビが美味しい地域です」(平山さん/以下同)
2.ガスパチョ(アンダルシア州)
 「スペインでも一番南の暑い土地で飲まれる冷たいスープ」
3.ムルシア風サラダ(ムルシア州)
 「自家製のツナと卵をスペインのレタス・コゴジョに乗せました」
4.ジャガイモとモホピコン(カナリア諸島州)
 「カナリアではどの料理にもついてくるちょっとピリ辛のパプリカのソース」
5.モルシージャのコロッケ(カスティーリャ・イ・レオン州)
 「豚の血を使ったソーセージを練り込んだコロッケ」
6.タラとジャガイモのアタスカプラス(カスティーリャ・ラ・マンチャ州)
 「ピューレみたいな料理を小さいタルトに乗せました」
7.パドロンピーマンのフリット(ガリシア州)
 「パドロンはガリシア地方のピーマン(ししとう)の種類です」
8.ヒルダ(バスク州)
 「どこのバルでもおいているヒルダ。あんちょぴ&唐辛子酢漬け、オリーブの酢漬け」
9&10.魚介のフリット(セウタ&メリリャ/※モロッコにあるスペイン領の自治都市)
 「現地でフリットは、ワサっと出てきます」
11.ホワイトアスパラガスのパンタパス(ナバーラ州)
 「生ハムのピンチョスです」
12.ソプラサーダとマヨルカのチーズのパンタパス(バレアレス諸島州)
 「生みたいにレアなチョリソーにチーズを合わせました」
13.マッシュルームとエビの串焼き(ラ・リオハ州)
14.マドリッド風もつ煮込み(マドリード州)
 「これも現地ではもっと大皿で出てきます」
15.イベリコ豚の串焼き(エストレマドゥーラ州)
16.クレマカタラーナ(カタルーニャ州)
 「スペインのクリームブリュレです」
17.カブラレスチーズとシードルのキャラメル(アストゥリアス州)
 「ブルーチーズとりんごのお酒のシードルキャラメルソース」
18.オルチャータ(バレンシア州)
 「カヤツリグサのジュース。日本ではあまり見かけませんが、夏場によく飲まれます」
19.フルーツとチョコレート(アラゴン州)
 「洋梨とチョコ」

■ 実は大阪の名店が運営、スペインお墨付きの郷土料理

平山さんがオーナーを務める前出のレストランは、大阪のスペイン料理といえば必ず名前の上がるエチョラ(大阪市西区靱本町)。2010年にオープンし、今では梅田と本町の系列店合わせて3店舗で営業し、スペイン関連のイベントも行われるほどお墨付きの料理店です。

平山さんは、「初めてのチームで、やっとだいぶと慣れてきました。お客さんは1日300人超え。みなさんたくさん見て回りたいので、料理をお出ししたらサッと食べられます。エチョラでは、こんなペースでやったことがないので…」と万博への出店は想定外の連続のようです。

基本は系列店からのヘルプのため、オーダーは日本語の通じるスタッフが対応。安心できる一方で、現地で食事する雰囲気が味わえないかと思いきや、結構お客さんにもスペインの方が多いらしく、スペイン語で話しながら食事をしている様子はさながら現地のレストランのようだとか。

同店舗はパビリオン展示に入場せずとも利用可。パビリオン横通路の突き当りに位置し、営業時間は夜21時まで。

スペインバスク料理 ETXOLA(エチョラ)の公式サイトはこちら

■ 良心的と話題のビールなど、完売必至のショップ

レストラン出口からすぐのエリアは、パビリオンのショップ。オリーブオイル、ワイン、ビール、ミネラルウォーター、オリーブ、オリジナルグッズなど約50種類が販売されています。

酸度が最高品質の0.1%で鮮度が高く健康に良いオリーブオイルや、スペインの代表的メーカーのミネラルウォーター、ワイン、オリーブの瓶詰、アンチョビ、オリジナルグッズが並ぶなか、お店の方が「人気でなくなっちゃって」と話すのがスペインのビール・マオウ(缶330ml・380円)。

「通常の赤いパッケージもですが、ライトボディなセッションIPA(450円)がかわいいデザインで人気です。値段的にも『スペインは良心的だ』と噂になってるようで、まずはスペインにビールを買いに行こうとなってるみたいです」と、取材時点では残念ながら欠品でした(随時入荷予定)。

また、ステッカーやTシャツ、マグカップといったオリジナルデザインのかわいいグッズも。どれも人気で欠品の場合があるようで、入荷後すぐに売れ切れるピンクボトルのミネラルウォーターなど、どれも店頭で目に入ったら即ゲットです。

■ 黒潮をテーマに、どっぷりと深海に潜り込む展示

最後にパビリオン展示の内容もご紹介します。意外と忘れがちなのが、スペインはほぼ海に接している国。パビリオンの外観が「海の青と太陽」をイメージして作られているのと同様、館内も黒潮によって日本とスペインがつながった歴史などを紹介する「海のエリア」と、オレンジ色の光りに包まれて暖かい「太陽のエリア」で構成されています。

海のエリアはサンゴ礁を模した休憩場所もあり、大型ビジョンに映し出された映像を見ながらゆったりと休まれている姿が見られました。一方、太陽のエリアは、ポストカードとデジタルコミュニケーションを対比した展示。音楽がガンガンに流れていて、深海を漂っているような前室とは真逆で、スペインの文化や自然などの多様性を感じる展示でした。
ちなみにパビリオンは予約不要で、入口の大階段は「自由に休んでくださって結構です」と広場をイメージしたオープンスペース。中に入らずここで座って休んでも問題なく、誰にでも開かれているのがスペインらしいです。なお、最上段のスペースにはイベントステージもあり、不定期でイベントも開催予定。

スペイン館の公式サイトはこちら
https://www.accioncultural.es/en/ExpoSpain2025
https://www.expo2025.or.jp/official-participant/spain/

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miyoka
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