カオナシ=萩田(曽田陵介)の復讐の原点「命を選ばない」と決心した都築(長谷川慎)に死を乞う妻【ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』】

カオナシ=萩田(曽田陵介)の復讐の原点「命を選ばない」と決心した都築(長谷川慎)に死を乞う妻【ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』】

長谷川慎(THE RAMPAGE)主演『顔のない患者-救うか、裁くか-』 第9話レビュー

外科医・都築亮(長谷川慎)が“命の選択”を迫られていくドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』(カンテレ/毎週木曜深夜0時15分~、フジテレビ/毎週木曜深夜0時45分~)が、いよいよ最終章に突入。カオナシの正体が、都築の同じ病院で働く看護師・萩田太朗(曽田陵介)だと判明し、3月5日に放送された第9話では、そんな萩田の物語が描かれました。

(以降、第9話のネタバレを含みます)

◆ついに姿を現す——萩田=カオナシ、決戦の幕が上がる

都築と夏井冬馬(井上想良)は、カオナシに指定された場所へと向かいます。そこで二人を待っていたのは、ボイスチェンジャーを使わない、地声で嘲笑(あざわら)う萩田の姿でした。ついに都築と夏井の前に、萩田が“カオナシ”として姿を現した瞬間です。
萩田は、白都総合病院に潜り込んだ初日から、都築のすべてを監視していたと告白。感謝される名医としての姿も、妻との幸せな時間も、すべては復讐(ふくしゅう)という「今日この瞬間」を完成させるための観察対象に過ぎなかったのです。病院全体が彼の復讐の舞台として塗り替えられていた事実に、戦慄(せんりつ)を禁じ得ません。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』9話 都築亮(長谷川慎)、夏井冬馬(井上想良)

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』9話 萩田太朗(曽田陵介)

一方、病院では萩田の協力者であった看護師・泉みなみ(樋口日奈)が、刑事・鷲尾和臣(飯田基祐)にすべてを打ち明け、警察もようやく「都築は誰かに脅され、極限の選択を強いられていた」ことを現実のものとして捉え始めます。さらに、鷲尾が“尾形大智”の写真を見たことで、萩田の正体にも辿(たど)り着くのです。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』9話 泉みなみ(樋口日奈)、鷲尾和臣(飯田基祐)

◆“姉だけが世界だった”——カオナシが背負う喪失の原点

第9話の核心は、やはり萩田=尾形大智の背景にあった物語。やはり彼の過去は、想像を絶するものでした。15年前、父の再婚によって家にやってきたのが、母の連れ子だった姉・茉莉(松永有紗)。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』9話 尾形茉莉(松永有紗)

大智にとって茉莉は、最初から特別な存在でした。なぜなら、その家は“新しい家族”などではなく、父による支配と虐待が渦巻く地獄だったからです。そんな環境のなかで、二人だけで心を通わせてきた。歪(いびつ)で密接な関係ができあがっていったのも無理はありません。
やがて火事によって両親を失い、残されたのは大智と茉莉の二人だけ。そこから始まった“静かな生活”は、大智にとってようやく手に入れた世界のすべてだったのです。
だからこそ、3年前の爆破事件で茉莉を失った絶望は想像を絶します。しかも大智は、救護テントでその瞬間を見てしまっていたのです。茉莉が助けを求めて手を伸ばし、都築が一瞬迷いながらも、自分の妻・美保(さかたりさ) を優先して救急車に乗せる場面を。もちろん、極限の状況下で美保も同じく重体だった。けれど、大智にとっては「愛する姉が、目の前で見捨てられた」という事実だけが焼きついたのです。
猟奇的な復讐が許されるはずはない。それでも、何もできないまま姉を失い、その後に都築が“優しい医者”として振る舞っている姿を見続けてきた大智の憎しみが、どれほど深く、どれほど歪(ゆが)んでしまったのか——第9話は、その“壊れ方”を曽田陵介が巧みな演技で魅せてくれました。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』9話 萩田太朗(曽田陵介)

◆人の心を失った萩田と、“命を選ばない”都築の決意

そして、萩田の暴走は止まりません。夏井が「都築は間違っていない」と諭すと、萩田は躊躇(ちゅうちょ)なくナイフで夏井の足を刺しました。萩田は“自分の痛み”だけを絶対化し、それ以外の人間の命や身体を壊すことでしか前へ進めなくなっているのかもしれません。
そんな人の心を失ってしまった萩田に対して、都築は真っ向から向き合いました。萩田に責め立てられ、夏井が傷つけられ、目の前に縛られた美保がいても、それでも「選べない」と言い切るのです。3年前に都築は茉莉の命を奪ってしまう選択をしてしまった。だからこそ「もう誰も見捨てたくない。選ばない」と強く主張するのです。この言葉はきれい事ではなく、都築が自分の罪と向き合い続けた果てにようやく辿(たど)り着いた答えでした。妻でも、弟でも、他人でも、誰であっても、“命を選ばない”という意思を貫こうとする都築の眼差しは、迷いではなく決意そのもの。
医療従事者として、人として——心を失った荻田と、芯を取り戻した都築。その対比が鮮烈でした。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』9話 都築亮(長谷川慎)

◆多くの人の命か、妻の命か——カオナシが突きつける最後の選択

しかし萩田は、最後の、そして最悪のゲームを提示します。それは、病院全体を巻き込む爆破計画でした。
「誰も見捨てない」と決めた都築に対し、萩田はあくまで“命を選ばせる”ことに執着します。病院にいる全員の命か、妻の命か選ばないことを許さない。都築の信念を試すのではなく、へし折るために、より多くの命を天秤(てんびん)に乗せてくるのです。

◆「私を殺して」——引き裂かれる夫婦と、迫りくる最期の時

ここで更に都築を追い込んだのは、まさかの妻・美保でした。「亮ちゃん、私を……私を殺して」——自分が死ぬことで、病院のみんなを、そして亮の医師としての魂を守ってほしい。そんな美保の自己犠牲の言葉は、都築の心を鋭く抉(えぐ)ります。目の前には縛られた妻、離れた病院には弟と多くの患者に職場の仲間。都築は「命を選ばない」という意思を、その現実の前でも貫けるのか。タイムリミットは刻一刻と迫り、残り時間はわずか10分。最終回、固唾(かたず)をのんで見届けるしかありません。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』9話 都築美保(さかたりさ)

文:鈴木まこと
編集プロダクション・広告制作会社で編集・ディレクター・ライターとして活動。年間100本以上観るほどドラマ好きで、エンタメライターとしても執筆中。
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