『僕達はまだその星の校則を知らない』栄莉弥さん インタビュー
磯村勇斗さん演じる白鳥健治が、共学化に揺れる私立高校で「スクールロイヤー(学校弁護士)」として学校のさまざまな問題と向き合うドラマ
『僕達はまだその星の校則を知らない』(カンテレ/毎週月曜午後10時)。
カナダのトロント出身で、メンズノンノ専属モデルを務める栄莉弥さん。教育熱心な父親からの強いプレッシャーを感じる3年葵組・有島ルカを演じます。ドラマ初出演となる本作に向けた意気込みや見どころを伺いました。
──『僕たちはまだその星の校則を知らない』に出演が決まった時、どのようなお気持ちでしたか。
オーディションを経て役をいただけたのは、本当にうれしかったです。自分の中でオーディションは「自分との勝負」だと考えていたので、目標達成できたと感じています。もちろん、これからの目標はたくさんあるんですけど、今は素直に喜んでいます。
──ドラマ初出演とのことで、どのようなことを意識して撮影に臨んでいますか?
初めてのことしかないので知らないことばかりですが、 「知らなくてできない」と自分を責めるのではなく、知らないことは素直に聞いて、アドバイスをいただいて、都度学んで吸収していくことを大事にしています。
監督もプロデューサーの方たちも、「(自分の)役のこういうところが分からない」といった相談を親身になって聞いてくれるので話しやすいです。 言われたことを聞いて、自分のできることを100%で出していくことを意識して撮影に臨んでいます。
──演じている「有島ルカ」について、どのような人間だと思いますか?
親からプレッシャーをかけられている有島の状況は、ドラマだけでなく現実の世界でもたくさん起こっていると思います。子どもは基本的には親に言われたことを信じるし、従います。
有島には自分が「好き」と感じることや「僕はこうしたい」との思いがあると思うんですけど、親が求めてくるのは自分の思いとは違うこと。共存できないから、医学部を目指すことを強いられつつ、「本当の僕はこうじゃないんだけどな」と思って、周りで自由にしている生徒たちがうらやましくて、妬んでしまって思ってもないことを言っちゃうんです。
有島は、なかなか素直になれないんですね。最初、自分の中で有島の気持ちを消化するのが難しかったんですけど、監督に相談して対話を重ねて、自分の中でも台本を読んだりしていく中で理解が深まってきました。
──栄莉弥さんご自身と「有島ルカ」の共通点はありますか?
有島はアメリカ人の母と日本人の父を持っている役なんですけど、僕も父がカナダ人で母が日本人。アイデンティティーの面で多国籍の子どもには、よくあることだと思うんですけど、どちらの国でも「所属できていない」ように感じられ、僕の故郷はどこなんだろうと。成長してきた中で、自分のよりどころが分からない葛藤や不安を抱えたことがありました。
今回、アイデンティティーはメインで描かれていないですが、「有島」という少年が生きてきた道を想像した時、「自分と同じ悩みを抱えていたのかな」と思いました。
あと、有島は元々バスケ部なんです。僕も、この仕事を始める前はバスケをずっとやっていました。有島は「体を動かすのが好き」というアクティブな面もありつつ、医学部を目指すために勉強するという違う道に行きました。違う道に進んでも、バスケへの愛があるのは共感できます。
──役柄と共通している部分が多く、演じやすそうな印象です。
(脚本の)大森美香さんが”あてがき”(栄莉弥さんをイメージして脚本を作ること)で書いてくださったので、自分との共感性があるところもあります。でも、親からの重圧や勉強に対するプレッシャーは経験したことがありません。プレッシャーが理由でメンタルが不安定になるのは、最初は理解するのが難しかったです。撮影を重ねていく中で、自分の中で少しずつ有島が出来上がっている感じですね。
──ドラマの舞台が学校ということで同世代の共演者が多いですが、普段はどのようにコミュニケーションをはかっていますか?
リラックスしている時はみんな和気あいあいとおしゃべりしていて、それが楽しくて。シーン前はそれぞれ集中するので、メリハリも付けられる良いチームだなと思います。お互いに思いやりがあり、親しみやすい人がたくさんいて楽しいですね。
──撮影中、印象に残っているエピソードはありますか。
1話の「模擬裁判」のシーンで、僕の出番が終わった後も現場は撮影が続いていたのですが、山口監督が「そばで一緒に見ていいよ」と言ってくださったことです。イヤモニ(イヤフォン型のモニター)を貸してもらい、監督と同じ場所から共演者のお芝居を見て学ぶ貴重な機会で印象的でした。自分から積極的に学ぶチャンスを掴みに行こうという意識も芽生えました。
──モニターから共演者の演技を見て、どういう点が学びにつながりましたか。
自分の出演シーンでは、僕は遠くから肉眼で理事長役の稲垣(吾郎)さんの姿を見ていました。でもモニター越しに見てみると、「こんなに苦しそうだったのか」「自信満々な表情をしているな」など、稲垣さんの表情が変わっていることに気付きました。遠くからだと身振り手振りしか見えなかったのが、カメラは細かい表情の変化をすくってくれると分かり、おもしろいと思いました。
──視聴者にメッセージをお願いします。
今回のドラマは学園物なんですけど、ずっとキラキラしているわけではありません。第1話ではジェンダーと校則のズレがテーマでしたが、現代社会を生きる高校生がぶつかる悩みが取り上げられています。
スクールロイヤーの白鳥弁護士は法律のプロでありながらも、明確な答えを出さずに問題と向き追おうとします。弁護士と聞くと明確な答えを出すイメージが強いと思うんですけど、白鳥弁護士は「この人はこう感じていて、でもこっちの人はこう感じるから、お互いに納得できるところはどこだろう」と生徒や先生に寄り添いながら、ぶつかった点や悩みを解決していきます。
最初は相手のことを理解できなくても、問題と向き合ううちに相手を思いやることができるようになって、寄り添うことができるようになって。ドラマでは、いろんな生徒の悩みが先生たちにぶつかっていきます。毎回、いろんな乗り越え方をしていきます。その問題を乗り越えていく白鳥弁護士と生徒と先生の姿が見どころだと思うので、ぜひ見ていただきたいです。
取材・文:宅野美穂
都内在住のライター。主に、インタビュー記事を執筆。本とゲームと音楽が好き。
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