聞いてみよか

貝沼の設定変更 脚本家・佐藤嗣麻子さん「薪をもっと苦しめようと…」

2025.02.26

貝沼の設定変更 脚本家・佐藤嗣麻子さん「薪をもっと苦しめようと…」

『秘密~THE TOP SECRET~』清水玲子(原作)× 佐藤嗣麻子(脚本) スペシャル対談【後編】

ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』の原作者・清水玲子さんと、脚本家・佐藤嗣麻子さんの「夢の対談」。お二人の出会いや映像化への経緯(前編)に続き、後編では、 W主演の板垣李光人さんと中島裕翔さんの印象やドラマへの思いについて語っていただきました。

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清水「板垣さんは寝ているだけでも薪みたい」「中島さんは演じ分けが見事」

――薪役・板垣李光人さんの印象を教えていただけますでしょうか?

【清水】 回を重ねるごとにどんどん本当に薪みたいになってきて。寝ているだけでも薪みたい(笑)。『silent』も見ていましたし板垣くんを知ってはいたんですけど、もう『silent』の顔と違うんですよ。顔そのものは変わってないのに、こんなに変わっちゃうんだって感じですね。驚きました。

薪剛(板垣李光人)

――鈴木克洋・青木一行の一人二役の中島裕翔さんについての印象はいかがでしょうか?

【清水】 素晴らしいです。中島くんファンになりそう(笑)。演じ分けも見事ですね。止まった映像でも青木と鈴木だと顔つきが違うかなと。声の出し方も違う。相当気持ちから持っていって変えているんだろうなと思います。

――視聴者からの質問にもありましたが、なぜ「一人二役」にされたのでしょうか?

【佐藤】 それしかないというか、別人だと視聴者の方が見ても「あ、同じ」って思わないじゃないですか。同じ人が髪型や雰囲気を全部変えてやるからこそ「似ている」となるのであって、絶対同じ人がやるべきってもう最初から私は思っていました。
【清水】 そうなんです。でも期せずして、“中島くんの一人二役演じ分け”っていうところも見どころになった感じですね。

鈴木克洋(中島裕翔)

青木一行(中島裕翔 一人二役)

貝沼の設定変更、佐藤「薪をもっと苦しめようと」

――貝沼の人物像が原作からガラッと変わりました。佐藤さんはどのようにこの設定を思いつかれたのでしょうか?

【佐藤】 いやもう、薪をもっと苦しめようと(笑)
【清水】 あははははは。だから薪は信頼している人に裏切られ続けちゃう(笑)
【佐藤】 あと、貝沼には鈴木とも関係していて欲しかったんです。原作は薪と貝沼の関係だけなんですが、鈴木もそれを知っていて欲しいし、その関係に加わっていて欲しかったんです。それと、MRIがすごく複雑で説明が大変なので、誰かそのエキスパートが説明してくれたほうが楽だな、というところから貝沼が教授になりました。
【清水】 そう、描いているときも思ったんですよ、ホームレスのような貝沼がどうやって少年院のセラピーに行ったのか。そこは確かに脳科学の教授だったらできますよね。
【佐藤】 催眠も脳科学の教授ならかけやすいだろうと。
【清水】 しかも、貝沼が鈴木をターゲットに決めた理由が、“薪が鈴木に視線を送っていたから”、それでロックオンって。恐ろしいですよね。鈴木くんに見せて狂わせてやろうって感じがもう。最初から催眠術のためにお香たいていたもんね。
【佐藤】 そうそう、そうなの。
【清水】 それもサディスティック(笑)
【佐藤】 余計に薪が苦しむ(笑)。当たり前だけど、ドラマだと漫画より表現がマイルドになっているでしょ。だからそこは心理戦で攻めていかないとな、と。

――國村隼さん演じる貝沼清孝の印象はいかがでしょうか?

【清水】 怖いですねえ。それこそアンソニー・ホプキンスみたいな怖さが。立っているだけで怖いっていうのはなかなか出せないですよね。実は國村さんがキャスティングの第一希望だったのでうれしいです。國村さんは本当に声がよくて、鏡を見てしゃべっているだけなのに、どうしてこんなに怖いんだろうって。だから、貝沼の映像を見た薪がフッて倒れるのも、確かにそうなるよなって思います。本当に怖い。

貝沼清孝(國村隼)

清水「薪と青木のバディ感を見てほしい」佐藤「罪と赦(ゆる)し、死と再生の話」

――原作ファンの方や周囲の反応についてどうお感じになっていますか。

【清水】 いろいろな感想を拝見しましたが、「とにかく3話まで見てくれ」と思っていました。でも、「よくぞこのキャスティングにしてくれた」って方が多いですよね。
【佐藤】 そうですね。原作物のドラマをやると必ずこっち側からあっち側までいろいろな意見をいただきますが、今回キャスティングにしてもストーリーにしても肯定的に受け止めてもらっているなと感じています。私は清水さんの大ファンですし、『秘密』も大好きだから、ファンが怒っちゃうとほんとに悲しいので、そうならなくてよかったなと思っています。

――最後にドラマの見どころ、そしてこの対談をご覧になっている方々へのメッセージをお願いします。

【佐藤】 テーマとしては“罪と赦(ゆる)し”、そして、“死と再生”の話になっています。そこに向かっていくので、辛いお話は続きますが、最後は救われると思いますから、ぜひ最後まで見てください。
【清水】 鈴木の面影を見て、薪がだんだん青木とのバディ感を強めていくという関係もぜひ見てほしいですね。この先、青木が大変な目に遭っちゃうので、中島くんがんばって(笑)。
「みよか」読者プレゼントとして、ドラマの原作である「秘密 -トップ・シークレット-」(©清水玲子/白泉社)全12巻(新装版)を抽選で2名様にプレゼントします。なんと、原作者・清水玲子さんのサイン入り!応募方法は、清水玲子さんと佐藤嗣麻子さんのスペシャル対談記事の前編、もしくは後編にコメントを投稿するだけ!
※コメント&応募には、カンテレID登録が必要です(登録無料)。

応募締め切りは3月10日(月)23時59分

<原作者・清水玲子さん>
1983年「三叉路物語(ストーリー)」でデビュー。2002年に「輝夜姫」で第47回小学館漫画賞を、2011年には「秘密-トップ・シークレット-」で第15回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。現在は「MELODY」(白泉社)にて「秘密season0」を連載中で、最新作「DNA」編11・12巻は2月20日に同時刊行されたばかり。麗かつ繊細なタッチで描いた絵と、深く壮大な世界観の少女漫画作品は、熱狂的なファンを獲得している。

<脚本家・佐藤嗣麻子さん>
映画監督、脚本家。1987年、ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールへ留学後、脚本・監督を務めた日英合作映画『ヴァージニア』(1992年)で東京国際ファンタスティック映画祭「アボリアッツ賞」を受賞。また、1995年の監督作『エコエコアザラク』が、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で批評家賞(南俊子賞)を獲得。
映画・テレビドラマの『アンフェア』シリーズやドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』、映画『陰陽師0』など、数々のヒット作を手掛ける。
miyoka
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