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音声ガイドに初挑戦!俳優・芳根京子に聞く「モネ展」の見どころとは?

2024.02.23

音声ガイドに初挑戦!俳優・芳根京子に聞く「モネ展」の見どころとは?
展示作品すべてがモネ。“モネ100%”の展覧会「モネ 連作の情景」。
大阪中之島美術館で開催中の本展覧会は、世界中の美術館から集まった約70点の貴重なモネの作品が一挙に展示されています。

展覧会のナビゲーター・音声ガイドを務めるのは、俳優の芳根京子さん。
芳根さんが感じるモネの魅力や大阪展の見どころなど、たっぷりと聞きました。
―モネの代表作「睡蓮」をご覧になっていかがですか?
「睡蓮」の連作が並ぶこの空間が本当にぜいたくだなと思います。大阪では新たに4点の「睡蓮」が追加されたと聞いたので、ぜひ大阪でしか見られないこの空間に来て頂きたいと本当に思っています。

-芳根さんは同展の特番で「睡蓮」が描かれたフランス・ジヴェルニーにあるモネの家に実際に行かれたんですよね。
とにかくおうちの色もかわいいし、中もすごくかわいらしくて、お庭もお花で華やかでした。蓮の池の方に行くと静かな世界が広がっていて、派手ではないのに美しいというか「静の美」というか。モネは日本のことが好きということもあるからか、日本の庭園みたいな印象を受けたので、日本人としてちょっと誇らしく感じるなと思いました。

―番組でモネの家を拝見しましたが、夢の楽園のようなすてきなおうちでしたね。
本当にすてきだったのでフランスを訪れた後、プライベートでも高知県に再現された「モネの庭」に行ってきたんです。一人で(笑)。この1年“モネづくし”の年になりました(笑)。

―大阪展では新たに11作品が加わりましたが、ご覧になっていかがですか?
東京で展示されていた作品も多いのですが、「空間」とか「光」とか、会場や壁の色が変わるだけで、こんなにも作品から受ける印象が違うんだなと思いました。同じ作品を東京と大阪の2つの会場で見られるぜいたくさを私は今回とても感じています。モネ展にまだ行かれていない方はぜひ見に来て頂きたいですし、東京に行かれた方も機会があれば、新しい11点の作品が加わった大阪展も見て頂きたいなと思います。

―「チャリング・クロス橋」も東京展では1点だったのが大阪展では2点に増えましたよね。
生でみるとあの絵って光っているんですよね。最初東京でみたときとても印象的で好きだなと思ったのですが、大阪で加わった作品はまた違う「光り方」「輝き」を放っているなと思いました。作品を並べて見るからこそより連作のおもしろみというものがすごく感じられるので、今回の「連作の情景」というタイトルにぴったりな作品だなと改めて感じる2枚でした。
―特にお気に入りの作品はありますか?
大阪展のみに展示されている縦型の「睡蓮」の作品が好きです。
すごくかわいらしい紫色だなと思ってじっくり見ちゃいました。すてきです。
―芳根さんが感じるモネの魅力はどういうところですか?
もちろん「光」や「色彩」も本当に美しいのですが、そんなわけないのに「香り」を感じるというか。
作品の前に立つと作品ごとに流れる空気が違うような気がして、すごく引き込まれる感じがあるんです。目だけではなく「五感」で楽しめる作品だなと感じていて、それがとても魅力だなと思います。

―「香りがする」という表現とてもすてきですね。
実際に作品が描かれたフランスに行ったから感じることもあるかもしれませんが、オランジュリー美術館で「睡蓮の間」という睡蓮の作品がずらりと並ぶ2つの展示室に入ったとき、肌に感じる温度が展示室ごとに違うと思ったんです。「これ冷房じゃないよね?」「部屋の温度は一緒だよね?」と聞くくらいに2つの展示室の空気が違う感じがすごくしました。特に2つ目の展示室からは、とても強いエネルギーも感じたんです。言葉にすると私の語彙力では言い表せられない「すごみ」を感じて、心にすごく刺さったんですよね。

