梅雨シーズンを迎え、雨の中しっとり咲くアジサイの花。関西には、紫陽花(アジサイ)が美しいことで知られる寺院が数多くあり、色が移ろうアジサイは、仏教の「諸行無常」を感じさせる花でもあります。
その中でも、日本最古の巡礼道「西国三十三所観音巡礼」の奈良県霊場である壷阪寺(つぼさかでら)、岡寺、長谷寺(はせでら)と、今年から、この3ヶ寺とゆかり深い室生寺(むろうじ)加わってパワーアップした奈良県中南和エリア4ケ寺をつなぐアジサイ巡り『大和観音 あぢさゐ回廊』は注目です(2025年7月6日(日)まで)。
壷阪寺と紫陽花
西国三十三所観音巡礼の六番札所であり、盲目の沢市とその妻お里の夫婦愛の物語・人形浄瑠璃「壺阪観音霊験記」で知られる壷阪寺(奈良県高市郡高取町)。ご本尊は十一面千手観音様で、「眼病封じのお寺」として信仰を集めています。
2020年4月のコロナ禍の緊急事態宣言直前、重要文化財の三重塔と大石仏像を桜が包むように咲き誇る画像が「桜大仏」として話題に。今年のあぢさゐ回廊の紫陽花荘厳は、この大仏様の御前にアジサイと和傘をあわせた荘厳がおこなわれ、華やかです。
「あじさい越しにいろいろな角度から大仏様を撮影して、皆様だけの『アジサイ大仏』を完成して下さい」(壺阪寺 喜多師)
壷阪寺
住所:奈良県高市郡高取町壷阪3番地
TEL:0744-52-2016
開門時間:8時30分 ~ 17時
入山料:大人800円、小人(高校生以下)200円、幼児(5才以下)無料
公式HP:
https://www.tsubosaka1300.or.jp/
Instagram @tsubosakadera
岡寺と紫陽花
西国三十三所観音巡礼の七番札所であり、1300年前に天智天皇の勅願によって義淵僧正(ぎえんそうじょう)が建立した 岡寺(奈良県高市郡明日香村)。現在は、地名にちなんだ『岡寺』の名で広く知られていますが、創建時の寺名は「龍蓋寺(りゅうがいじ)」。
その名の由来は、飛鳥の地を荒らしていた悪龍を義淵僧正が法力により、池の中に封じ込め、大きな石で蓋をして改心をさせたことから。この悪龍の厄難を取り除いた伝説から厄除け霊場として知られています。
同寺のご本尊は如意輪観様。2015年春から全国でも珍しい「華の池・華手水舎」を始めた「花手水」の先駆けのお寺ともいわれており、美しい写真のSNSが話題です。あぢさゐ回廊の紫陽花荘厳は、本堂や奥ノ院へ向かう石畳が鉢植えの紫陽花で彩られます。
「各寺公式Instagramでの発信も積極的に行なっておりますので、ご覧いただければ幸いです。ぜひ、歴史深く魅力にあふれる奈良県中南和エリアの紫陽花巡り「大和観音 あぢさゐ回廊」にご参拝下さい」(岡寺 川俣副住職)
岡寺
住所:奈良県高市郡明日香村岡806
TEL:0744-54-2007
開門時間:8時30分~17時
入山料:一般(大学生以上) 500円 、高校生 400円 、 中学生 400円
公式HP:
https://www.okadera3307.com/
Instagram @okadera3307
長谷寺と紫陽花
西国三十三所観音霊場巡拝の開祖・徳道上人(とくどうしょうにん)により開かれた八番札所であり、三十三所の根本霊場と呼ばれる長谷寺(奈良県桜井市)。徳道上人が霊木で高さ約10メートルの巨大なご本尊・十一面観世音菩薩立像をつくり、そのあらたかな霊験で古来、信仰を集めてきました。
同寺は、観音信仰発祥の地として信仰の一大拠点であり、「花の御寺」としても知られ、四季を通じてたくさんの参拝者が訪れます。
長谷寺の紫陽花荘厳は、「嵐の坂」と呼ばれる石段に並ぶ約300鉢のアジサイ。「千紫万紅の絶景」として大人気です(土日は大変込み合うので注意)。同寺もInstagramの写真がオシャレで美しいと話題で、フォロワーが5・9万人もいるほど、SNSで常に注目を集めています。
※嵐の坂の通り抜けは不可。坂の手前での見学・写真撮影のみ
「長谷寺のあぢさゐ回廊はコロナ禍で外出がしにくい最中に始めました。日本全体を覆う閉塞感を少しでも紫陽花の美しさで憂さが晴れるよう始めた催しです。おかげさまで皆様から「ありがとう」という感謝の声を多くいただいており、長谷寺としても大変うれしく思います。いつもそこに在って在り続ける、そんな存在に長谷寺はなりたいと思います」(長谷寺 瀧口師)
長谷寺
住所:奈良県桜井市初瀬731-1
TEL:0744-47-7001
開門時間:8時30分~17時
入山料:大人500円、中・高校生500円、小学生250円
公式HP:
https://www.hasedera.or.jp/
Instagram:@hase_dera
室生寺と紫陽花
創建は古く、龍神信仰の地である室生山に建つ室生寺(奈良県宇陀市)。厳しく女人を禁制した高野山に対し、女人にも開かれたため「女人高野」と呼ばれて、親しまれてきました。
春の桜や石楠花(シャクナゲ)、秋の紅葉、冬には雪景色といった四季折々の自然美と屋外に建つ五重塔のなかで日本最小の国宝「五重塔」とのコラボレーション写真でも知られています。
室生寺の紫陽花荘厳は、バン字池周りと金堂から本堂に登る石段一面に広がります。他にも、ほほ笑み地蔵の周辺や門前にも色とりどりのアジサイが並び、お地蔵様のほほ笑みがより一層やわらかく見え、ホッと幸せな気持ちに。
実は、もともと、紫陽花が無いお寺だったのですが、梅雨シーズンになると決まって不思議とアジサイの開花状況の問い合わせがたくさん来ていたのだとか。そのため現在は、地植えの紫陽花が300株以上あり、アジサイでも知られるように。今年から「大和観音 あぢさゐ回廊」に仲間入りしました。
「どうか、この山寺でしか見ることのできない美しい風景と紫陽花をたくさんの方にご覧いただき、少しでも心穏やかなひとときをお過ごしになりにいらして欲しいと思っております」(室生寺 山岡師)
室生寺
住所:奈良県宇陀市室生78
TEL:0745-93-2003
開門時間:8時30分~17時
入山料:大人600円、子ども400円
公式HP:
https://www.murouji.or.jp/precinct/
Instagram:@murouji_temple
『大和観音 あぢさゐ回廊』で見逃せないのは、各寺院の特色と紫陽花がコラボした期間限定の『切り絵御朱印』(志納金1,000円)。さらに、4ケ寺の各所に設置されたスタンプを専用台紙に押すことによって、ひとつの図柄の御朱印が浮かび上がる『あぢさゐ回廊 重ね色巡礼』(無料)も同時開催されるので、あわせて楽しみましょう。
また、今年から新たに「観音様のご縁を結ぶ花めぐり」をイメージした『環花守(わっかまもり)』(志納金1200円)の授与もスタートしています。
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