2025年4月13日から始まった大阪・関西万博(主催:2025年日本国際博覧会協会)。話題のインド館もオープンしてさらに盛り上がりたいですね。
万博の花はなんといっても海外パビリオン。各館では趣向を凝らした展示や催し物が日々繰り広げられ、併設レストランも連日賑わっています。
さて、南米・ペルーを最近訪れたことある方はいらっしゃいますか?
音楽「コンドルは飛んで行く」が頭の中を流れて、マチュピチュ遺跡やナスカの地上絵など、謎に満ちた古代文明の国、というのが多くの方が抱くイメージでしょうか…。
なんと、今のペルーはガストロノミー(食文化)の世界王者なんです!
旅行業界のアカデミー賞ともいわれる「ワールド・トラベル・アワード(WTA)」の「世界有数の美食デスティネーション」を何度も受賞。また、世界中の食通や批評家からなる審査員によって選出される、世界最高峰のレストランランキング「世界のベストレストラン50」では、2023年に首都リマのレストラン「Central(セントラル)」が世界一に輝き、それは欧州とアメリカ以外の大陸では初めての快挙でした。2024年には3軒が選出され、そのうち「Maido(マイド)」は5位を獲得(ちなみに日本からも3軒が入賞、最高位は「セザン」の15位)。
いまや世界の美食家たちが憧れる国、それがペルーなのです。
「ペルーまで食べに行くの遠いやん…」とお嘆きのみなさま、大阪・関西万博のペルーパビリオンを訪れてみてください。
レストランこそは併設されていませんが、ペルーパビリオンでは「ガストロバープログラム」といって会期中は毎日料理のデモンストレーションと試食などを実施。時間とその内容は以下の通りです(2025年4月現在)
▶10:30-12:00 コーヒー及びホットチョコレートの試飲
▶13:30-14:30 クッキング・デモンストレーション+試食(説明あり)
▶16:00-17:00 クッキング・デモンストレーション+試食(説明あり)
▶18:00-19:00 ピスコについての説明とカクテルの試飲
いずれも予約不要ですが料理の試食は各回200皿ずつと限りがあります。
ペルーからやってきたシェフによる料理のデモンストレーションのメニューは月替わり。
5月12日まで提供中のメニューは
・Ají de gallina (アヒ・デ・ガジーナ/鶏肉の黄色い唐辛子煮込み)
・Causa Limeña Maki(カウサ・リメーニャ・巻き)
・Totones de plátanos verde y chips de papas nativas con salsa huancaína (グリーンバナナとアンデスジャガイモのチップスウァンカイナソース添え)
「アヒ・デ・ガジーナ」(アヒは唐辛子、ガジーナは雌ひな鳥のこと)は、鶏肉をアヒ・アマリージョという黄色い唐辛子で煮込んだもの。鶏がらスープと食パンをミキサーにかけてとろみをつけ、それを数回に分けて弱火でていねいに温めていき鶏肉を合わせます。それをごはんにかけていただきます。
アヒ・アマリージョがポイントで、さほど辛みは強くないですが、マスタードのようなすっぱ辛さが料理にアクセントを加えています。シェフによると日本でもネットで買えるそうなので早速探してみようかと思います。
「カウサ・リメーニャ・巻き」はマッシュしたじゃがいもにレモン汁、アヒ・アマリージョを混ぜ、ツナやチキン、アボカドなどを層にして重ねた冷製料理。「Causa Limeña Maki」の「Maki」は「巻き」で巻き寿司からヒントを得たのでそう名付けられているそうです。マッシュポテトをすのこで巻いています。形の美しさもありながら、味はすっぱ辛くて重くなりがちなマッシュポテトがとても軽やかに感じられます。
ペルーの料理界は日本の影響もかなり受けているそうで、ペルー料理と日本料理を合わせた「コミーダ・ニッケイ」というジャンルもあるくらい。セビーチェ(生の魚介のマリネ)は提供する直前に混ぜ合わせるなど、こまやかな料理技術を取り入れ、研究の積み重ねが「美食の国・ペルー」として世界に君臨することになったのでしょう。
取材をしていると5月以降に提供されるセビーチェをシェフが作ってくれました。
マグロを使ったセビーチェに2種類のトウモロコシが添えられています。茶色く細長いのがローストコーンで白いのがジャイアントコーン。それにやはりアヒ・アマリージョが添えられています。白いジャイアントコーンは食感がもっちもち。セビーチェには強い味付けがされていないので、マグロそのものの味を楽しめて食にうるさい関西人もうなるはず。
このほか、コーヒー及びホットチョコレートの試飲やブドウで出来たペルーの代表的な蒸留酒・ピスコを使ったカクテル・ピスコサワーの説明と試飲など実施されています(無料)。
世界一を誇るペルー料理を試食するだけでも大満足ですが、展示も素晴らしいのです。
インカ以前の古代文明の展示は前期が「シパン王の宝飾展」(7月12日まで)、後期は「ナスカ文化展」(10月13日まで)。
現在展示されている「シパン王の宝飾展」ではペルー北部の砂漠地帯シパン村のピラミッドから発見された金銀装飾品の副葬品などを間近に見ることができます。
また、長年大切に守られているインディオの織柄をモチーフにした若手デザイナーによるファッションも展示。
古代から現在までペルーの縦糸を手繰る体験が待ち構えています。
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