磯村勇斗『ぼくほし』第9話レビュー、告白からのまさかの「逃走」もどかしい恋と生徒に忍び寄る「薬物の影」

2025.09.08

磯村勇斗『ぼくほし』第9話レビュー、告白からのまさかの「逃走」もどかしい恋と生徒に忍び寄る「薬物の影」
磯村勇斗さん主演の月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(カンテレ・フジテレビ系)。

男子校と女子校が合併し、共学化に揺れる私立・濱ソラリス高校で、法律や校則では簡単に解決できない若者たちの青春に向き合う「スクールロイヤー」として派遣された弁護士・白鳥健治を磯村さんが好演しています。

9月8日に放送された第9話では、健治(磯村勇斗 )の恋が大きく動く一方で、生徒たちが直面する深刻な闇も描かれ、物語は新たな局面を迎えました。
『僕達はまだその星の校則を知らない』第9話

『僕達はまだその星の校則を知らない』第9話

「好きです」最高の告白ムードを打ち壊した、健治の“逃げ癖”

文化祭の夜、健治は想いを寄せる教師の幸田珠々(堀田真由)と、天文室で2人きりでプラネタリウムを鑑賞することに。
自分を「普通のことしか言えない」と卑下(ひげ)する珠々に対し、健治はこれまで見てきた彼女の姿を、熱のこもった言葉で肯定します。

「あなたが普通で、あなたみたいな人ばかりなら、きっと世界はもっと良くなっているはずだ。あなたはちっとも普通じゃない」 「だから僕は、あなたのことを……」

これ以上ないほどロマンチックな雰囲気。誰もが健治が珠々に告白するのを期待したその時、「好きです」と想いを伝えたのは、なんと珠々でした。

しかし、健治は動揺したのか、まさかのその場から逃走! 思わず「それはダメだって!」とツッコミを入れたくなる展開に、フラれたと勘違いした珠々は倒れ込んでしまいます。

後日、珠々を自宅に誘い、彼女が心の支えにしている宮沢賢治に嫉妬してみせるなど、どうやら健治にフッたつもりはなかった様子。あまりの不器用さとややこしさに、見ているこちらもヤキモキさせられます。

健治の不器用さの根源?分かり合えない父とのもどかしい確執

治が肝心な時に逃げ出してしまう癖は、疎遠になっている父・誠司(光石研)との関係が根源にあるのかもしれません。文化祭に突然現れた父との再会や、父が理事長の尾碕美佐雄(稲垣吾郎)と知り合いだったことに動揺したのか、健治は倒れてしまいます。

保健室で、尾碕が健治を「学校を敵のように思っている」と皮肉っても、父はかばうどころか「迷惑をかけるなよ」と苦言を呈す始末。健治が本当に欲しい言葉は、きっとそれではないはず。

父子の間に横たわる深い溝は、まだまだ埋まりそうにありません。
『僕達はまだその星の校則を知らない』第9話 左から)健治の父・誠司(光石研)、尾碕美佐雄(稲垣吾郎)

『僕達はまだその星の校則を知らない』第9話 左から)健治の父・誠司(光石研)、尾碕美佐雄(稲垣吾郎)

「OD」「チョコ」青春の裏側で深刻化する薬物問題、衝撃のラストへ

健治のもどかしいエピソードと並行して、生徒たちの間には深刻な問題が忍び寄っていました。

元生徒会副会長の斎藤瑞穂(南琴奈)は、幼なじみたちがカラオケで「OD(オーバードーズ・薬の過剰摂取)でふわふわしている」「チョコ(大麻の俗称)も外国なら合法」と悪びれもなく話す姿に衝撃を受けます。

若者の薬物乱用という社会問題をリアルに描いた描写は、観る者に衝撃を与えます。
さらに斎藤は、幼なじみから女子中学生への危険な「おつかい」を頼まれてしまいます。

断りきれないまま、登校しようと自宅を出た斎藤に刑事が声をかけるというラストシーンは、波乱の展開を予感させずにはいられません。
斎藤の身に一体何が起こるのか。そして健治は、彼女を救うことができるのでしょうか。恋と青春のきらめきだけではない、現代社会の闇に切り込む物語から目が離せません。

波乱の予感しかない次回に向けて、斎藤の身を案じながら1週間を過ごします。
取材・文:宅野美穂
都内在住のライター。主に、インタビュー記事を執筆。本とゲームと音楽が好き。
miyoka
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