「マクチャン」度合は本家・韓国以上!?お受験ママ・峯岸みなみを中身55歳の新米ママが成敗 ドラマ【娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?】

2025.10.21

「マクチャン」度合は本家・韓国以上!?お受験ママ・峯岸みなみを中身55歳の新米ママが成敗 ドラマ【娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?】

齊藤京子×水野美紀 W主演『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第3話 レビュー

ママ友いじめによって娘の優奈(大友花恋)を失った55歳の母親・玲子(水野美紀)が全身整形で25歳の新米ママ・レイコ(齊藤京子)に生まれ変わり、ママ友たちに復讐(ふくしゅう)してゆくドラマ『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』(カンテレ・フジテレビ系/毎週火曜よる11時~放送)。

第3話では一人目のターゲット・恵美(小林きな子)を破滅に追い込んだ玲子/レイコ(水野美紀/齊藤京子)が、さらなる復讐へと突き進む様が描かれる。

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第3話 佐藤大空、大友花恋

レイコが死んだ優奈と同じマンションに住んでいることを知り、不信感を抱いた教育ママの理佐子(峯岸みなみ)は、様子を探るためレイコの家に強引に押しかける。

優奈が“お受験”の誘いを断ったことで理佐子の怒りを買ったことを知った玲子/レイコは、表面的には理佐子に共感を示すが、心の中では激しく復讐心を燃やす。

 理佐子のお受験への異常な執着心に目をつけた玲子/レイコは、理佐子が入学を切望する学園の理事長に近づき、ある罠(わな)を仕掛けるのだが——。その罠というのがまた、ママ友たちが優奈に仕掛けたいじめの「目には目を、歯には歯を」的な報復を孕(はら)んだもので、素晴らしくゲスでエグい。

▶本家・韓国超え!? お受験ママのなりふりかまわぬ狂気

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第3話 齊藤京子、峯岸みなみ、新川優愛

お隣の国・韓国では大ヒットドラマ『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』を筆頭に、子供のお受験のためならどんなことでもする母親の狂気を描いたお受験ドラマが人気だが、本作はそんなお受験ママものと『ヴィンチェンツォ』『ペントハウス』といった復讐ものの韓国ドラマを掛け合わせた日本版と考えていいのかもしれない。

ボスママの沙織(新川優愛)が韓国ドラマの大ファンという設定で、要所要所で「最高最高、チェゴー!」と韓国語で決め台詞を吐く(しかも、ハングル字幕入り!)のも、韓国ドラマオマージュと考えれば、なるほど腑(ふ)に落ちる。(シュールすぎて、もはや本家を超えた破壊力があるが…)

▶「子を思う母親」同士のシンパシーは恨みを超える!?

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第3話 峯岸みなみ、橋本則行

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第3話 峯岸みなみ、橋本則行

いずれにしても、玲子/レイコの罠にまんまとかかり、子どもを入学させたい学園の理事長と会って「ある持ちかけ」をする理佐子の姿は、愚かで胸がすくと同時に、切なく痛々しくもあるわけで。

恵美のケース同様、これまたゲスすぎる公開処刑(!)を経て、恵美のケースとは異なり、全てを失った理佐子に対して、今回はある種の「赦(ゆる)し」が描かれているのも興味深い。

理佐子は自分の利益のためではなく、子供のために恥もプライドもかなぐり捨て、常識を逸脱した行動に走った。そんな愚かで悲しい母親の姿に、復讐相手とはいえ、玲子/レイコはなんらかのシンパシーを感じたに違いない。

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第3話 峯岸みなみ、齊藤京子

齊藤京子の「中におばさん入ってる感」がヤヴァイ!

当初はどう見せるのか?と思われた「見た目は25歳の新米ママ・中身は55歳の母親」という設定も、ここに来て、見事にハマってきている。

基本的には画面に登場するのはレイコ役の齊藤京子なのだが、中身の玲子の心情を描くシーンでは、玲子役の水野美紀の声でナレーションが被さる構成がスリリングでうまい。

 死んだ優奈がかつて住み、今はレイコ/玲子が住む家に理佐子を招き入れるシーンでは、ドアの鍵をガチャっと掛けた瞬間、「ようこそ、娘を殺された母親の家へ」と水野の醒めた低い声が挿入される。その言葉に、思わず鳥肌ゾクッ。

声だけで娘を殺された母親の怒りや悲しみを声だけで表現してみせる、水野美紀という女優の凄みを感じずにいられない。
火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第3話 齊藤京子

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第3話 齊藤京子

レイコ役の齊藤京子も、もちろん負けてはいない。理事長ににじり寄る理佐子を離れた席から監視。ニヤリと不敵な笑みを浮かべてみせる様は、「中におばさん入ってる感」さく裂している。怒りと悲しみ、絶望、そして狡猾(こうかつ)さがない混ぜになった難役を、齊藤が今後どう演じてゆくのかがぜん楽しみになってきた。

ボスママの沙織もついに何かが起こっていると気付き始めたようで。このまま玲子/レイコの一人勝ちでは終わらない、マクチャンドラマ(韓国のドロドロの愛憎劇)展開に期待!
文:井口啓子
miyoka
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