大阪・関西万博(大阪市・夢洲)で、ラトビア共和国とリトアニア共和国が共同で運営するバルトパビリオン(セービングゾーン)には、ちょっとした有名人がスタッフとして働いています。
ラトビア共和国出身のアルトゥル・ガラタさん。日本を訪れては、日本の文化や日本語の使い方について独特の視点で楽しく紹介し、Ⅹフォロワーが47.6万人(2025年6月現在)と、「日本推しラトビア人」として大人気。そのアルトゥルさんにお話を伺いました。
―ラトビアはどんな国ですか?
そうですね。ラトビアは自然がとても豊かな国で、 国土の6~7割以上は森林です。一方でテクノロジーの最先端をいく国でもあります。例えば税金の支払いだとか、会社の設立だとか何もかもコンピューター化されており、そういった手続きはとてもスムーズにできる国です。ドローンを使った技術なんかも進んでいて、例えば、風車を定期的に掃除しないといけないんですけど、人間がやるとけっこう危ないのですが、ドローンで安全に清掃する技術があります。
―日本に興味を持ったきっかけは?
入り口はやっぱりアニメでした。小学校2~3年生くらいのころに、テレビでポケモンやセーラームーンといった日本の大ヒットのアニメが放映されていて、吹替版をよく見ていました。私が日本に興味があるんじゃないかと、おばさんが日本の習慣や文化について詳しく書かれた本をプレゼントしてくれて。それを読むと、これまで自分にとって普通だった考え方と違うところがあるかもしれないと、調べれば調べるほど日本に興味がわきました。
―日本語はどうやって習得したのですか?
独学です。教科書を見ることもありますし、学習用の復習アプリがあるので、それを使って言葉を覚えているのか繰り返しチェックします。とても勉強になって感謝しています。
日本語を勉強し始めて9年目ですが、もう少し完璧に使いこなさなければと思っています。
―日本はいかがですか?
今までは観光で短期的に日本を訪れていたのですが今回は長期滞在です。
日本の電話番号もゲットしたし、 PayPayで支払えるようになったし。このキャッシュレスのシステムは知っていましたが、実際に自分のスマホで支払って「ペイペイ!」って鳴るのが聞こえてきたら胸がキュンってなりました(笑)。
出勤の時には満員電車にも乗らなあかんしね(関西弁!)。これも自国ではそんなに経験したことがないことでした。そんな体験を繰り返し、より深く日本を楽しめるようになったんだなぁと実感しています。
今回はずっと同じところに住んでいるので、毎日外食するばかりではなく、家で和食の自炊に挑戦しています。でも、まだまだ調味料を使いこなせていないので、作り置きできるレシピを見たり、YouTubeで料理研究家リュウジさんの「バズレシピ」をよく参考にしています。簡単で分かりやすくて助かっています。
―お休みの日は何をして過ごしていますか?
連休が取れたらまだ行ったことのない都道府県へ出かけて行きます。
短めの休みだったらベッドでゴロゴロゆっくりと過ごすか、日本語の勉強をしています。私は日本人との会話で言葉を習得したところが大きいので、いままで手つかずだった日本語の文法を勉強しています。
―大阪での発見は?
パビリオンを訪れたお客さまに「蛸の轍」というたこ焼き屋さんを教えてもらい行ってみました。自分でたこ焼きをクルクルって作ることに「めっちゃ、大阪やん!」って。とても楽しかったです。
「無鉄砲」っていうラーメン屋にも行きました。ドロドロのラーメンですが大好き!まだそのくらいでしょうか…。もっと大阪の新しいお店を調べていろいろ行かなくっちゃ、ですね。
―バルト館を訪れる人にどんな体験をしてほしいですか?
急がずゆっくりとご覧いただきたいですね。バルト館は五感で楽しめるように作られていて、リラックスできる空間だと思います。自然を大事にしながら、テクノロジーを進めていく方法を考えましょうというメッセージ性もあります。パビリオン内のメインピースでもある「絆の壁」は、ただディスプレイを見るだけではなく、冷たく結露した壁に触って文字を書くことができて、「自然と遊ぶ」というアイデアをもとに作られたインスタレーションです。そういったことを体験していただきたいです。
展示されている300種類弱のハーブは実際にラトビアとリトアニアから持ってきたものなんですけれども、「この植物のお茶を飲んだら○○が治る」とか、「これは○○に効く」って知識をお持ちの方が結構ラトビア、リトアニアにはいらっしゃいます。
日本でよく見かける植物もありますが、扱い方は違ったりするので面白いですよ。
例えばゴボウ。ラトビア人は残念ながら根の部分を捨ててしまいます。おいしいのにね(笑)。でも、葉や花にお湯をかけてその液体を髪の毛に塗ると毛根が強くなるといって、そんな使い方をラトビアではするんですよ。
各植物の標本の横には名前と薬効やどう使うのかといった豆知識が記載されていますのでゆっくりご覧いただければ。
バルト館といえば、カウンターに置いていたミャクミャクのぬいぐるみが盗難にあい、そのニュースを知った人たちが寄贈して多くのぬいぐるみが集まったことが話題となりました。
「残念ながらもともとあったぬいぐるみは返ってこなかったのですが、皆さんからたくさんの愛を受けて感動しました」と語るアルトゥルさん。優しさには優しさ返しということでしょうか。届けられたミャクミャクは万博に来ることができない子どもたちが入院する病院に寄贈されたということです。
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