「俺を信じろ」とは言わない鬼塚英吉(反町隆史)。ドラマ『GTO』第9話で生徒たちに委ねた、情報を自分の頭で判断するということ
元暴走族の型破りな教師・鬼塚英吉(反町隆史)と多くの生徒たちの間に信頼感が生まれつつあるドラマ『GTO』(毎週月曜 午後10:00~/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。その第9話が9月14日に放送されました。
第8話では、1年B組の副担任・柏原実央(生見愛瑠)が、体調不良の鬼塚に替わって臨時担任を担当することに。柏原はこれまで、教師を一時的な仕事として捉えていました。しかし、鬼塚の姿勢を目の当たりにしたことで、心境に変化が生まれます。さらに、柏原は1年 B組の生徒・石橋心愛(北里琉)が抱える劣等感と向き合い、問題に取り組んだことで、教職に深いやりがいを感じるようになります。
これまで自分流を貫き、何度も「クビ宣告」を受けながらも、生徒と正面から向き合うことで信頼を勝ち取ってきた鬼塚。生徒が教師を評価する「教師フィードバック制度」でも多くの高評価を獲得するようになります。ところが第9話では、クラスのチャットに鬼塚を陥れるような書き込みをしていた生徒・芦田綾乃(堀口真帆)が、鬼塚の過去について追及。これまで勤務した学校で、パワハラ、セクハラ、傷害罪などを理由にクビになってきたとし、「わたしはどんなことがあっても、こんな人間を認めない」とつづった上で、「説明してください。これ全部ホントですよね?」と詰め寄ります。鬼塚は「俺的には間違ったことをしたとは思ってない。やったことないのも入ってるし」と説明。しかしこの書き込みが広く拡散され、再び進退問題へと発展します。
これまで自分流を貫き、何度も「クビ宣告」を受けながらも、生徒と正面から向き合うことで信頼を勝ち取ってきた鬼塚。生徒が教師を評価する「教師フィードバック制度」でも多くの高評価を獲得するようになります。ところが第9話では、クラスのチャットに鬼塚を陥れるような書き込みをしていた生徒・芦田綾乃(堀口真帆)が、鬼塚の過去について追及。これまで勤務した学校で、パワハラ、セクハラ、傷害罪などを理由にクビになってきたとし、「わたしはどんなことがあっても、こんな人間を認めない」とつづった上で、「説明してください。これ全部ホントですよね?」と詰め寄ります。鬼塚は「俺的には間違ったことをしたとは思ってない。やったことないのも入ってるし」と説明。しかしこの書き込みが広く拡散され、再び進退問題へと発展します。
『GTO』第9話 堀口真帆
鬼塚の情報をめぐり1年B組で分断発生!?
今回のストーリーのテーマになったのは、“情報の受け止め方”です。
1年B組の生徒たちは、綾乃が行った、鬼塚に関する情報の書き込みが真実かどうかで、意見が真っ二つに分かれます。前述したように、綾乃が書き込んだのは、パワハラ、セクハラ、傷害罪などが理由でこれまで勤務した学校がクビになったということ。
鬼塚を信じる生徒たちは、そうした情報に疑いを持ちます。さらに鬼塚も、自分がクビになった理由について細かくまとめた資料を制作し、生徒たちに配ります。ただ、綾乃は「全部フェイクなんじゃないの?」と反発するのです。そこで鬼塚が発した一言が、とても重要でした。それは「おまえらが、自分の頭で判断しろ」ということ。
第9話ではほかにも、綾乃に関する真偽不明な情報もクラスの間に流れます。綾乃はそれをデマだと言います。ただ、そうした情報が一度でも流れ、「本当かもしれない」と受け止められてしまうと、当事者に対する抵抗感や不信感は拭えなくなります。その結果の一つとして、情報を信じる人と疑う人の間で摩擦や分断が起きてしまいます。
第9話では、鬼塚や綾乃に関する情報をめぐり、まさにクラスの中で分断が起きました。その様子は、現代社会の縮図のようにも見えました。
1年B組の生徒たちは、綾乃が行った、鬼塚に関する情報の書き込みが真実かどうかで、意見が真っ二つに分かれます。前述したように、綾乃が書き込んだのは、パワハラ、セクハラ、傷害罪などが理由でこれまで勤務した学校がクビになったということ。
鬼塚を信じる生徒たちは、そうした情報に疑いを持ちます。さらに鬼塚も、自分がクビになった理由について細かくまとめた資料を制作し、生徒たちに配ります。ただ、綾乃は「全部フェイクなんじゃないの?」と反発するのです。そこで鬼塚が発した一言が、とても重要でした。それは「おまえらが、自分の頭で判断しろ」ということ。
第9話ではほかにも、綾乃に関する真偽不明な情報もクラスの間に流れます。綾乃はそれをデマだと言います。ただ、そうした情報が一度でも流れ、「本当かもしれない」と受け止められてしまうと、当事者に対する抵抗感や不信感は拭えなくなります。その結果の一つとして、情報を信じる人と疑う人の間で摩擦や分断が起きてしまいます。
第9話では、鬼塚や綾乃に関する情報をめぐり、まさにクラスの中で分断が起きました。その様子は、現代社会の縮図のようにも見えました。
『GTO』第9話
鬼塚は決して「自分を信じろ」とは言わない
ちなみに読者のみなさんは、人を信用する上でなにを大切にしますか? 筆者の場合は、極論なのですが“何があっても人を信じすぎない”という気持ちがあります。“この人なら信用できる”と言い切れるだけのものを、他人に見出すことなくこれまで生きてきました。
これは決して、常に他人を疑っているという意味ではありません。親しく付き合う人たちもいます。それでも、その人のことをすべて知っているわけではない以上、「絶対にこの人は大丈夫」とまでは考えないようにしています。また、“人を信じすぎない”という気持ちと同じくらい、自分自身に対しても過信しないようにしています。
