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白川愛(桜井日奈子)と関わっていたP.J.(B&ZAI・橋本涼)と天海社長(大谷亮平)『ロンダリング』で注目すべき「緑原」はどんな人物なのか<ドラマ>『ロンダリング』

2025.08.29

白川愛(桜井日奈子)と関わっていたP.J.(B&ZAI・橋本涼)と天海社長(大谷亮平)『ロンダリング』で注目すべき「緑原」はどんな人物なのか<ドラマ>『ロンダリング』

藤原丈一郎(なにわ男子)主演『ロンダリング』9話レビュー

間もなく最終話を迎えるドラマ『ロンダリング』。その第9話が28日深夜、放送されました。

第8話では、医師・黄森あゆみ(谷村美月)と一緒に若者やホームレスの支援活動などを行っていた白川愛(桜井日奈子)の存在が明らかに。しかも白川愛は不本意に貧困ビジネスに加担させられた末、悲しい死を迎えていました。アマミ不動産で働く売れない俳優・緋山鋭介(藤原丈一郎)の滞在先であるゴミ屋敷で見つかった白骨や、彼に届けられた「死者の声」は白川愛のものだったのです。

そして第9話では、白川愛の死に関わっていたのが、アマミ不動産の社長・天海吾郎(大谷亮平)であることが分かります。天海はかつて貧困ビジネスを取り仕切る暴力団と関係を持っており、不正などの告発を防ぐため、黄森と白川愛の命を狙ったのです。緋山は、自分を拾ってくれた天海に恩を感じていたため、事実を知ってがく然。さらにP.J.と白川愛のつながりも知った緋山は、重大な決断を下します。
『ロンダリング』9話 医師・黄森あゆみ(谷村美月)、アマミ不動産の社長・天海吾郎(大谷亮平)

『ロンダリング』9話 医師・黄森あゆみ(谷村美月)、アマミ不動産の社長・天海吾郎(大谷亮平)

「緑原さん」はこのドラマに必要な人なのか?

さて、今回のレビューでは「あの人」に言及したいと思います。そうです、アマミ不動産大阪支社社員の「緑原さん」こと緑原小町(久保田磨希)です。

視聴者の中には「緑原さんはこの物語において、一体どういう役割なんだろう」と思っている方もいらっしゃるのでは?筆者もその一人でした。何となく気にはなるけど、役割ははっきりとつかめない。それはなぜなのか?

主人公の緋山は売れない役者で、死者の声を聞くことができる能力の持ち主です。それらの能力を生かしてワケあり物件のロンダリングをしたり、いろんな事件の真相を突き止めたりします。そんな緋山のパートナー的な存在であるアマミ不動産社員・蒼沢夏凜(菅井友香)は死者の存在をモヤのようなもので認知することができます。さらに第9話では、死期が近づいている人のことが分かるという能力まで明かされます。

P.J.(B&ZAI・橋本涼)は裏社会で名をあげている一方で、白川愛と強い関係性を持っています。天海社長は不動産事業で成り上がろうとする中で、自分の過去と向き合うことに。ほかにもアマミ不動産に勤める村崎篤史(趙珉和)は元警察官の経歴を活かしていろんな情報を収集し、大阪府警の刑事・灰田徹(和田正人)は天海社長らのことをかぎまわります。このように誰もが何らかの役割を持ち、そして『ロンダリング』の物語を駆動させるためのアクションを起こしているのです。
『ロンダリング』9話 灰田徹(和田正人)、P.J.(B&ZAI・橋本涼)

『ロンダリング』9話 大阪府警の刑事・灰田徹(和田正人)、P.J.(B&ZAI・橋本涼)

では、緑原さんは?そうなんです。残り2話になるまで、これといったことをやっていないんです。緑原さんは、緋山、夏凜が近づくことをためらうほどの強烈な事故物件に住んでいるのですが、特に気にすることもなく、マイペースに生活しています。そして会社では、忙しくしている緋山、夏凜らにお菓子を「これ食べ」と渡してくるのです。でも業務などで手いっぱいの緋山、夏凜らは時折、そんな緑原さんのことを軽くスルーする感じを見せます。緑原さんの情報といえば、これくらいなのです。

そんな緑原さんは果たして、この『ロンダリング』に必要なのでしょうか?

決して何者でもない、緑原さん

筆者は、緑原さんの存在が非常に重要だと感じています。どういうところが重要なのか。

緑原さんは第9話で、自宅へご飯を食べに来た緋山の「今までちゃんと言うてなかったんですけど、俺、いわゆる霊感持ちで。緑原さんの家、長居すると激ヤバなんスよ」という話を聞いて、「ふーん、それはあんたも大変やねえ」と特に興味がないような口調で笑うのです。そして「私は、見えも聞こえもせえへんからねえ」と言います。
『ロンダリング』9話 緑原小町(久保田磨希)、緋山鋭介(藤原丈一郎)

『ロンダリング』9話 緑原小町(久保田磨希)、緋山鋭介(藤原丈一郎)

この「ふーん、それはあんたも大変やねえ」「私は、見えも聞こえもせえへんからねえ」という台詞(せりふ)を聞いたとき、緑原さんは自分の生き方を知っている人なのだと思いました。自分は決して何者でもない。特別な能力や力も持っていない。でも、だからこそできることを、無理せずにやる。そして、できる範囲を越える何かには関与しない。

だからこそ緑原さんは、忙しくしている人たちにお菓子をあげて、そして手料理を振る舞うのです。こういった何気ない気づかいや優しさは社会の中で見過ごされがち。どうしても大きな物事を成し遂げていたり、派手に動き回っていたり、現実でもSNSでも「大きな声」を出している人に注目が集まったりします。でも本当は緑原さんのように、目立たないながらも誰かのために小さな活躍をして、気づかれないような配慮をする人が大切にされる世の中になるべきだと思います。
なにより『ロンダリング』の物語自体、私たちの知らないところでいろんな人が活動し、苦しんだり、ささやかな喜びを得たりしていることを伝えるもの。緑原さんの存在は、『ロンダリング』の話そのものなのです。ですのでやっぱり、緑原さんは非常に重要なキャラクターだと感じられます。緑原さんを見ていると、「こんな私やけど、こうやってちゃんと生きてるで!」という元気な声が聞こえてきそうです。

とはいっても、「いかにもいい人」な緑原さんにもなにやら裏がありそうな気配がしますよね。前述した緋山との一連のやりとりの中で、不自然に電話をしにいったところや、あと緋山が目にしたカバンの意味…。最終話がどうなるのか、気になります。
文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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