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京都府立植物園100周年、五感を刺激する光のイベント開催

2024.10.17

京都府立植物園100周年、五感を刺激する光のイベント開催

12月26日(木)までの期間限定、夜間イベント

日本最古の公立植物園である「京都府立植物園」(京都市左京区)が、今年で誕生100周年を迎えました。京都っ子なら誰もが遠足や校外学習で訪れた思い出の場所であり、開園当初に植えられた樹齢100年を超えるクスノキが200メートルにわたって並ぶ「くすのき並木」や、緑の芝生が敷きつめられた「大芝生地」、大小四つの池に囲まれた「なからぎの森」など、園内全体が京都市民の憩いの場。平日、休日を問わず、いつも多くの人々が思い思いの時間を過ごしています。

京都府立植物園提供

そんな歴史ある植物園が10月18日(金)よりクリスマスシーズンまで、期間限定で夜間開放「LIGHT CYCLES KYOTO」を開催。展示植栽植物約4,500種類を誇る「観覧温室」全体を光や音、セットデザインやプロジェクションマッピングで彩り、4つの異なるゾーンを巡る全長413メートルのコースで、昼とは全く異なる植物園の姿を五感を全開にして楽しむことができます。プロデュースするのは、照明や映像、音響や特殊効果といった幅広い分野のエキスパートが集まったマルチメディア・スタジオ「MOMENT FACTORY」。カナダのモントリオール本社をはじめパリ、ニューヨーク、東京などに拠点を持ちユニークなプロジェクトを世界各国で展開しています。

「LIGHT CYCLES KYOTO」京都府立植物園
(京都市左京区)2024年10月

門を抜け、昼間とは異なる暗い園内を歩くと、ガラスで覆われたドーム全体が青や赤、緑に輝く観覧温室が目に入り、漏れ聞こえる音も相まって早速非日常的な雰囲気。そして中に入ると、そこは天井から放たれるレーザーが植物の隙間から木漏れ日のように差し込む最初のゾーン「LIGHT WILL FIND YOU」。続く「MEMORY OF WATER」は、光の波の下で雨音や雷鳴が溶けあい、水の活力を感じることがコンセプト。3つ目の「(IN)VISIBLE」では、多種多様なサボテンをはじめとした砂漠サバンナの植物にプロジェクションマッピングを投影することで、まるで動き出すような躍動感を感じられます。

「LIGHT CYCLES KYOTO」京都府立植物園
(京都市左京区)2024年10月

最後の「FOREST FREQUENCIES」は、それまでとは打って変わってリズミカルなBGMに変わり、リズムに乗って踊りながら歩く外国人カップルの姿もあるほど、とにかく一つのイベントながらゾーンごとの空間の変化に飽きることなく、約45分間の幻想的な散歩があっという間に感じるほど。暗く、天井から降り注ぐ光に目を奪われるので、歩いていると突然目の前に植物の葉が現れ、顔をかすめていくことも多々あり。写真を撮ろうとしゃがむと足元で葉を広げる植物とふいにタッチしたり、夜だからこそ逆に植物を近くに感じられるのが新鮮。前ばかり見ず、所々で振り返ると、さっき通った時とは光の当たり方が逆になるため見え方が異なり、違う場所に見えたりも。光だけでなく音、動き、振動、匂い、温度、湿度・・・と、写真と文字だけでは伝え切ることができません。

「LIGHT CYCLES KYOTO」京都府立植物園
(京都市左京区)2024年10月

今回の試みについて京都府文化施設政策監付理事の砂小坂さんは「100周年の新たな取り組みとして企画しました。桜や紅葉のライトアップをやってはいますが、ここまでの大規模なライトアップは植物園としても大きなチャレンジ。動か静かでいうと植物の世界は『静』。昼間と違う植物の世界を見ていただきたいです」とコメント。「どうやってきれいに見せるかを考えて、元々あるベンチの場所を演出のために変えたり、とにかくこだわりました。準備段階の作業時間やライトアップの時間を含めて、植物になるべく影響を与えないよう考えています」と続けました。「小学生の頃に植物園に来たことはあるけど、大人になって足が遠のいた、という方が多いと思います。ご高齢の方々には憩いの場として親しんでもらっていますが、学生や若い方、子育てされている方々など、多くの方に新しい魅力として触れていただき、身近に感じていただきたいです」と、思いを語ってくれました。
期間は10月18日(金)〜12月26日(木)で毎週月曜休、開催時間は18時〜21時30分(最終入場は20時30分)。料金は大人(高校生以上)前売2,000円/当日2,500円、小人(小・中学生)前売1,000円/当日1,200円(未就学児は無料)。くわしくは「LIGHT CYCLES KYOTO」のHPまで(https://www.lightcycles-kyoto.com)。
取材・撮影:上地 智(かみち・さとし)
ライター・フォトグラファー。編集プロダクション勤務を経て、2010年よりフリーランスとして関西を中心に活動
miyoka
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