齊藤京子×水野美紀 W主演『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第4話 レビュー
ママ友いじめによって娘の優奈(大友花恋)を失った55歳の母親・玲子(水野美紀)が全身整形で25歳の新米ママ・レイコ(齊藤京子)に生まれ変わり、ママ友たちに復讐(ふくしゅう)してゆくドラマ『
娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』(カンテレ・フジテレビ系/毎週火曜よる11時~放送)。第4話では優奈の自殺の原因となった自殺の真相が明らかにされてゆく。
第3話で二人のママ友に復讐を果たした玲子/レイコは、優奈の月命日に自殺現場で花を手向ける女性・由紀子(水嶋凜)と出会う。由紀子は優奈がいじめられる前に沙織にいじめられていたママで、優奈は彼女を庇(かば)ったことによりボスママ・沙織(新川優愛)の反感を買ったという。
そして、沙織の家での誕生日会での出来事が優奈の自殺の引き金になったことを聞かされた玲子/レイコは、優奈の死後に送られてきた誕生日会の動画を再検証。玲子の全身整形を手掛けた闇医者・成瀬(白岩瑠姫)の協力で鮮明になった映像の細部を見直すなかで、優奈を陥れた思いがけない犯人を知る―—。
▶ここまでやる!?とことん攻めたいじめシーン
優奈に対するいじめシーンは第1話でも断片的に登場したが、第4話ではその全貌がさらに容赦なく描かれてゆく。
ボスママの沙織から、新入りママの仕事としてお遊戯会の衣装を一晩で作ってくるように言われた優奈。必死で作ってくるも「リボンの位置がおかしいじゃない」「縫い目も荒いし、いちからやり直しね」とダメ出しされた挙句、「やっぱりプロにお願いしたの」。
追い討ちをかけるように取り巻きママが「これ全部ムダになっちゃったわね」「もったいないので雑巾にでもしましょうか」「トイレの床でも拭こうかしら」「あんたの顔でも拭いてやろうかしら」「便器に流してやる」と衣装をハサミでチョキチョキ切り刻む。
子供の前でここまでやる!? と突っ込みたくなる壮絶さだが、リアリティーの度を超えた演出で、カラッとしたケレン味を醸し出しているのもすごい。
強い者に媚(こ)び、弱い者を集団でよってたかっていじめ抜く。人間の弱さや醜さから目を逸らさず、これでもかとデフォルメして描く。本ドラマの「過剰さ」は停滞気味の日本のドラマ界にとって起爆剤となりそうだ。
▶いじめは美容のため!?新川優愛のモンスターっぷりも必見
それにしても強烈なのがボスママ・沙織のモンスターっぷりだ。冒頭、セレブな代議士妻としてWEBメディアのインタビューを受ける沙織。美容の秘訣(ひけつ)を問われ、「ずばりストレスを溜(た)めないことです、美容にはストレスが一番良くないですから」。
そして、ストレスを感じてしまった場合の対処法には「すぐに解消します、自分なりの方法でーー」と答え、ニヤリと笑う。
さらに優奈を呼び付け、誕生日会の経費を弁償してと請求書を突きつける。こんな大金はないと怯(おび)える優奈に「じゃあいいバイト紹介してあげる、簡単に稼げるバイトよ」と取り返しのつかない事態に追い込んでおきながら、「ほんと私って優しいんだから」となんの罪悪感を抱くこともない。
こんなサイコパスなモンスターを演じる新川優愛は、もともと華やかなお嬢様役が似合う人だが、その持ち味をフルに生かした堂々たるヒール(悪役)っぷりは、惚(ほ)れ惚れするほどハマっている。
▶玲子/レイコの葛藤と、さらに燃え上がる復讐の炎
また、第4話では娘を失った悲しみや怒りで復讐に突き進んできた玲子/レイコが、初めて復讐に迷いや葛藤を抱くシーンが描かれる。
誕生日会の事件の真相を知った玲子/レイコが、犯人にナイフを振り下ろそうとした瞬間、優奈が現れて玲子/レイコの手を止める。現実には玲子/レイコはナイフすら握っておらず、これは玲子/レイコの心象風景を映像化したシーンなのだろうが、復讐が本当に娘のためになることなのか!?
常に自問自答してきた玲子/レイコの苦悩がありありと感じ取れるシーンだ。
しかし、そんな玲子/レイコもモンスター・沙織に対しては、微塵(みじん)の迷いもない。例のインタビュー動画をスマホで見ながら「上がれ、もっと上がれ、だって上がれば上がるほど、真っ逆さまに落ちた時の痛みが増すじゃない?」と復讐の炎を燃やす玲子。
「そうね。この女は絶対に二度とは這(は)い上がれない奈落の底に突き落としてやる」と応えるレイコ。こちらも復讐のため自分を捨て、別の人間に生まれ変わった女の執念を具現化した名シーンだ。
サイコパスセレブの沙織と全身整形で復讐に闘志を燃やす母の玲子/レイコ。濃厚すぎるモンスター対決に期待が高まるが、さらに第4話のラストでは、謎の男(津田寛治)が刑務所から出所するシーンも描かれる。彼の登場によって、この復讐劇にどんな波乱が巻き起こるのか?目が離せない!
カンテレIDにログインまたは新規登録して
コメントに参加しよう