鬼塚英吉(反町隆史)が生きる令和は、『POISON』の世界なのか。ドラマ『GTO』第2話に重なる歌詞の意味

鬼塚英吉(反町隆史)が生きる令和は、『POISON』の世界なのか。ドラマ『GTO』第2話に重なる歌詞の意味
主演・反町隆史が演じる伝説の教師 “ GTO (グレート・ティーチャー・オニヅカ) ” 。1998年夏に放送され、社会現象を巻き起こした人気作の約28年ぶりの新作連続ドラマ『GTO』(毎週月曜 午後10:00~/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)の第2話が7月27日に放送されました。
第1話では、妻・あずさ(松嶋菜々子)から「一刻も早く新しい就職先見つけて、次の学校は絶対やめないって約束してくれる? もちろん“グレートティーチャー”とは何かって答えもちゃんと出してよね。それがダメだったら」と離婚届を突きつけられた元暴走族の型破りな教師・鬼塚が、私立誠進学園に赴任。これまでとは異なる学校や生徒の雰囲気に戸惑いながらも、不登校が続いていた片山健太(森本陸斗)の信頼を勝ち取ります。

健太が心を開いて学校へやって来たことで鬼塚は自信をつけますが、第2話では、担任クラスの1年B組の生徒たち28人中27人が「教師フィードバック制度」で鬼塚に低評価をつけたことから、解雇の危機に。そんな中、生徒の伊藤結(稲垣来泉)が、鬼塚に高評価を付ける代わりにある頼みごとをします。
『GTO』第2話 稲垣来泉、反町隆史

『GTO』第2話 稲垣来泉、反町隆史

今の世の中は高評価・低評価でできている?

第1話、第2話で鬼塚の頭を悩ませるのが「教師フィードバック制度」です。これは、生徒側が教師側を評価するもの。授業内容や教育方針が魅力的な教師は高評価が付きやすく、私立誠進学園では、英語教師の小泉望都子(高橋メアリージュン)が1位、数学教師の阿部郁人(市川知宏)が2位にランクイン。一方で昔ながらのやり方で授業を進める世界史教師・村山春樹(夙川アトム)は下位に沈んでいます。

実は現実の教育現場でも、こうした評価制度は珍しくありません。筆者も10年ほど前から数年間、ライター業と並行して専門学校で映像論の講師を担当していたことがあります。そこでも「教師フィードバック制度」のようなシステムがあり、講師に対する生徒側の採点結果が翌年の契約の参考になっていました。

生徒側のフィードバックは、教師・講師の指導の底上げにつながる可能性を持っています。体罰やハラスメントなどの問題行動を抑止できる場合もあります。つまり、指導方法や教師としての資質に重大な問題がある場合、生徒側のフィードバックは強い意味を持つと思われます。
『GTO』第2話 反町隆史、宇梶剛士、近藤芳正

『GTO』第2話 反町隆史、宇梶剛士、近藤芳正

一方で第1話、第2話で描かれているように、人気投票的な側面も持ち合わせているとも考えられます。鬼塚の場合も、熱血教師的な生徒との向き合い方に抵抗感を示され、低評価を下されている部分が見受けられます。失職だけは免れたい鬼塚は、学生から気に入られようとするあまり、かつてのように強気に出ることがなかなかできません。つまり、反町隆史さんが作詞・歌唱を担当する主題歌「POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~」の歌詞にもあるように、本当に言いたいことが言えない状況になるのです。
『GTO』第2話 反町隆史

『GTO』第2話 反町隆史

高評価・低評価を付けるという考え方は、SNSや動画共有プラットフォームが広がって以降、私たちの意識に根付いたと言えます。おもしろい投稿を見たら高評価のマークを押す。不愉快なものを見たら低評価を押す。その数によって投稿や配信の優劣が付き、人気の有無も分かります。だから、たとえば動画の最後に投稿者が「おもしろかったら高評価をお願いします」と、視聴者に訴えかけるのです。

多くの人がたくさんの高評価を求め、低評価を恐れ、そのどちらも付かない場合は淘汰(とうた)されていく――。高評価・低評価に左右される世の中になったと言えるかも知れません。

“言いたい事も言えないこんな世の中”との向き合い方

『GTO』はそんな社会の雰囲気や風潮を捉えているように見えます。また、「高評価が欲しい」「低評価は避けたい」という考えは教師だけではなく、実は生徒も強く意識しているように映ります。

第2話のキーパーソンである生徒・伊藤結は、やりたいことがあるにも関わらず、それを言い出せずに学校生活を送っていました。そのため、鬼塚の協力のもとそれを実行に移します。それでも周囲からはなかなか賛同が得られません。葛藤する結は第2話中盤、同級生に本当に気持ちを伝えます。つまり、“言いたいこと”をしっかりと言うのです。
『GTO』第2話 稲垣来泉

『GTO』第2話 稲垣来泉

従来の学園ドラマであれば、こうした結の勇気あるメッセージが共感を呼んで仲間を増やすでしょう。ところが世の中の雰囲気をリアルに汲(く)み取っている今回の『GTO』は異彩を放っており、逆に結にシビアな現実を突きつけるのです。クラスのみんなに自分のやりたいことを認めてもらいたい、共感を集めたい。そんな彼女の願いも虚しく、理解者は現れず、むしろ結を敬遠する空気感が充満します。

結はもちろん、第1話で父親との心の距離を明かした健太など、学生たちも自分に対して前向きな評価を誰かにしてもらいたいのだと思われます。でも、自分への評価を知ることが怖いからなかなか行動に踏み出せない。それが、「POISON」で歌われる“言いたい事も言えないこんな世の中じゃ”とリンクするのではないでしょうか。
『GTO』第2話 稲垣来泉、森本陸斗

『GTO』第2話 稲垣来泉、森本陸斗

今回の『GTO』は、他者からの高評価・低評価に左右され、またそれを過度に気にしなくてはならない“こんな世の中”と、鬼塚や生徒たちがどのように向き合っていくのかをテーマにしているように感じられます。
『GTO』第2話 反町隆史

『GTO』第2話 反町隆史

文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
miyoka
0
銀河の一票
カンテレドーガ
カンテレ笑タイム
ハチエモン
カンテレアナウンサーチャンネル
カンテレドラマニア
ウェルチル
カンテレID