―そのようなご体験は他にもありましたか?
初めてでした。この感情を言葉にするのが本当に難しいなと思うのですが、ネガティブな気持ちではなくてポジティブなはずなのに、なんでか心に突き刺さるものがありました。少し涙が出たのですが、それは何かを抱えきれなかった涙。何をと聞かれてもそれがわからなくて。そういう言葉にできない感情にさせられるというのが、また芸術のおもしろさだなと思いました。こんなにもあの時の感情に名前が付けられないというか、なんだかわからないけれど私にはすごくポジティブな意味で重かったんです。

―お芝居をされる表現者として、モネから学んだことや刺激を受けたことはありましたか?
モネって誰もがきっと名前を聞いたことがあったり、作品を見たことがあったり、本当によく知られている画家だと思うんですけれど、そんなモネでもサロン(官展)で落ちたり、自分の描きたい絵では評価されなかったりと壁にぶつかっていて。「モネでもそうだったんだ」と思うとある意味勇気をもらったんです。私もお芝居をしていて人から評価される仕事なので、自分が「いい芝居ができた」と思ってもそれが人に届くかといったらまた話が違うし、逆に「そんなに評価してもらえるの?」っていうこともあるかもしれないし。それはわからないけれど、やっぱり芸術というくくりとしては同じことなんだなと感じたので、自分のやりたいことを大切にしたいなと思いましたし、すごく勇気をもらいました。
―ちなみに芳根さんご自身はアートの才能というのは・・・
ないです!こればっかりは生まれ持ったモネの才能と真逆です (笑)本当に絵心がないです!(笑)

―音声ガイドも務められましたが、どのようなところが難しかったですか?
今回音声ガイドに初めて挑戦させて頂いたのですが、やっぱり主役は作品なので、どうしたら邪魔にならずに、知識というか補足の情報をお伝えできるかなとずっと考えていました。とにかく「邪魔にならないように」ということを心掛けました。

―大阪展に来られる方にどんな風に展覧会を楽しんで頂きたいですか?
難しいと思わず、アートに触れたことがない方でも安心して来て頂けたらなと思います。知識を得なきゃいけないとかそういうことでは全くなくて、純粋に絵を見て何かを感じて頂けたらうれしいなと思いますし、少し補足として音声ガイドを使って、より一層モネの魅力を知って頂けたらうれしいです。

―最後に、大阪展に来られるみなさまにメッセージをお願いします!
東京展の時もたくさんの方から「生で見ないとわからない魅力がある」との言葉を頂いたり、「知識がなくても、アートに触れたことがなくても本当に楽しかった」「これからいろいろな美術館に行ってみようと思います」という声を頂いて…今回モネ展に携わらせて頂けたことがすごくうれしいなと感じました。私もアート初心者だったのですが、今はすごくモネに魅了されています。「モネ 連作の情景」は大阪展が最後になるので、東京に行かれた方もぜひ大阪展を見て頂きたいなと思いますし、まだご覧になっていない方は大阪展がラストチャンスになりますので、たくさんの方に来て頂けたらうれしいです。この喜びや感動を、一緒に共有できたらうれしいなと思います。
『芳根京子 モネを通して見た光』
【放送日時】2月25日(日)午前8:30~9:00(予定) 関西ローカル

https://www.ktv.jp/monet/
「モネ 連作の情景」
【会期】2024年2月10日(土)〜5月6日(月・休)
【会場時間】10:00〜18:00(17:30 最終入場)
【休館日】月曜日(4/1、15、22、29、5/6は開館)
【会場】大阪中之島美術館5階展示室(大阪市北区中之島4−3−1)
【観覧料】一般2,500円、高大生1,500円、小中生500円
詳しくはhttps://www.ktv.jp/event/monet2024/
芳根京子(よしね・きょうこ) 東京都出身。
2013年フジテレビ系ドラマ『ラスト♡シンデレラ』で女優デビュー。
2016年度後期のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』ではヒロインを務め、
2019年 映画『累ーかさねー』、『散り椿』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
その後も数々の作品で主演を務めるなど、ドラマ、映画、舞台、CM、声優と多彩なジャンルで幅広く活躍中。
miyoka
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