前回のラストで、まどかに「俺たち、別れよう」とまさかの言葉を伝えた昴(永瀬廉)。辞表を出して仕事も失い、親友とも決別した自分は、まどか(山下美月)の重荷になるだけだと考えたのです。
そんな昴を励ましに来たのは、意外なことにライバルだったはずの成田(小関裕太)です。まどかの部屋のキッチンを借りて、昴のためにカレーを作って差し入れた成田。自分と同じ亘(鹿賀丈史)の孫である昴に嫉妬心を抱いていたことを伝えながらも、亘の思いをいちばんに受け継ぐ昴に退職を考え直すよう話します。
「服天もまどかも譲る気はない」と言っていたはずの成田ですが、昴の前向きさやまっすぐさを見て、成田もどこか考えが変わったのかもしれません。このまま昴が会社を辞めれば、いずれ後継者として自分が有利になる可能性があるのに。昴にフェアに向き合う成田の誠実さを感じました。
昴と話し終えた成田は、帰り際、見送りに出たまどかを「あきらめられない」と抱きしめました。でもまどかは、昴が自分のもとから去ろうとしたショックから立ち直れないまま。「口では好きと言っても、結局みんないなくなる。もうだれのことも信じられない」と傷ついた表情を見せます。昴との恋愛に踏み出したことは、まどかにとって想像以上に勇気が必要だったのだとわかりました。
切ないシーンが続いた第11話ですが、前半では「妄想彼女・まどか」が再登場して笑わせてくれました。まどかと成田が一緒に帰宅したことを心配した昴の脳内で、成田とまどかの妄想カップルが現れたのです。「縦の糸はきみで、横の糸は僕だったんだね♡」「2人であたたかい布を織りなそう♡」と、愛の名曲を思わせる成田のセリフに、吹き出して笑いました! 楽しいラブコメシーンの復活がうれしかったです。
さて、昴と決別してしまった友也(西畑大吾)にも、新たな展開が訪れます。本社を訪れた父・雅也(大西武志)が、東雲社長(筒井真理子)から、友也が新たな部門の責任者になると聞き、友也が描きためたデザイン画を持ってきたのです。友也は昴とともに服をデザインしてきたことや、2人の会社のブランドロゴに込められた意味を思い出し、涙します。そして、あることを決意するのでした。
一方、昴とのことにショックを受けたままのまどかでしたが、成田に背中を押され、友也にも「昴を信じて待ってあげてほしい」と頼まれ、昴に向き合う決心をします。社員寮の階段で昴の帰りを待ち、「そばにいない方がいいなんて言わないでください」と、自分の思いを伝えます。改めて昴への思いを告白するまどかは、とびっきりかわいかったです。目をうるうるさせて微笑みながら「好き」を伝える言葉に、大好きな人を信じる気持ちが込められているように感じました。
自分に自信をなくしていた昴も、少し回り道をしたけれど、まっすぐで前向きな昴らしさを取り戻したようです。昴もまどかも人として成長し、絆を深めたように見えました。
バラバラになってしまったピースが少しずつつながりはじめたような第11話でしたが、さて、いよいよ来週は最終回。子供服部門の存続の行方は? 昴と友也の友情はどうなる? そして、まどかと実の母である東雲社長は和解するのか……? 昴の恋以外のストーリーがどんな結末を迎えるのかも楽しみです!
文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども1人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。