聞いてみよか

藤原丈一郎「なんで関西弁の練習をしているんやろう」

2025.06.20

藤原丈一郎「なんで関西弁の練習をしているんやろう」
7月3日深夜よりスタートするドラマ『ロンダリング』。同作は、「死者の声が聞こえる」という特殊能力を持った売れない役者・緋山鋭介が、不動産会社から事故物件のロンダリングを依頼される中で、社会の闇に消された人々の非業の死の真相に迫っていく物語です。そんな緋山役を務めたのが、なにわ男子のメンバーである藤原丈一郎さん。藤原さんにとって同作は、地上波連続ドラマ初単独主演となります。そこで今回は、東京都内で開かれた取材会にて、藤原さんに『ロンダリング』についてお話を聞きました。
―藤原さんが演じた緋山は劇中、いろんな事故物件に足を踏み入れます。実際に昨今、事故物件だと認識した上でそこに引越す人もいるそうですが、藤原さんは事故物件に住みたいという気持ちは…。

絶対に無理です! そしてもしそこに幽霊がいるのなら、僕はその幽霊に対して苛立ちを覚えます。「一緒に暮らしてるんやったら、お前も家賃払えよ」って。だって勝手にテレビをつけたり、水を流したりしるんですよね? でもおっしゃるように、今は進んで事故物件に住んで、映像に撮ったりされる方もいらっしゃいますよね。事故物件は家賃も安いと聞きますけど、僕はちょっと怖さがあります。
―バラエティ番組の企画なら、どうですか?

『ロンダリング』の放送に合わせて、カンテレさんの番組で行かされそうな気がしますよね(笑)。お話が来たら前向きに検討はしたいですけど、やっぱり内容にもよるかも…。もし、すごく楽しい霊が出るなら行ってみたい。カーテンが開いて、閉じて、開いて…となって、「次に閉じるんかな」と思ったら逆側のカーテンが開いたりして。そういうときは「いやいや、閉じへんのかーい!」とツッコミを入れたいです。でもドアがドンドンドンと鳴って、開けたら誰もおらんとか、そういうガチなのはご遠慮させてください。
―なにわ男子のメンバーで幽霊が見える人などはいらっしゃるんですか。

うちのメンバーだったら、大橋(和也)とか高橋(恭平)なんかは絶対に見えへんのに「あ、ここあかんわ」とか言い出すタイプ。「なんか暗くない?」とか言うけど、ただ単に電気が暗いだけやったり。「そこに誰かいる」とか言っても、それはほんまにそこに人がいるんです。つまりうちのメンバーは誰もそういう能力は持っていませんね。
『ロンダリング』藤原丈一郎

『ロンダリング』藤原丈一郎

―今回、緋山を演じる際、どのようなイメージでアプローチされましたか。

肝となるのは、緋山だけが唯一、幽霊の声が聞こえるという特殊能力を持っていること。監督さんたちもその部分にこだわりをもっていらっしゃって、幽霊の声が聞こえる場面は特に時間をかけて撮影しました。台本1ページだと通常は1時間くらいで撮影を終えるけど、その場面だけは倍くらいの時間をかけましたし。カメラワーク、カット数などもかなりこだわっていて、視聴者の皆さんがよりリアルに感じられるようになっています。あと、幽霊の声がどこから聞こえてきているのかという部分も注目してほしいです。声の聞こえ方が一方通行ではなく、例えば右の角から聞こえて、次は左の角とか、そうやって聞こえ方も計算されているんです。
―緋山は関西弁で喋りますが、大阪出身(池田市)の藤原さんにとっては慣れ親しんだ言葉ですから、台詞回しはそれほど苦労はなかったのではないですか。

ドラマは標準語が多いので、今回は確かにやりやすさはありました。でも関西弁でも、地域によって言い回しが違うんです。僕は北摂の地域の出身ですが、たとえば南の地域では普段は使わない言い回しがあったりする。わずかな違いがあるので、たまに関西人なのに関西弁を噛んじゃったりもしました。滞在先のホテルでは関西弁の練習もしていましたし。でもそういうとき「自分は関西人なのに、なんで関西弁の練習をしているんやろう」と思ったり(笑)。
―緋山の魅力はどんなところにあると思いますか。

ひと癖あるキャラクターが多い中、彼はまっすぐで、正義感や信念を持っています。1話では、大谷亮平さんが演じた天海吾郎社長と言い合うシーンがありますが、そこから回を追うごとに成長があります。僕はそんな緋山の正義感を大事にしていこうと思っていました。緋山だからこそ言える言葉、感じ方がたくさんありました。それが周りにも影響をもたらしていくんです。ですので、正義感を心がけながら演じていました。
『ロンダリング』藤原丈一郎

『ロンダリング』藤原丈一郎

―大谷亮平さんと初共演された感想を教えてください。

緋山のペースと、大谷さんが演じられた天海吾郎社長のペースには大きな違いがあります。掛け合いの中で、天海社長のペースに流されないように心がけていました。あと印象に残っているのはクランクインの日の撮影。いきなり大谷さんとの長台詞での撮影があったんです。「これ、舞台か?」と思うくらいの掛け合いを、ほぼ初めましての状態でやりました。いい緊張感もあり、お互いに引かずに役で戦えた気がしました。あの撮影が初日の最初にあったからこそ、監督さんも「(作品の方向性が)見えた」とおっしゃっていたので、それがすごく思い出深いです。
―物語に登場する事故物件のセットはどんな感じでしたか。

美術チームのみなさんによるお仕事がすごすぎました。特にゴミ屋敷。事前に聞いていた話の遥か上をいっていて、「こんなゴミ、どこで集めていたんですか」と聞いたほど。どうやら数ヶ月間、カンテレのスタッフさんたちのゴミを集め、それを倉庫に置いておいて撮影に持ってきたそうなんです。だから本物のゴミなんだけど、しっかりと洗っているから臭いは全然しないんです。プロの仕事やなって思いました。
―あらためて『ロンダリング』の見どころについて教えてください。

回を重ねるごとにみんな成長していきます。またいろんな謎が解けていきます。最終話は特に見どころ。あと、緋山が霊媒師、警察官などに扮して事件解決に挑むところも楽しんでほしい。ちょっとしたバラエティ要素も感じられて、良い意味で「関西のドラマやな」と思えるのではないでしょうか。
『ロンダリング』 左:菅井友香 中:藤原丈一郎 右:大谷亮平

『ロンダリング』
左:菅井友香
中:藤原丈一郎
右:大谷亮平

インタビュー・文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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