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バレンタイン文化は神戸発祥!?モロゾフの新作チョコも必見

2025.02.04

バレンタイン文化は神戸発祥!?モロゾフの新作チョコも必見
「愛する人へチョコレートを贈る」2月14日のバレンタインデー。もはや、日本人の風習として根付いたといっても過言ではありません。諸説ありますが、このチョコレートを贈る日本特有のバレンタインデー文化が、実は、神戸発祥と言われているのをご存じでしょうか?

1932年(昭和7年)に “バレンタインデーにチョコレートを贈るスタイル”を日本で先駆けて紹介したのは、創業94年の歴史を持つ関西の有名洋菓子メーカー「モロゾフ株式会社」(本社:兵庫県神戸市)です。2月14日のチョコレートギフト文化は、意外にも古く、戦前からスタートし、93年もの歴史があるのです。

関西人にとって、モロゾフといえば「プリン」。関西では「一家に1個ある」といわれるほど、プリンのガラス容器でおなじみの同社の広報担当者に、日本で独自のバレンタイン文化が根付いていく歴史やその過程で生まれたヒットチョコレートシリーズ、そして今年の新作ブランドまでを伺いました。

1930年代の日本のチョコレート事情

画像提供:モロゾフ株式会社/【左】1932年のカタログ【右】カタログ表紙

モロゾフの創業者がアメリカ人の友人から、欧米では2月14日に愛する人に贈りものをする習慣があることを聞き、「この素晴らしい贈りもの文化を日本でも広めたい」と“バレンタインデーにチョコレートを贈るスタイル”を提案したことが日本独自のバレンタイン文化の先駆けとされています。1930年代当時の日本では、チョコレートはまだまだなじみが無く、宝石やドレスと同様にぜいたく品とされていました。そんななか、同社は、創業当初から現在に至るまで、ベースとなるチョコレート生地を日本人の味覚に合うよう独自に開発するこだわりを一貫しているのだとか。

当時のカタログに掲載されている、チョコレート製のハート型容器にファンシーチョコレートを入れた「スイートハート」とバスケットに花束のようなチョコレートを詰めた「ブーケダムール」を見ると、いま販売されていても遜色ない凝ったデザイン性と高級感がわかります。

戦前~戦後、まだまだ外国人中心の文化だったバレンタイン

画像提供:モロゾフ株式会社/1935年のモロゾフのバレンタイン広告

1935年には、モロゾフによるバレンタインチョコレート広告が英字新聞「ジャパンアドバタイザー」に掲載されました。太平洋戦争開戦前の1940年2月まで6年間にわたり、毎年掲載されていたそうです。太平洋戦争中は、チョコレートの原材料が輸入統制されていましたが、戦後の1950年代に入ると、統制もなくなり、同社でも本格的なチョコレート製造がおこなわれるようになりました。1930~1950年代までの日本人の意識としては、まだまだ“バレンタインデー=外国人(欧米)中心のイベント”だったのだとか。

本格的に日本独自スタイルがスタートした1970年代

画像提供:モロゾフ株式会社/1970年代に発売していたモロゾフのチョコレート

1958年の伊勢丹新宿店バレンタインフェアがきっかけとなり、1960年代には、お菓子メーカーや百貨店が積極的にバレンタインデーを売り出し、チョコレートギフト文化がだんだんと日本人に浸透してきました。

日本独自の「女性から男性にチョコレートを贈り、愛を告白するスタイル」が広まり、定着し始めたのは1970年代から。はじめは、小学校高学年~高校生のティーンエージャーの間で流行したそうです。当時のモロゾフも愛を伝えるのにふさわしいハートモチーフのパッケージやチョコレートを発売していました。

友チョコ、マイチョコが登場した2000年代

画像提供:モロゾフ株式会社/「アレックス&マイケル」(2000年代)

女性の社会進出が増加した1980~1990年代には、「義理チョコ」文化が生まれ、 オフィスでの需要の高まりとともに、チョコレート市場は一気に拡大。

そして、2000年代に入ると、友人に贈る「友チョコ」や、自分へのご褒美に購入する「マイチョコ」も登場しました。ハートモチーフが主流のバレンタインチョコに、モロゾフが新たな風を吹き込んだのもこの時期です。

気軽に渡しやすいブルーを基調としたシンプルなパッケージデザインの「アレックス&マイケル」を展開し、幅広い女性の支持を集め、大ヒットシリーズになりました。

「チョコレートを楽しむ日」になった現代のバレンタイン

さまざまな展開によって、日本人の意識に幅広く根付いていったバレンタイン文化ですが、現代のバレンタイン事情はどうなっているのでしょうか?
「自分へのご褒美チョコや感謝チョコ、友チョコ、推しチョコなどさまざまなかたちで楽しむ傾向になっています」と同社の広報担当者。バレンタインイベントに対する認識は、本来の「愛する人たちへの贈り物」という意味合いよりも、「チョコレートを楽しむ日」という認識へと変化してきています。

世界観をSNSで共有し話題に、2025年のニューブランド「喫茶ペンギン」

画像提供:モロゾフ株式会社/2025年の新作「喫茶ペンギン」

さらに「バレンタインチョコのブランドストーリーなどを発信することで、世界観を共有し、中身やパッケージも楽しんでいただいています」(広報担当者)とのことで、近年では、11月頃からSNSを通じてブランド発信しているそうです。

今年のニューブランド「喫茶ペンギン」は、「"旅好き"の店主がひとりで営む喫茶店」というコンセプトで、かわいいペンギンの外観がSNSで話題を呼び、公式オンラインショップでは、すでに完売状態の人気ぶりです。

企画にあたり、「パッケージやチョコレート自体のかわいさ、他にはない独創性はもちろんのこと、さらにもう1つ踏み込んだ『お客さまとのタッチポイント』となれる“楽しさ”や“ワクワク感”を盛り込みたいと思い、『チョコレートを楽しむ体験』を目的として、『喫茶』空間の設定と『旅』の“ストーリー性”にこだわりました。喫茶の店主の目線を通して、一緒にさまざまな国へと旅に出かけたような楽しいひとときを、商品を通して味わっていただけたら」と説明します。

モロゾフ公式ホームページで、同商品を販売している店舗を案内しており、その店舗での購入が可能です。(※無くなり次第終了/一部店舗では既に完売しています)

モロゾフ公式HP:https://www.morozoff.co.jp/quality/valentine_cpn/shoplist/
取材・文 いずみゆか
奈良を中心に関西の文化財やミュージアムを訪ね歩くのが大好きなライター
miyoka
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