行ってみよか

え、もう終わっちゃう! こんなに楽しい『モネ展』が…

2024.04.12

え、もう終わっちゃう! こんなに楽しい『モネ展』が…
桜が満開の中、大阪中之島美術館で現在絶賛開催中の展覧会『モネ 連作の情景』に行ってきました!

美術館の北側にある大阪中之島合同庁舎の東側では桜がきれいに咲いていました。

印象派を代表する画家であり、日本でも特に人気が高いクロード・モネ。色彩や光を巧みに操って自然を表現し続けた巨匠の代表作が、今回は国内外から約70点集められています。特に、同じモチーフを何度も描いている「連作」に焦点を当てつつ、印象派以前の作品も複数鑑賞することができる贅沢な内容とあって、週末の大阪中之島美術館は多くの人で賑わっていました。

クロード・モネ(1840~1926)
印象派を代表する画家。パリで生まれた後5歳頃からル・アーヴルで暮らし、18歳の頃にパリに出て絵を学ぶようになる。1865年サロン初入選。普仏戦争を機に妻子を連れてイギリスとオランダに滞在。1874年第1回印象派展を仲間とともに開催。国内外を旅して各地で風景画を精力的に描く。1883年よりセーヌ川流域のジヴェルニーに定住。1891年デュラン=リュエル画廊で〈積みわら〉の連作15点を公開。この個展が評判を呼び、フランスを代表する画家として国内外で名声を築く。1926年12月5日ジヴェルニーの自宅で86歳にて死去。日本でも特に人気が高い画家のひとり。
第1章 印象派以前のモネ

最初の章では、印象派に至る前のモネの作品が展示されています。18歳で画家を志してパリに出て来てから、普仏戦争を機に妻子とともにイギリスやオランダに滞在していた頃の初期作品を観ることができるわけですが、モネには珍しく黒を基調とした家族の肖像《昼食》や、あまり見たことがないモネの静物画《桃に入った瓶》などが印象的でした。私のお気に入りは、オランダで描かれた《ザーン川の岸辺の家々》。水辺に浮かぶ家と空の明るい色彩が素敵な作品で、特に水面の繊細な描き方には、印象派以降のモネ作品へと通じる魅力を感じました。
第2章 印象派の画家、モネ

1870年代にパリ郊外アルジャントゥイユでの暮らしを始めたモネは、仲間たちと共にパリで第1回印象派展を開催し(1874年)、サロンとは別に発表の場を設けて活動しました。この章ではアトリエ舟に乗ってセーヌ川を自在に行き来しながら描かれた作品の数々を見ることができます。経済的には厳しく、妻の逝去などの不幸もあった辛い時期だったそうですが、草木や水の表現を追求していった過程を感じることができます。

左が《モネのアトリエ舟》

第3章 テーマへの集中

モネが各地を訪れて自然の様々な姿を描き続けた様子を見ることができるのがこの章。展覧会テーマである「連作」の萌芽(ほうが)を味わうことができます。ここで印象的なのは、一日のうちの別の時間を描き分けているノルマンディー地方プールヴィルの断崖の作品群と、同じくノルマンディー地方エトルタのラ・マンヌポルトを描いた2作品。同じ景色であっても、光によってこれほどまでに表情を変えるものなのかと、モネの観察眼と表現力に驚かされるばかりです。
第4章 連作の画家、モネ

1883年、モネはセーヌ川流域のジヴェルニーで暮らし始めます。この章では、〈積みわら〉、〈チャリング・クロス橋〉(ロンドン)、〈ウォータールー橋〉(ロンドン)などをハッキリと連作として描いた作品群を一挙に見ることができます。同じ対象を違う光の中、同時進行で描いた連作は高い評価を受け、モネを国際的な画家へと押し上げました。なお、〈ウォータールー橋〉の3作品は展示室で写真撮影が可能です。靄がかかったような描き方は同じなのに、光によってまったく違う雰囲気をまとっているのがよくわかります。
第5章 「睡蓮」とジヴェルニーの庭

