――大森さんにお伺いします。今回の『ぼくほし』はオリジナル脚本になりますが、どのような思いで執筆されましたか。
大森:実はずっと学園ドラマを書きたかったんです。現役の生徒さん、子どもを持つ親御さん、昔生徒だった人やいろんな人に向けて、“いま”の生徒さんたちの物語を届けられる。それをオリジナルで書かせてもらえることは、とても幸せだと思います。だからこそ、今考えていることをなるべく全部詰め込もうと、ものすごく気合いを入れて書きました(笑)。
――大森さんの作品は、いつの時代もフィットする感覚があります。その“イマドキっぽさ”や若い人の感性は、どのようにキャッチされていますか?
大森:電車の中の学生さんや道ゆく高校生たちを観察したり、フードコートや喫茶店で聞こえてくる会話に耳を傾けたりと、人間ウォッチングをすることが多いです。自分の子どもの存在も大きいですね。“学校”という場所を、子どもの立場と親の立場、両方から学校を見ることができる経験がプラスになったところはあるかもしれません。あとは、岡光さん、白石さん、山口監督と一緒に、天文部がある高校をいくつか取材させていただきました。あの生徒さんたちと直接お話ができたことがすごく大きな気づきになりました。
岡光:私もそう思います。好きなことについて、目を輝かせながら私たちに話をしてくださる生徒さんを目の前にして、「この子たちの煌(きら)めきや瑞々(みずみず)しさをドラマにしなきゃいけない」と強く感じました。
大森:ね。キラキラしてて、とてもステキでした。天文ドームがある学校を取材させてもらったのですが、それを誇りに思っている皆さんが輝いて見えた。顧問の先生のお話もすごく参考になりました。
岡光:大森さんはそのやり取りを細かくメモされていて、取材時の高校生たちの何気ない会話がそのままセリフになっていると驚いたこともあります。だからこそ、ウソのないリアリティーのある会話劇になるんだなと。
大森:なるべくカッコつけたくないなと。本もたくさん読んで、取材もして、現代の先生方のリアルな実態も勉強しました。
岡光:現役高校生もいる生徒役のキャストにも、話す時間を作ってもらいましたね。そこでほぼ当て書きのような形で、人物造形が立体的になっていきました。