黒木華と野呂佳代の会話に思わず涙。ピンクのスーツとリンゴジャムが繋いだ再出発、ドラマ『銀河の一票』第1話が描く“自分らしさ”

黒木華と野呂佳代の会話に思わず涙。ピンクのスーツとリンゴジャムが繋いだ再出発、ドラマ『銀河の一票』第1話が描く“自分らしさ”

黒木華主演『銀河の一票』第1話レビュー

4月20日よりスタートした“月10ドラマ”の『銀河の一票』(毎週月曜 午後10:00~/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。同作は、政治家の不正を密告する告発文をきっかけに、与党・民政党幹事長の娘で秘書の星野茉莉(まつり)が、政治素人のスナックママ・月岡あかりを都知事にすべく選挙に挑む、新しい“選挙エンターテインメント”です。
『銀河の一票』第1話 野呂佳代

『銀河の一票』第1話 野呂佳代

星野茉莉役を黒木華さん、月岡あかり役を野呂佳代さん、茉莉の幼なじみで民政党議員の日山流星役を松下洸平さん、茉莉の父親で与党幹事長の星野鷹臣役を坂東彌十郎さん、茉莉の亡き実母・星野瑠璃役を本上まなみさん、星野鷹臣の後妻・星野桃花役を小雪さんが演じています。
第1話では茉莉が、父・鷹臣宛に届いた差出人不明の封書の内容を調査。封書には、とある医大の学部長の転落死を報じる新聞記事の切り抜きと、「あなたが殺した」と書かれた手紙が入っていました。茉莉は、その医大や学部長と亡き母・瑠璃との関係性に気付きます。
しかし調査する動きを鷹臣に知られ、即刻秘書をクビになり、家も出て行くことに。行くあてもない茉莉でしたが、一度出会ったあかりが切り盛りする小さなスナックへ行き、そこで彼女や店の客ら市井(しせい)の人々の“現実”を知ることになります。
『銀河の一票』第1話 坂東彌十郎、黒木華

『銀河の一票』第1話 坂東彌十郎、黒木華

豪華なキャストとスタッフで期待大

豪華キャストはもちろん、プロデューサーが『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年/カンテレ)や『エルピス-希望、あるいは災い-』(2022年/カンテレ)、『カルテット』(2017年/TBS)などの佐野亜裕美さん、脚本を『ウソ婚』(2023年/カンテレ)『あの子の子ども』(2024年/カンテレ)『舟を編む』(2024年/NHK)などの蛭田直美さんが務めていることもあり、ドラマ鑑賞前から期待大でしたが、第1話からそれを上回る面白さでした。
同作の“キモ”である政治的なストーリーの部分では、政治家は国民にしっかり向き合っているのか。あるいは国民もまた、政治に対して無関心や諦めを抱いていないか――そう問いかける内容でした。終盤、あかりが営むスナックを訪れた茉莉は、「政治の話は手が届かない」「変えたくても変えられない」という話をあかりや客から聞き、「変えられないと思わせてしまってごめんなさい」と頭を下げます。政治の世界で生きる人間と一般市民が膝を突き合わせた、とても大事なワンシーンになっていました。
またオープニングシーンで、その日着るスーツを選ぶ茉莉の様子も印象的でした。いったん、黒のスーツを手に取りますが、結局、ピンクのスーツをチョイスします。それを見た義理の母・桃花は「かわいい、デート?」と声をかけます。実際はデートではなく、政界に影響を与える有力者との会合があるから。そして茉莉は会合後、ひょんなきっかけで出会ったあかりに「よこしまな気持ちで着た服なので。おじさんたち好きそうって」とピンクのスーツを着た理由について説明。あかりは笑いながら、「よこしま? かわいいよ、それ。似合ってる」と褒めるのです。
『銀河の一票』第1話 黒木華

『銀河の一票』第1話 黒木華

茉莉はあかりの言葉を受けて、元々はかわいいと思い、自分に似合うんじゃないかという気持ちでそのピンクのスーツを買ったことを明かします。そして、あかりの「うん、かわいい。似合ってる」という言葉に思わず涙ぐむ茉莉。この場面では、ジェンダーバイアス(性別による固定観念)の中で見失いかけていた、茉莉の“自分らしさ”が回復していく過程が描かれていました。加えて、初対面にもかかわらず自分のパーソナリティーを認めてくれたあかりへの信頼も、ここで強調されることになりました。

茉莉の状況や気持ちの変化と、リンゴジャムが呼応

『銀河の一票』第1話 坂東彌十郎、黒木華、小雪

『銀河の一票』第1話 坂東彌十郎、黒木華、小雪

政治の裏側や社会のあり方をテーマにしており、それだけで見ごたえが十分ですが、その方向性に偏りすぎず、あくまで“月10ドラマ”として、エンターテインメント的に落とし込んでいる点に筆者は引きつけられました。
まず、劇中アイテムのリンゴジャムの存在。朝食時、桃花から「これ、誰かお友だちに」と手渡されるものなのですが、それが第1話の各所で活用されます。そのリンゴジャムはなかなか茉莉の手元から離れませんが、最終的に手渡した相手があかりでした。
そして、そのリンゴジャムを使ったサンドイッチを茉莉は食べて涙を流します。茉莉にとってそのリンゴジャムは元々どうでもいいもので、持ち歩く上で荷物にしかならなかったはず。でもその日、様々なものを失った茉莉のもとに、リンゴジャムは“味わい”を変えて返ってきます。つまり茉莉の状況や気持ちの変化と、リンゴジャムが呼応していく。この点にまずエンターテインメント性を感じました。
もう一つは、政治に疎いあかりを都知事へ立候補させようとする茉莉の大胆な考え。現実ではありえないような発想ですが、だからこそ“ドラマ的”と言えるでしょう。
現代社会が抱える問題点を照らしながら、ドラマだからこそ楽しめる要素もまじえた『銀河の一票』。“選挙”という題材の距離を縮めるエンターテインメント作品として、今後の展開が楽しみでなりません。
文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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