大阪・関西万博の会場内で一般入場できないエリアにあり、早々に見学予約が閉幕まで埋まった「カーボンリサイクルファクトリー」。開幕からほぼ毎日通っているという万博マニアの藤井秀雄さんと一緒に現地に向かいました。
■ほぼ毎日通う万博マニア・藤井秀雄さん
1970年の大阪万博に魅了され、日本で開催された万博はすべて、また海外も11の万博を訪問した藤井さん。今回の万博ではEXPOサポーターズの一員として活動し、高熱が出た1日を除き開幕から毎日会場を訪れています。
「会場は見どころが多くて、一部のパビリオン運営のお手伝いや、ナショナルデーなどその日にしか見られないイベントに優先して参加していたので、まだいくつか訪問できていないんですよ」と藤井さん。
そのひとつ「カーボンリサイクルファクトリー」については、「非常に素晴らしい施設なのに、予約に空きがないので半ば諦めていました」と、見学したくてもできないレアな施設だといいます。
■脱炭素を実現するカーボンリサイクルファクトリー
同施設は、万博会場内で回収した二酸化炭素を火力や冷却のエネルギーとして活用したり、地下に貯蓄したりする、3つの企業・団体が連携した実証実験場。
地球環境産業技術研究機構による「RITE未来の森」、産業ガスメーカーのエア・ウォーターによる「地球の恵みステーション」、大阪ガスの「化けるLABO」からなり、見学ツアーはそれぞれ別々に実施されています。
とはいえ3つの施設は技術的に連携しており、大気中のCO₂を「RITE未来の森」が、会場内の燃焼排ガスからのCO₂を「地球の恵みステーション」が回収。それを使って「化けるLABO」が製造した「e-メタン」で都市ガスを生成し、会場内迎賓館の厨房(ちゅうぼう)で活用されています。
■「まとめて案内してほしい」難しい壁
二酸化炭素を回収する仕組みを紹介する「地球の恵みステーション」のスタッフ
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今回特別に3カ所まとめて見学できた藤井さんは、「3つの施設を巡って、ようやく全体像がつかめました。連なった施設なんだからまとめて案内するわけにいかないんですかね」と話しますが、施設までの移動手段となるバスの運行本数などに制限があり難しいようです。
また万博閉幕後に各装置がどうなるか気になった藤井さん。担当者に尋ねると、別の場所に移動して実験を続ける施設がある一方、設置している装置はすべて解体しなくてはいけない施設もあり、「個人的には、この施設を再利用できる余地があったはずだと感じていますので、残念ですね」と話していました。
■まったく見られないわけではない微かな希望
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする今回の万博で、採算度外視で先進技術を導入し、実際に会場内で利活用までして、まさに未来社会を実現している「カーボンリサイクルファクトリー」。
日によってはキャンセルが出て、当日予約の一覧に現れることもあるとのことなので、見かけたら予約をチャレンジしたいところ。また、「3施設の取り組みを会場内で紹介する機会も作れれば」という話もあったので、期待して待ちたいと思います。
取材・文:武並慎治(di;hype)
関西在住のWebディレクター&編集者。通期パスの利用よりも仕事で訪れることのほうが多い万博。純粋にもっと楽しみたいので閉幕までのスケジュールを調整します。
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