2025年4月5日(土)から大阪・あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区)で開催されている「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展。
ジャン=ミッシェル・フォロン(1934−2005)は20世紀後半のベルギーを代表するマルチアーティストです。
その色合いの穏やかさやシンプルな構成、柔らかなタッチは、いつかどこかでみたことがあるような懐かしさを覚える作品です。
日本では今回、30年ぶり四度目となる展覧会で、1970年に初来日、その後85年、95年と巡回展が開催され、ひょっとしたら実は見ていたのかもしれませんね。
フォロン自身が自らを「空想旅行案内人」と名乗っていたこともあり、今回のタイトルとなっていますが、私たちもフォロンの世界観をふわりと旅することができる展覧会となっています。
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フォロンが画家になることを夢見てベルギーのブリュッセルからパリ郊外に飛び出した後に描き続けたドローイングが並びます。その当時からフォロンの作風は確立されていたようで、単純な線で描かれた作品は謎解きのような不思議さも備えています。
帽子を被りコートを着用する人物がよくフォロンの作品に登場します。
その名は「リトル・ハット・マン(Little Hatted Man)」。点で描かれた二つの目に横一の口。シンプルなその造形はどことなく牧歌的でもあり、ついつい気を許してしまいます。「リトル・ハット・マン」に私たちはいろんなものを重ね合わせながら、作品の中に没入していくことができます。うっかりしていると、自分自身の深層心理が炙り出されそうで手強いです…。一体何者なんでしょう。
フォロンは実は怒っていた、という説もあります。自然破壊、戦争など世の中のあらゆる悲しさを、あくまでもふんわりとした色彩で描きます。
「耳を澄ませば世界が動く音が聞こえる」そう語ったフォロンは、静かに絵を通して私たちも世の中の出来事と向きあうよう促します。
フォロンというポエティックな画家がリアルに存在したと実感するのが、彼が実際に旅するときに携えていたスケッチブックの展示や、旅先から大切な人たちに出した葉書「Mail Art」の展示です。
日本にも来ているので、桜の季節の富士山のスケッチは実に写実的です。絵葉書にはハンコが押してあったり、「フォロン」とカタカナでサインしていたりと、実にかわいげのある葉書で、これを受け取った人はきっとあったかくて優しい気持ちになっただろうなと想像します。
≪ひとり≫というタイトルの作品は大きな空間の中でひとりたたずむリトル・ハット・マンの後ろ姿が描かれています。
これをみて幸せを感じるでしょうか。それとも孤独を感じるでしょうか。
フォロンの絵は見る人の気持ちやその時の状態を映す合わせ鏡のようです。
ひとりで訪れて自分の内面と対話するのもいいですし、大切な誰かと一緒に絵を見て感想を語り合うのも豊かな時間ですね。
展覧会概要
空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン
【会期】2025年4月5日(土)~6月22日(日)
【時間】火~金 10:00~20:00/月土日祝 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
【休館日】4月7日(月)、5月12日(月)
【会場】あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階)
https://www.ktv.jp/event/folon/
©️Fondation Folon, ADAGP/Paris, 2024-2025
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