ママ友いじめによって娘の優奈（大友花恋）を失った55歳の母親・玲子（水野美紀）が、闇医者・外科医の成瀬（白岩瑠姫）の手による全身整形で25歳の新米ママ・レイコ（齊藤京子）に生まれ変わり、新堂沙織（新川優愛）らママ友たちに復讐（ふくしゅう）してゆく――。ぶっ飛んだストーリーと俳優陣の迫真の演技に中毒者続出中のドラマ『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか？』（カンテレ・フジテレビ系/毎週火曜よる11時～放送）。　

11月25日（火）放送の第8話では、末期のガンに冒されていた元夫の健司（津田寛治）が息を引き取った。沙織の夫・新堂議員（竹財輝之助）に濡（ぬ）れ衣を着せられた健司。彼の存命中に汚名を晴らすことができなかった玲子が打ちのめされる様が描かれた。  

第8話ラストでは、「優奈の良き夫」として描かれていた明彦（内藤秀一郎）が、優奈を死に至らせた張本人である沙織と繋（つな）がっていた事実が発覚。「あんないい旦那さんが！」「やっぱり内藤秀一郎がモブ役を演じるわけがない！」とSNSをざわつかせたが、12月2日（火）放送の第9話では、さらに2人の関係にクローズアップ。

明彦を「共犯者」と呼び、熱いまなざしを向ける沙織。2人の間にどんな秘密があるのか？　たんなる不倫関係ではなく、もしや新堂家の秘密に関わる繋がりがあるのか？　今後の大きな見どころとなること必至だが、含みたっぷりに「優奈ちゃんを殺したのは私とあなたよ」と言い放ち、「あなたは一生、私から逃れられない」と微笑みを浮かべる沙織は、悔しいが「これぞ悪女！」の悪魔的な魅力にあふれている。  

また、第9話では謎のベールに包まれていた成瀬の過去がついに明らかになる。健司を亡くしたことで新堂家への復讐の炎をますます燃え上がらせるレイコに、成瀬は「あんたに話しておきたいことがある」と一枚の写真を見せる。そこに写っていたのは、レイコとそっくり同じ顔をした若い女性だった。驚きのあまり言葉を失うレイコに、成瀬は「俺が◯◯した人だ」と過去の記憶を語り始める。

大切な娘を失ったショックで自殺しようとしていた玲子に、「死ぬぐらいなら別人になって復讐しろ」と声を掛け、全身整形手術を施した成瀬。玲子がレイコとして生まれ変わった後も、ぶっきらぼうな口調とは裏腹に彼女を真摯にサポートしてきた彼に、まさかそんな秘密があったとは――。彼がどんな思いで玲子に声を掛け、レイコの顔を手術し、レイコと向き合ってきたのか？想像するだけで胸が締めつけられる。

成瀬の告白を受けて、「レイコ＝玲子」が激しく葛藤するシーンは本話最大の見どころだ。家族のために黙って無実の罪を被り、最後まで誰を恨むでもなく家族への愛と周囲への感謝を失わなかった健司を目の当たりにして、“玲子”は「復讐することが本当に正しいことなのか？」と、大きく揺れ動いていた。しかし、復讐に燃える“レイコ”には玲子は目的を邪魔する存在でしかなく――。

「あなたの人の好さが邪魔なのよ！」と叫びながら、レイコの内なる葛藤や過去との決別する「あるシーン」は、メタファーであるにも関わらず、とてもリアルで、思わず目を塞ぎたくなる。

過去の自分を完全に殺し、復讐に突き進む覚悟を決めたレイコが、今後どんな方法で新堂沙織というモンスターと対峙（たいじ）してゆくのか？複雑に絡み合う人間関係とトラップの応酬に、ますます目が離せない！　

文：井口啓子