『あなたを奪ったその日から』第4話 レビュー(Xの反応)
『
あなたを奪ったその日から』第4話。中越紘海(北川景子)が、結城萌子(一色香澄)に中越美海と名付けて一緒に暮らし始め、10年が経っていました。美海(一色香澄)は中学1年生に。相変わらずの鉄道オタクっぷりで、部屋の中には電車に関する本がずらりと並んでいます。
▼「あな奪」のレビュー記事を連載中!
紘海は結城(大森南朋)への恨みに鍵をかけ、美海との生活の穏やかさを守って生きてきた様子。美海からお小遣いの前借りをお願いされながら、お弁当を作っているシーンで軽口を叩き合う姿は、本当の親子そのもの。卵焼きのつまみ食いを嗜(たしな)めるシーンはアドリブ?と感じるほど、自然でした。
本来の明るさを取り戻し始めていた紘海ですが、ひょんなことから梨々子の元家庭教師・玖村毅(阿部亮平)と出会ってしまいます。玖村は、萌子が行方不明になった日、紘海を結城家の前で目撃しています。自販機の補充にやってきた玖村が、紘海の顔をじっと見つめた場面では、もしかしてバレるのでは!?とドキッとしてしまいました。
次の日も玖村と話すことになった紘海は、玖村の過去を聞くことに。玖村は、梨々子(平祐奈)が拡散したセクハラのデマにより、獲得していた内定を取り消され、職を転々としていたのです。玖村の怒りを押さえた淡々とした口調がむしろ恨みの強さを感じさせるシーンでした。玖村の口から出たのは、紘海が知らない結城の現在。紘海の表情には戸惑いと共に、再び結城への憎しみが浮かび上がってきます。この二人が共謀することになるのか?と感じるほど、二人の憎しみの強さを感じました。
結城が現在経営しているスーパーの志として記されていた「健康で豊かなお客様の食卓」「健康・安心・安全」。そして、スーパーには「ミックスピザ」も売られている。一つ一つの情報が紘海の心に闇をもたらしていく過程が辛く苦しい……。あんなに穏やかな笑顔を見せていたかと思えば、一瞬で恨みの強さを感じる表情に変化する北川さんの振り幅にぞくっとしてしまいました。
憎しみを思い出してしまった紘海は行動を抑えることはできない様子。偶然を装い、玖村に接触。玖村は、紘海の知らない食品事故後の結城の様子を話し始めます。玖村は、結城がYUKIデリの調理責任者である鷲尾勇(水澤紳吾)と言い争っているようなやり取りを聞いていたのです。「社員ぐるみで何か隠蔽していたのではないか」という玖村の話を聞き、紘海の表情には強い復讐心が。北川さんの強い目力と「許せない」という低い声に、今も紘海の中に残る苦しみと悲しみを感じました。
憎しみを押さえ切れない紘海は、結城の働く会社の求人を見つけてしまいます。紘海自身も萌子を誘拐する罪を犯している。それがバレないようにするためには結城との関わりを断つべき。そうして過ごしてきた10年間だったのに、ふとしたきっかけで結城への憎しみが噴出してしまう。紘海が自分の黒い感情に抗えない様子が痛いほど伝わってきました。
紘海は結城の会社の面接を受けることに。しかし、勝手に転職しようとしていたことで、美海と喧嘩になってしまいます。美海はなぜこんなに怒っているのだろう?と思いましたが、大好きなお母さんが頼ってくれないことが悲しかったのかもしれませんね。
面接に臨んだ紘海は、久しぶりに見た結城の姿に戸惑いうまく受け答えができませんでしたが、結城から売り場の印象について聞かれた紘海は、途端に冗舌に。的を射た指摘で結城を圧倒します。紘海が語った内容は、どれも保育園の管理栄養士として、美海の母として経験したことが生かされた内容ばかり。かっこいいシーンでしたが、食品事故がなければ優秀な管理栄養士として、良き母として生きていけたのかもしれないと胸が苦しくなりました。
面接を終えた紘海に、美海からメッセージが。電話をすると、美海からは素直な謝罪の言葉が。紘海と美海の本当の親子のようなケンカと仲直りは、ただのホームドラマならいいのにと願ってしまうほど、すてきなシーンでした。
穏やかな表情を浮かべる紘海。しかし、美海との電話は結城に見られていました。結城に「お嬢さんですか?あの時は3歳って言ってたような」と声をかけられます。結城は、紘海と料理教室で会っていたことを覚えていたのです。萌子を誘拐して以来初めての対面にドキドキが止まりませんでした……!結城が告げた採用通知も、憎めない言い方でしたね。結城ってもしかしたら、優しい人なのか?なんて思ってしまいました。
紘海の胸に再び結城への恨みが芽生え、結城に接触するために転職することとなった第4話。紘海以外の登場人物たちも独自の行動を見せています。結城は萌子の捜索のリミットを半年後の12月と定め、週刊誌記者の東砂羽(仁村紗和)はYUKIデリの調理責任者だった鷲尾をカギに取材を進めようとしている様子。そして、砂羽にも結城との間に問題があることが示唆されました。玖村を陥れた梨々子は、玖村をマッチングアプリで見つけ、ほくそ笑んでいました。物語が動きだしそうな予感がしますね。
放送直後のX(旧Twitter)では、「親子ゲンカできるのは、美海が紘海を信頼している証」「園長先生にバレちゃうのかな……」など、美海と紘海の現在を見守っている視聴者が多いようです。また、玖村の退廃した現在を心配する声もありました。梨々子と再び接触する玖村がどう動くのか楽しみです。
第4話の最後には、紘海が務めていた保育園の園長・小石川雪子(原日出子)が紘海の自宅へ。学校から帰宅した美海と雪子が出会ってしまいました。ずっと美海との生活を隠し通してきた紘海。雪子がどんな行動に出るかで、紘海に危機が訪れてしまいそうです。できればこのまま、紘海と美海に何も起きませんように……。
取材・文:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
カンテレIDにログインまたは新規登録して
コメントに参加しよう