1983年に大阪市平野区で創業し、1994年からは大阪市中央区に本社を置く世界的ゲームソフトメーカーのカプコン。1987年の発売以来、対戦格闘ゲームの歴史を刻み、今や世界中のプレイヤーを熱狂させている『ストリートファイター』シリーズや、サバイバルホラーゲームの金字塔『バイオハザード』シリーズ、社会現象を巻き起こした『モンスターハンター』シリーズなど、数々の人気タイトルを開発してきました。
その原点から最新技術まで、そしてゲーム作りのこだわりやスピリッツを多角的に捉えた『大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション』(以下、『大カプコン展』)が大阪中之島美術館(大阪市北区)で開催中です。
展示は「ROUND1~3」、「BONUS STAGE」、「FINAL ROUND」と5つのテーマで構成。それではさっそく中に入ってみましょう!
「カプコンゲームクロニクル」と題された「ROUND1」では、カプコンの主要キャラクターがパレードする、約16メートルの巨大アニメーションがお出迎え。その大きさはもちろん、生き生きとしたキャラクターたちの横顔に早くも魅了されます。
続く「ヒストリー」では、カプコンの歴史を年代別に振り返るほか、ゲーム機やソフトの実物も展示。子どもの頃に遊んだゲームに、お父さん、お母さん世代は懐かしさでいっぱいになるのでは。一方、今の子どもたちの眼には新鮮に映ること間違いなし。世代を問わず楽しめるのも、『大カプコン展』の魅力です。
さらに進むと、主要キャラクターのイラストや設定画像などの開発資料や、各ゲームの発売当時のポスターなどの展示が。俳優の金城武さんがキャラクターを務めたことで話題になった『鬼武者』のメイキング映像や、宝塚歌劇で上演された『大逆転裁判』、『戦国BASARA』の舞台衣装もあり、隅々まで堪能できます。
「テクノロジーとアイデアの進化」をまとめた「ROUND2」は、ドット絵時代の創意工夫の軌跡などを紹介しています。タブレット端末を使ってドット絵を打てる体験コーナーや、『ストリートファイター』の必殺技「波動拳」の進化を楽しめるコーナー、自分の表情に合わせてキャラクターの表情がリアルタイムに進化する「フェイシャルトラッキングミラー」といった体験コーナーも充実、よりゲームのクリエイションを身近に感じられます。
続く「ROUND3」のテーマは「ファンタジーとリアリティ」。カプコンが誇る人気キャラクターの立体像に制作過程を映すプロジェクションマッピングや、『モンスターハンター』の世界を表したフィールド模型にプロジェクションマッピングとAR(拡張現実)を組み合わせて立体的に見せる「モンスターハンター超立体図鑑」といった最新テクノロジーを紹介しています。
また、カプコンの開発者たちに代々受け継がれているという人体構造の考え方や描き方が記された手書きの秘伝書といった貴重な資料もずらりと展示されています。
『大カプコン展』大阪会場のみで見られる一大企画もあります。それは、霊長類最強女子と呼ばれた吉田沙保里さんと、『ストリートファイター6』のリュウによる対戦企画です! 実写映画さながらのバトルが展開される『ストリートファイター6』。進化を遂げた架空世界のファイターが現実世界のファイターと戦うとどんな展開になるのか…。格闘ゲームファンなら一度は妄想したであろう夢の対戦に吉田さんが挑みます。メイキングでは、格闘ゲームがいかにして作られるのか、その現場にも密着しており、いずれも見ごたえ抜群です!
『バイオハザード』の世界観を体験できる「バイオハザード・新ウォークスルー体験」も大人気。こちらは特別なセンサーが向けられた壁面のみにゾンビなどの映像が投影されるもので、参加者は特殊な懐中電灯型デバイスを持って侵入。ゲームの世界に入り込んだような感覚で楽しめます。
「BONUS STAGE」はモーションキャプチャーの疑似体験コーナー。自分の体の動きに合わせてキャラクターたちが動く様子をぜひ体感してください。
最後は「受け継がれるカプコンらしさ」と題された「FINAL ROUND」。ここでは、カプコンの人気ゲームが誕生するさらに前、開発者の頭の中にあった「想像」が「創造」へと変わる瞬間を閉じ込めた伝説の企画書が展示されています。丁寧な筆跡や詳細な図からは開発者たちの思いが手に取るように伝わり、「面白いものを作ろう!」という大阪の企業ならではの気概も感じられます。開発者のインタビュー映像からも、彼らのゲームに懸ける熱意と好奇心、そして愛情が伺えるので、最後までお見逃しなく。また、『大カプコン展』で感じた愛好者たちの思いがみんなのカプコンエピソードに掲示されており、老若男女から寄せられたメッセージにもカプコン愛を実感できることでしょう。
そんな『大カプコン展』をより知りたい人には、『バイオハザード』シリーズのレオン・S・ケネディや、『デビル メイ クライ』シリーズのダンテなど、多くのカプコンタイトルでキャラクターボイスを務めた森川智之さんがナビゲートする音声ガイド(貸出料金:1台 700円)がおすすめです。プロローグからエピローグまでガイドは全13場面。それぞれの展示の見どころを分かりやすくナビゲートしてくれるので、余すところなく楽しめます。
また、「大カプコン展公式図録」(3,960円)をはじめ、各タイトルの企画書をモチーフにした「A4クリアファイル」(440円)やキャラクターのアクリルスタンド(1,980円~)など、『大カプコン展』オリジナルグッズも充実。こちらもぜひチェックしてくださいね!
※表示価格は税込価格です
※グッズ商品には購入制限を設けています
本展覧会は6月22日(日)まで開催しています。詳しくは公式ホームページ(
https://daicapcomten.jp)をご覧ください。
大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション
【会期】2025年3月20日(木・祝)~6月22日(日)
【会場】大阪中之島美術館 5階展示室
取材・文:Iwamoto
大阪のライター。主に演劇、演芸や歌舞伎など伝統芸能、音楽は怒髪天や演歌歌手の取材やレポートを執筆。美術館などの建物紹介の記事も担当。
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