10月1日、扇町公園南の i-Mall 内に扇町ミュージアムキューブ(OMC)がオープンします。
大小合わせて10の空間で、演劇から展示まで様々なアーティストたちが活動、文化発信の基地となります。
CUBE01と名付けられたホールでは、関西を拠点に活動する劇団の中から8団体が、12月30日(土)までの3か月間に渡りこけら落とし公演をつなぎます。期待と興奮が渦巻く中、各劇団の主宰者たちは今何を思うのでしょうか。OMCに寄せる思いをコラムの形で数珠つなぎにしていきます。
第一回は10月5日から新作を披露する南河内万歳一座の内藤裕敬さん。
維新派の松本雄吉さんが、生前、「劇場とは、在るものではなく、成るものだ」と言われていたのを思い出す。ならばそこに、「劇場にする」という強い意志を持った者が必要だろう。少なくとも劇場関係者、舞台の表現者、観客。この三つが力を合わせねば無理だろう。面白い作品発表や企画がなけりゃ、観客の応援は得られぬ。表現者と劇場の取り組みが、まず問われる。劇場だけ在っても仕方がない。
私は、扇町ミュージアムスクエア(通称:OMS)のオープンと同時に、そこが閉館するその日まで、そこに居た。南河内万歳一座も18年間、そこで成長した。関西小劇場の中心、拠点となる過程を一緒に協力しながら見て来た。大阪ガスの努力と小劇場演劇の活況、そんな時代が背中を押してくれていた。その後、数々の才能ある若者が関西にも続々と現れている。なのに、OMS当時の活気が甦っただろうか?おそらく、その再現は無理だ。だとしたら、どうする・・・?
扇町ミュージアムキューブ CUBE01・250席、CUBE02・100席、CUBE03・50席。こんな大、中、小の空間を有する施設は聞いたことがない。それを利点とする運営と企画は斬新なものになるだろう。元より、大阪に新しい劇場の出現は、すでに大きな期待だ。劇場も当然、そのつもりだろう。かつてのOMSは、巨大な柱が中心に二本もそそり立つ、決して使い易い劇場では無かった。なのに一時代を築いた。単なるガス機具の倉庫が、それを成した。それを思えば、劇場と表現者の役割は大きい。そっちがヤルなら、こっちもヤルぜ!まずは、その覚悟が要るんだろうな・・・。
南河内万歳一座・座長 内藤裕敬
ーさて、次にコラムのバトンを受けるのはどの劇団でしょうか。お楽しみに。
【南河内万歳一座プロフィール】
1980年、大阪芸術大学(舞台芸術学科)の有志で結成し、今年で43年目。
今も演劇が生み出す劇的瞬間を探り追いかけている。