みんなの応援が力になる 石川遼(プロゴルファー)
2024.09.08
プロゴルファー石川遼の進化が止まらない
10月に兵庫県三木市で開催される「ACNチャンピオンシップゴルフトーナメント」に参戦を表明している石川遼選手に話を聞きました。
勝つためには「勝つこと」に集中しない
僕自身がもっともっと上にいくために足りていない要素の1つがスイングだと思っていたので、この5年間改造してきました。
スイングの改革は他人からみて1番わかりやすい部分ですが、自分の中ではスイング以上に頭の中も改革というか、改造していっている感覚はあります。ゴルフはずっと好きで楽しくて、というのは全く変わらないんですけれど、目の前の一打や、自分のゴルフのキャリアに対しての考え方を変えていっているというか。スイング以上に、真剣に取り組んでいます。
以前と考え方が変わったのは、「勝ちへの執念」というよりは、自分のやってきていることを貫く、自分がやっていることに信念を持つ、その執念をすごく大事にするようになりました。結果を出したいのであれば「プロセスに集中しよう」ということです。
唯一、優勝の確率を上げる方法というのが、普段から練習していることを100パーセントやることだって思うようになりましたね。勝ちたいという気持ちはやっぱり強いので、勝つ確率をあげるにはどうすればいいのかなと考えた時に、逆説的ですが「勝つことに集中しない」っていうことかなと、ここ数年は思っています。勝ちたいからこそ、勝ちを優先しないというか。結果を出したいからこそ普段からコツコツ積み重ねているので、そのことを無視しちゃいけないなって思います。
一番は体だと思います。試合が続くと体力をかなり使うので、フィジカルを整えてシーズン中に体重が落ちるなど、体が細くならないよう気をつけています。
次に頭でしょうか。試合の中で集中力を持続させながら、その時の状況を整理して、思考を整理しながらプレイに向き合っていくことも大切かなと思います。
石川遼選手 2024年8月
「次は誰なんだ」ってスターを発掘する楽しみを
「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」(2024年6月20日-23日)では優勝争いをした選手たちをみても本当に年下の選手が多くて。みんなうまいし調子が良い状態でやっている中で勝ち切れたのは良かったなと思います。
「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」(2024年6月6日-9日)のプレーオフで2位になったのも自分の中で大きいですね。これまで全然成績を出せていなかった因縁のコースだったのですが、ベストフィニッシュできました。みなさんからの反響はやっぱり優勝のほうが大きかったですけれど、自分自身での評価が高いのはツアー選手権の方です。
今、日本のプレイヤーは史上最高くらいのレベルになってきているかなと思っています。層の厚さが、今までで1番なんじゃないかな。僕もまだ15年くらいのキャリアですが…。僕らの年代もそうなんですけど、海外でプレイする先輩の日本人選手がいたので、そんな先輩たちの姿をみて「ああいう風になりたいな」と思っていました。今は(松山)英樹が海外で活躍する姿を日本の選手たちにみせてくれているし、ヨーロッパのツアーに川村(昌弘)くんがずっと長くいますけど、彼をみてヨーロッパに行きたいと思う若い選手もたくさんいます。ゴルフを始める時やプロになると決める時に、アメリカを視野に入れている選手が圧倒的に増えたのかなって思いますね。
どんどんどんどん日本の選手に海外で活躍してもらって、さらに上のレベルに上がることによって日本のゴルフがさらに盛り上がっていくし、「次は誰なんだ」ってファンの人たちからスターを発掘するようなまなざしで見てもらえると思います。
フェスのような大会があってもいい
PGAツアー(世界最高峰の北米ツアー)では、世界一クラスのゴルフをみたいと思って会場にきている人もいますが、「まあゴルフは頑張ってー」って、それよりビールを飲みたいと思って来ている人とか、そっちを楽しみにしている人もいるんですよね。金曜日の午後スタートで最終組でまわっていると、週末に仕事終わりで会場にきたファンがパースリー(ショートホール)のバーでベロンベロンになって、僕らのゴルフ見ながら、ああでもない、こうでもないって言っているのが全部聞こえてくるみたいな(笑)。選手が真剣にやっているからこそ、いいつまみになるんです。でも応援もしてくれるし、名前を呼ばれた時とかめっちゃうれしいんですよね。「そんなにベロベロなのに僕のこと知っているんだ」って(笑)。もちろんタイガー(ウッズ)がいたらタイガーを見たいっていう人はいっぱいいますが、スーパースターがいない試合でも十分成り立っているのはすごいと思います。週末をどうやって楽しむか、アウトドアでどうしようかという選択肢の中にゴルフ大会も含まれているんでしょうね。
僕はゴルフってイベント性があってもいいと思っています。競技は競技として、例えば「全米オープン」とか国内なら「日本オープン」だとか、競技性100パーセントに振り切っている大会はありますし。開催地の人たちのノリもあると思うから、僕はいろんな大会があっていいと思っています。
日本でもフェスや夏のお祭りのような要素を取り入れた大会ができてきて、ゴルフ場に来るのが初めてだろうなとか、ゴルフやってないだろうなっていう人たちがギャラリーにすごく増えたなという実感が近年あります。
僕たちも、見てくれる人がいて成長できるのかなと思います。世界を目指している選手であれば、1万人が見ている前で打たなきゃいけない状況もありますし。人が集まった時の力ってすごいと思うので、ギャラリーが多いトーナメントが日本でももっと増えたら最高だと思います。
プロゴルファー。1991年9月17日生まれ 埼玉県出身
開催概要
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