「ゴォォーーッ!」
轟音(ごうおん)とともに、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が、3か月越しに大阪の空を舞う。
本来なら、大阪・関西万博の開幕日に華麗な舞を披露するはずでした。ところが、4月13日はあいにくの悪天候で、無念の中止に。
しかし、地元からの熱望を受け、ついに再飛行が実現することに。しかも、大阪上空での展示飛行は、1990年の「花博(国際花と緑の博覧会)」以来、じつに35年ぶりというから、胸が高鳴らないわけがありません。
再挑戦の舞台は、7月12日と13日の2日間。万博以外の大阪の名所を巡るルートも飛行するため、1日目は“偵察”を兼ねて、「ひらかたパーク」(枚方市)へ、2日目は本命、夢洲(大阪市此花区)の万博会場へ。筆者の“ブルーインパルス2days”ドタバタ観戦記が、ここに始まります。
Day1:炎天下の高台で、空に夢を見る
7月12日午後2時、照りつける太陽の下、ひらかたパークに到着。入園はせず、外から見ようという“通”な人たちが、すでにゲート前に集まっていました。
向かったのは、観覧車のある高台。観覧車とブルーインパルスを絡めて撮影するには、絶好のスポット。この日の枚方市の最高気温はまさかの35.9度。アスファルトの照り返しに、スマホも熱でオーバーヒート気味。そんな中、多くの家族連れやカメラ愛好家たちと一緒に、汗だくになりながら空を見上げ続けました。
午後2時40分。スマホをチェックする人々の間から「(関空を)離陸した!」の声。上空を飛ぶ報道ヘリに何度も肩透かしを食らいながら、ついにその“音”がやって来ました。
低空から唸(うな)るようなジェット音。青と白の機体が、観覧車の上を駆け抜けます。
「カッコいい!」「見えた!」。歓声が湧き、自然発生的に拍手が広がります。時間にすれば、わずか数十秒。でも、空を見上げた誰もが、忘れられない記憶を心に刻みました。
ありがとう、ブルーインパルス。明日は夢洲で会おう!
Day2:ゲート行列地獄と、青空の奇跡
7月13日。決戦の舞台である「関西・大阪万博」の会場へ。展示飛行は午後3時から。正午に東ゲート入場の予約を入れ、夢洲に到着したのだけれど…。
会場に入れたのは、まさかの午後2時55分。この日の大阪市の最高気温、35.6度。猛暑の中で2時間以上、ゲート前で並ぶハメに。しかも、この日の万博入場者数は15万4000人。
「並ばない万博って、誰が言った?」
もはや怒りも沸騰しかけたその瞬間、空にあの“音”が…!
東ゲートをくぐってすぐの広場。もはや場所選びの余裕なんて、ない。でも、大屋根リングの上空を6機のブルーインパルスが飛来するのを見た瞬間、全ての苦労が報われました。
円、ハート、桜…青空をキャンバスに、次々とスモークで描かれる美しい形に、どよめきと歓声が沸き起こります。
「僕も、ブルーインパルスのパイロットになりたい」
近くにいた小さな男の子の言葉に、思わず胸が熱くなります。
夢と希望をありがとう、ブルーインパルス。猛暑や行列の疲れを一気に吹き飛ばす15分間でした。
西部マキコ
エンタメライター。初出の話を引き出すインタビューが得意。いま、ハマっているのは、大阪・関西万博。
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