人はどうしても、他人を表面で判断してしまうことが多いのではないでしょうか。見た目や態度、話し方、さらに経歴などで、相手の人間性をはかってしまいます。もちろん、それ自体が間違いだとは思いません。見た目や態度、話し方には、その人の人となりが表れる部分もあります。経歴も同様です。ただ、それだけでその人のすべてを知ることはできません。そして、それらを見て判断している自分自身が、必ずしも正しいとも限りません。
鬼塚は、元暴走族です。中丸教頭(近藤芳正)はそんな鬼塚の経歴を掘り返し、「字は汚くて誤字脱字だらけだし、もう教壇に立つのは諦めるんだな。しょせん、元暴走族が教師になること自体無理があるんだから」と言います。たしかに元暴走族であることは事実ですし、その過去の行動が正しかったかどうかは別の話でしょう。しかし、「元暴走族だから教師には向いていない」というのは一概に正しいとは言えず、その情報を受け取った側の解釈になるのではないでしょうか。そんなとき、鬼塚と中丸教頭のやりとりを聞いていた大久保校長(宇梶剛士)は、「元暴走族は教師になってはいけないんでしょうか」「元暴走族は人間じゃないようなことをおっしゃるので」と中丸教頭に迫ります。
これは決して、常に他人を疑っているという意味ではありません。親しく付き合う人たちもいます。それでも、その人のことをすべて知っているわけではない以上、「絶対にこの人は大丈夫」とまでは考えないようにしています。また、“人を信じすぎない”という気持ちと同じくらい、自分自身に対しても過信しないようにしています。
人はどうしても、他人を表面で判断してしまうことが多いのではないでしょうか。見た目や態度、話し方、さらに経歴などで、相手の人間性をはかってしまいます。もちろん、それ自体が間違いだとは思いません。見た目や態度、話し方には、その人の人となりが表れる部分もあります。経歴も同様です。ただ、それだけでその人のすべてを知ることはできません。そして、それらを見て判断している自分自身が、必ずしも正しいとも限りません。
鬼塚は、元暴走族です。中丸教頭(近藤芳正)はそんな鬼塚の経歴を掘り返し、「字は汚くて誤字脱字だらけだし、もう教壇に立つのは諦めるんだな。しょせん、元暴走族が教師になること自体無理があるんだから」と言います。たしかに元暴走族であることは事実ですし、その過去の行動が正しかったかどうかは別の話でしょう。しかし、「元暴走族だから教師には向いていない」というのは一概に正しいとは言えず、その情報を受け取った側の解釈になるのではないでしょうか。そんなとき、鬼塚と中丸教頭のやりとりを聞いていた大久保校長(宇梶剛士)は、「元暴走族は教師になってはいけないんでしょうか」「元暴走族は人間じゃないようなことをおっしゃるので」と中丸教頭に迫ります。
『GTO』第9話 近藤芳正、反町隆史、宇梶剛士、工藤阿須加
綾乃が書き込んだ、鬼塚がクビになった理由には真偽不明なものがいくつもあります。一方で、鬼塚が元暴走族であることは事実です。ただ、前者はもちろん、後者であっても、その一つの情報だけで「この人はこういう人間だ」と決めつけることは、決して正しいとは限りません。
興味深いのは、鬼塚は決して「自分を信じろ」とは言わない点です。クビになった理由についても、「元暴走族だから教師になること自体無理がある」という中丸教頭に言われても、自分が教師にふさわしい人間であることを必死に主張しようとはしません。むしろ、自分に関する様々な情報が出てきても、最後の判断は相手に委ね、「自分の頭で判断しろ」とするのです。
筆者が前述したように“人を信じすぎない”ようにしているのも、ある意味では同じな気がします。一度「この人は信用できる」と思ったからといって、その後のすべての言動まで正しいとは限りません。逆に、一度不信感を抱いた相手だからといって、その人のすべてが間違っているとも限りません。だからこそ筆者は、人に対する評価を完全に固めないようにしています。
鬼塚もまた、生徒たちに自分への評価を固定することを求めません。「俺を信じろ」ではなく、「自分の頭で判断しろ」なのです。高評価は欲しいけど、評価するのは生徒たち。ネット上に流れる情報も、これまで生徒たちが目の前で見てきた鬼塚の姿も含めて、一度出した答えにとらわれることなく、その都度、自分の頭で考えてほしいという思いが感じられます。
興味深いのは、鬼塚は決して「自分を信じろ」とは言わない点です。クビになった理由についても、「元暴走族だから教師になること自体無理がある」という中丸教頭に言われても、自分が教師にふさわしい人間であることを必死に主張しようとはしません。むしろ、自分に関する様々な情報が出てきても、最後の判断は相手に委ね、「自分の頭で判断しろ」とするのです。
筆者が前述したように“人を信じすぎない”ようにしているのも、ある意味では同じな気がします。一度「この人は信用できる」と思ったからといって、その後のすべての言動まで正しいとは限りません。逆に、一度不信感を抱いた相手だからといって、その人のすべてが間違っているとも限りません。だからこそ筆者は、人に対する評価を完全に固めないようにしています。
鬼塚もまた、生徒たちに自分への評価を固定することを求めません。「俺を信じろ」ではなく、「自分の頭で判断しろ」なのです。高評価は欲しいけど、評価するのは生徒たち。ネット上に流れる情報も、これまで生徒たちが目の前で見てきた鬼塚の姿も含めて、一度出した答えにとらわれることなく、その都度、自分の頭で考えてほしいという思いが感じられます。
『GTO』第9話 堀口真帆、反町隆史
文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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