聞いてみよか

『秘密』原作・清水玲子さん ドラマを見て「もう感無量ですね」

2025.02.26

『秘密』原作・清水玲子さん ドラマを見て「もう感無量ですね」
 
 
原作者・清水玲子さん 脚本家・佐藤嗣麻子さん
 

『秘密~THE TOP SECRET~』清水玲子(原作)× 佐藤嗣麻子(脚本) スペシャル対談【前編】

ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』の原作者・清水玲子さんと、脚本家・佐藤嗣麻子さんの「夢の対談」が実現。前編では、お二人の出会いや映像化への経緯に加え、ドラマ公式Xに寄せられた視聴者の方からのさまざまな質問について答えていただきました。

清水玲子さんのサイン入り原作本(全12巻)のプレゼントも実施していますので、ぜひご応募ください。

――科学警察研究所の法医第九研究室(第九)のセットをご覧になった感想は?

【清水】 (セットは)クラシカルな作り込みがおもしろいなと。ちょっと昭和初期のような。
【佐藤】 そうそう、昭和の感じ。あれは、セットデザイナーさんが「昔の秘密基地っぽい感じにしたい」と言って。MRI映像をさかのぼって再生するときにキュルキュルってくるくる回すのはいいですよね。
【清水】 そう!「あ、漫画の感じを活かしている」と思った。

青木一行(中島裕翔)、薪剛(板垣李光人)

――清水先生と佐藤さんの出会いについて教えて下さい。

【清水】 (佐藤さんが)萩尾望都先生のCD-ROM作品集の監督をされてらっしゃったんですよね。それでインタビューに来てくださって。
【佐藤】 そこで知り合いになって、その後も舞台を萩尾先生と一緒に見に行ったり。あと、よく漫画家さんのパーティーに呼ばれて出入りしていたので、しょっちゅうお会いしていましたね。
【清水】 基本、少女漫画脳の方だから(笑)。その上に映像が乗っかっているみたいな人なんですよ。
【佐藤】 そう、基本が少女漫画(笑)。元々、萩尾先生の作品を勉強して、ページ数とコマ割りを見て起承転結を覚えたんですよ。だから脚本を書くにしても萩尾先生の漫画がベースになっていますね。

清水「映像の怖さではなく、人間関係が見どころのドラマ」

――『秘密』の映像化は何度か企画が立ちあがったというお言葉がありましたが、どのような経緯を経て今回実現したのでしょうか?

【佐藤】 長いお話なので、私はやっぱり連ドラがいいと思っていたんですが、なかなか引き受けてもらいづらかったというか、内容が激しいので(笑)
【清水】 そうですよね。そこは読者の方々も心配していたところだと思います、「地上波で大丈夫なの?」って。漫画のほうはかなりグロいので(笑)
【佐藤】 漫画はそのグロさが美しい画でオブラートに包まれているんですが、ドラマだとどうしてもそこがリアルになってしまう。でも本当はそれをやりたかった、デヴィッド・フィンチャー監督の『セブン』みたいな感じで。
【清水】 あはははは。そういう意味では、映像の怖さではなくて、“人間関係”が見どころのドラマになっていますよね。
【佐藤】 そう。やっぱり4人(薪・鈴木・青木・雪子)の人間関係がどう変わっていくかという話を作りたくて。Xで募集した質問の中にも「どうやってエピソードを選定していますか?」とありましたけど、4人の関係が変わるエピソードを選んでいます。あと、「どうして(露口)絹子の事件が1話目だったのか?」という質問もありましたが、それは、4人の関係が変わる話じゃないんですけど、もったいないから絶対やりたいと(笑)。大好きなエピソードだったので。
【清水】 わかります。私も絹子のエピソードは、『秘密』最初の12巻の中ではかなり好きなほうです。

三好雪子(門脇麦)、薪剛(板垣李光人)、青木一行(中島裕翔)

佐藤「薪の気持ちをきちんと視聴者が追体験してほしかった」

――清水先生に伺います。ドラマをご覧になった感想はいかがでしょうか?

【清水】 もう感無量ですね。生きている鈴木を自分でもあまり描いたことがないので、1話目でがっつり生きている鈴木を見ることができて、「あー鈴木をもうちょっと描けばよかったな」と思っちゃいました。なので、それを読み切り作品として描きました。鈴木をちょっと回想するお話です。

――それが『メロディ4月号(2/28売)』に掲載される特別編ですね。鈴木が1話目から出てきたことについてどう思われましたか?

【清水】 すごくサディスティックですよね(笑)。漫画では最初から死んだものとして描いていますけど、ドラマでは、あんなに優しくて頼っていた鈴木がいなくなっちゃうんですから。

――鈴木を1話目から登場させるというのは、どのような意図をお持ちだったのでしょうか?

【佐藤】 映像作品だと、フラッシュで出てくる過去回想はどうしても弱いんです。「これなんなの?」って思っているうちに終わっちゃって感情移入ができない。やっぱり視聴者の方には、薪と同時に貝沼に会って欲しいし、鈴木に会って欲しいし。で、鈴木に死んで欲しいし、貝沼に死んで欲しい。その薪の気持ちをきちんと視聴者が追体験してから青木に会って欲しかったんです。そうじゃないと、薪がなぜあんなに悩んでいるのか、なぜすぐに気絶しちゃうか、一緒に体験しないとわからないと思うんですよね。

――そういった原作からの変更は、どのような話し合いの元に進めていかれたのでしょうか?

【佐藤】 元々最初に作った構成を清水さんに「いかがですか」って感じで見せていたんです。
【清水】 なので、貝沼の設定が違うということは当初から知っていました。
【佐藤】 その後も、違うかなと感じる部分はお互いに話をしてきました。清水さんから「いや、ちょっとこれは」って言われたら直して、こちらから「ここはこうしたい」ってご相談したり。
【清水】 うんうん。(後編に続く)

貝沼清孝(國村隼)、薪剛(板垣李光人)

『秘密~THE TOP SECRET~』清水玲子(原作)× 佐藤嗣麻子(脚本) スペシャル対談【後編】

※原作本全巻プレゼントへの応募方法は、後編にてお知らせいたします。

<原作者・清水玲子さん>
1983年「三叉路物語(ストーリー)」でデビュー。2002年に「輝夜姫」で第47回小学館漫画賞を、2011年には「秘密-トップ・シークレット-」で第15回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。現在は「MELODY」(白泉社)にて「秘密season0」を連載中で、最新作「DNA」編11・12巻は2月20日に同時刊行されたばかり。麗かつ繊細なタッチで描いた絵と、深く壮大な世界観の少女漫画作品は、熱狂的なファンを獲得している。

<脚本家・佐藤嗣麻子さん>
映画監督、脚本家。1987年、ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールへ留学後、脚本・監督を務めた日英合作映画『ヴァージニア』(1992年)で東京国際ファンタスティック映画祭「アボリアッツ賞」を受賞。また、1995年の監督作『エコエコアザラク』が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で批評家賞(南俊子賞)を獲得。
映画・テレビドラマの『アンフェア』シリーズやドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』、映画『陰陽師0』など、数々のヒット作を手掛ける。
miyoka
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