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トラウマで紘海(北川景子)と結城(大森南朋)が共鳴【あなたを奪ったその日から】

2025.06.02

トラウマで紘海(北川景子)と結城(大森南朋)が共鳴【あなたを奪ったその日から】

『あなたを奪ったその日から』第7話 レビュー(Xの反応)

紘海(北川景子)と記者の砂羽(仁村紗和)の対面から始まった『あなたを奪ったその日から』第7話。結城(大森南朋)が鷲尾(水澤紳吾)に口止め料として500万円を払っている事実を知った紘海は、梨々子(平祐奈)に近づくために、結城が主催するホームパーティーへ出向きます。しかし、紘海はそこでの出来事により、結城に共鳴してしまう……。また、梨々子や美海(一色香澄)の感情や、砂羽が紘海の秘密に近づく様子も描かれるなど、進展が多い回でした。

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結城が鷲尾に500万円を支払ったという事実が、食品事故の真相を暴こうとする紘海を動かします。玖村(阿部亮平)から聞いた、結城と鷲尾が言い争いをしていたことも踏まえれば、食品事故について結城がなにか隠蔽していることは確かでしょう。口論をしていた時に家にいたはずの梨々子に話を聞くことで、食品事故の真実に近づけるのではないかと判断した紘海。結城家が主催するスイッチバックの大阪進出に向けた接待ホームパーティーに潜入することを決意します。紘海に好意を持っていそうな望月耕輔(筒井道隆)に満面の笑顔で「楽しそうですねえ」「行ってみたいなあ」と言う紘海の策士っぷりが少し恐ろしく見えました。
『あなたを奪ったその日から』第7話  東砂羽(仁村紗和)、望月耕輔(筒井道隆)、中越紘海(北川景子)

『あなたを奪ったその日から』第6話
東砂羽(仁村紗和)、望月耕輔(筒井道隆)、中越紘海(北川景子)

ホームパーティーには、関西中央地所の会長・藤田正臣(大門正明)とその娘・美織(岡本玲)、孫の比呂(市野叶)が出席していました。紘海が料理で貢献したこともあり、パーティーは和やかな雰囲気で進みます。そんな中、美織がふと、片親に育てられた子どもを哀れむような話題を紘海に切り出します。その様子を遠くから伺っている結城。紘海は愛情と親の人数は関係ないと、美織にきっぱり返しました。紘海は、自分自身が美海を一人で育てている片親だからそう言ったのでしょうが、同じくひとり親である結城は紘海の言葉がうれしかったのでしょう。紘海の言葉に救われたような表情を見せる結城が印象的でした。

そして、さらに紘海と結城が共鳴するような展開が。ぶどうを食べたいとねだっていた比呂が、美織に隠れてぶどうを食べ、喉に詰まらせてしまいます。喉を押さえて苦しむ比呂の姿と、ピザを食べてじんましんを出して苦しむ灯(石原朱馬)の姿が、紘海の中で重なります。紘海はとっさに比呂の背中を叩き、ぶどうを吐き出させます。感情が高ぶった紘海は美織と藤田に強い口調で注意してしまいます。トラウマがよみがえって怯えて立ち尽くすのではなく、子どもを救うために瞬時に行動に移した紘海の姿からは、灯を救えなかったことへの大きな後悔が察せられました。他人の子どもは救えたのに、なぜ自分の子どもは救えなかったのか。灯との思い出や雨の中走った事故の日、灯を亡くした瞬間が昨日のことのように紘海の頭に思い起こされます。しゃがみこんで嗚咽(おえつ)をもらす紘海にもらい泣きしてしまいました。
『あなたを奪ったその日から』第7話 藤田美織(岡本玲)、中越紘海(北川景子)

『あなたを奪ったその日から』第7話
藤田美織(岡本玲)、中越紘海(北川景子)

ホームパーティーでの藤田への失礼な態度から、紘海に懲戒処分が言い渡されますが、結城の一声で処分を免れることに。紘海が泣き叫ぶように美織に言い放った「ちょっとの油断で一生悔やむことがある」「後悔しても遅い」という言葉は、結城にも強く響く言葉でした。子どもを失ったという意味では同じ痛みを持つ二人。とくに結城は、子どもを救うために必死な紘海にシンパシーを感じたのでしょう。とはいえ、結城から萌子を奪った張本人である紘海は、結城に真の意味で共感することはできません。結城に近づき彼の痛みを知るほどに、紘海の中の罪悪感が増していきます。

第1話から何度も繰り返されている結城に対する恨みのこもった紘海のモノローグ。これまでは紘海の決意の言葉でしたが、今回の「結城旭を許してはいけない」はその直前のシーンで結城に同情に近い感情を持っていたことを踏まえると、復讐を完遂しなければと自分に強く言い聞かせているように聞こえました。結城に近づき内面を知るごとに、彼を恨み抜くことが難しくなっているのでしょう。
『あなたを奪ったその日から』第7話 中越紘海(北川景子)

『あなたを奪ったその日から』第7話
中越紘海(北川景子)

今回は梨々子と美海の心情が描かれるシーンも多い回でした。彼氏からのメッセージに感情を振り乱される梨々子は、結城を振り回したり、母・江身子(鶴田真由)の店で飲んだくれて玖村を呼びつけたりと、相手を困らせることで周りからの愛情を確かめているように見えます。江身子相手に顔を歪めて父と母への恨みを叫ぶ梨々子の姿から、彼女の境遇の辛さが感じられました。「結城家は食べ物で人を殺したことがあるので」と結城をあおるような態度を見るに、食品事故に関してなにか結城を許せないことがあるのでしょう。美海も、第5話から紘海が実の父親のことを隠し続けていることが気になっている様子でしたが、紘海が夜中に灯との思い出が詰まった箱を見ていたのを目撃してしまい、紘海には秘密があると感じているようです。
『あなたを奪ったその日から』第7話 結城梨々子(平祐奈)

『あなたを奪ったその日から』第7話
結城梨々子(平祐奈)

放送直後のX(旧Twitter)では、「紘海にしろ、梨々子にしろ、結城を憎しみながらも気になってしまう感情がある気がする」「紘海と結城は娘を失った痛みを知っている同士でもあるんだ」など、紘海と結城の複雑な心境に思いを寄せる意見が。紘海と美海、結城家の関係がどうなっていくのかハラハラします。

第7話の最後には、尾行により紘海と美海の生活を突き止めていた砂羽が、紘海の自宅へ。誘拐が感づかれたかと警戒する紘海でしたが、砂羽は美海の存在自体には不信感を持っていない様子。砂羽は結城を追い詰めるため、紘海に取材を要請します。結城に対して恨みではなく、同情や尊敬、共感といった感情を抱き始めている紘海はどんな判断を下すのでしょうか。第8話も見逃せません!
『あなたを奪ったその日から』第7話 中越紘海(北川景子)

『あなたを奪ったその日から』第7話
中越紘海(北川景子)

取材・文:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
miyoka
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