現在でも訪れることができるジヴェルニーのモネの家はとても広く、「花の庭」「水の庭」というふたつの庭園が設けられています。そこで四季折々の草花や水の姿を亡くなるまで描き続けたモネ。この章では、ジヴェルニーで描かれた大作の数々を堪能することができます。また、この章のほとんどの作品は撮影可能なので、多くの人がスマホを構えてモネの見事な色彩をカメラに収めていました。有名な睡蓮の作品群ももちろん素晴らしいのですが、中でも私が好きだったのは《藤の修作》です。浮世絵の影響を多大に受けていることでも知られているモネですが、華やかなれど控えめに咲いた藤の花はどこか東洋のイメージを想起させ、特に心ひかれました。しかもこの作品は大阪のみの展示とのこと!必見です。第5章は本展覧会のクライマックスとなる章ですので、じっくりと時間をかけて鑑賞してください。
また、展覧会ナビゲーターであり音声ガイドも務めているのは俳優の芳根京子さん、音声ガイドで解説ナレーターを担当しているのは声優の下野紘さんという豪華な顔ぶれです。さらに、作家の原田マハさんが2編のオリジナルストーリーを書き下ろすというスペシャルな企画も実現!1編はWEB公開、もう1編は展覧会場で限定公開されています。モネの作品と合わせてお楽しみください。

多彩なグッズ展開にワクワク!

5章すべての鑑賞を終えた出口の先にあるのはグッズ売り場!広々としたスペースにはモネの作品をイメージしたたくさんの淡い色彩のアイテムが並んでいます。図録はもちろん、UNITED ARROWSやMOTHERHOUSEなどの人気企業とのコラボグッズ、クリアファイルやポストカードなどのオリジナルグッズなど多岐に渡るアイテム展開で、すっかり迷ってしまっている方も大勢いた様子でした。その中でも、特に注目を集めていたのがPEANUTSとのコラボグッズ「PEANUTS meets Monet」!コミック『PEANUTS』でモネについて描かれたエピソードが登場するという縁から生まれたコラボなのだそうです。SNOOPYのキャラクターが絵を描いていたり、睡蓮を頭に乗せたりしている可愛いデザインがいっぱいで、タオルや一筆箋などの定番アイテムからスケートボードまでラインナップもバラエティ豊か。私も悩みに悩んで、クリアファイルと中学生になる息子の通学カバン用に刺しゅうバッジを購入しました。小さいころからSNOOPYが大好きな息子は大喜びでリュックにつけて登校しています。

私が購入したグッズ 
Tシャツと、気に入った作品のポストカードもゲットしました!

早速、息子の通学リュックに。
同級生たちにうらやましがられているそうです。

有名店で「睡蓮」をモチーフにした絶品パンに出会った!

私がモネ展に足を運んだのは週末の夕方。小腹は空いたけれどカフェに行くには少し時間が遅かったので、大阪中之島美術館にほど近いパン屋さんPARIS-h(パリアッシュ)へ向かいました。ダイビル本館の1階にあるお店の外には、10人くらいの行列ができています。それもそのはず、このお店はパン好きが多いことで知られる関西エリアの中でも、特に有名な名店なのです!

お店を出たのは17時頃でパンの数もかなり少なくなっていましたが、まだまだ人の列が。

こちらが入り口。ブタさんがトレードマークです。

こちらが入り口。ブタさんがトレードマークです。

フランスらしい雰囲気に満ちたしゃれた店内は足を踏み入れるだけでワクワクします。どれを買おうか吟味していると、「睡蓮」という名前がついたパンを発見!ズバリ、モネの睡蓮をイメージしてつくられたパンなのです。なんでも、画家を目指していたこともあるというシェフによって考案され、今回の展覧会よりも前から販売されてきたとのこと。その芸術品のような真っ赤な佇まいに魅了され、他のパンと共に購入しました(迷いに迷って4種類も買ってしまいました)。

「睡蓮」(税抜390円)
カシスピュレを練り込んだ生地に2種のスイートチョコを合わせ、サワークリームとカシスホールを包み焼き上げているそうです。

甘酸っぱいカシスとほろ苦さがあるチョコが口の中で主張し合いながら一体となっていく、絶妙なハーモニーを楽しめる味わいでした。それはまさに、様々な色彩が主張し合いながらも溶け合い、見事な水や花や緑となってキャンバスに表現されたモネの絵画のよう。モネ展の余韻と共に味わう「睡蓮」は、誇張ではなく私が今まで出会った中で一番美味しいパンでした。モネ展を訪れたあとは、ぜひパリアッシュを覗いてみてくださいね。

店名    PARIS-h ( パリ アッシュ)
住所    大阪府大阪市北区中之島3-6-32ダイビル本館 1F
TEL    06-6479-3577


取材・文=八巻綾
テレビ局で舞台・展覧会などのイベントプロデューサーとして勤務した後、関西に移住。映画・演劇ライター。
モネ 連作の情景
【日程】 
2024年5月6日(月・休)まで ※最終日まで休館日なし
【開場時間】
10:00 – 18:00(入場は17:30まで)
※4月27日(土)– 5月6日(月・休)は開場時間を1時間延長。10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
【会場】
大阪中之島美術館 5階展示室

詳しくはhttps://www.ktv.jp/event/monet2024/
miyoka
1