反社の影が潜む産廃処理場に挑む趣里、古田新太は敵か味方か
2024.12.16
『モンスター』第10話レビュー(Xの反応あり)
さくらの依頼は、地元・山遥村を離れている間に建てられた産廃処理場・サカミクリーンに関するもの。15年ぶりに地元に帰ったさくらは、見るからに具合の悪そうな村人や、自然豊かだった村の景色の激変ぶりに違和感を覚えたといいます。役場に異変を訴えても相手にされず、賠償請求と営業停止の訴訟を起こそうと近隣の弁護士にも掛け合いましたが、取り合ってもらえず。そんな折に、とある人物から亮子の話を聞き、群馬からはるばるやってきたというのです。
「実家の庭が荒れたのは、産廃処理場のせい。だから損害賠償を払ってほしい」なんて、なかなか思い切った訴えだと筆者は感じました。実際、杉浦(ジェシー)や村尾(宇野祥平)・由紀子(音月桂)の3人も、環境汚染に対する裁判の多くは集団訴訟で、個人が企業相手に起こすのは珍しいと頭を悩ませます。でもそんな難しい案件だからこそ、「やるんだろうなぁ……」と杉浦は亮子を見つめました。
話し込んでいる3人を尻目に、亮子が見つめていたサカミクリーンのホームページには、顧問弁護士・粒来春明の文字……!この親子は、戦いを避けられぬ運命なのでしょうか。
横沢さくら(前田敦子)、横沢あやめ(宮地雅子)
訴状を受け取ったばかりの粒来に電話をかけ、調査の間泊めてほしいと頼んだ亮子。「敵の懐に入り込むなんて、そんなのアリなの?」と思ってしまうような申し入れですが、粒来はあっさり了承します。それも、「ただしここに長居はするな。あと、水道水は飲むな」という意味ありげな警告付き。環境汚染で訴えを起こした原告側に対して、なぜこんなにあからさまなヒントを与えるのでしょう?何か裏がありそうです。
村の水質検査に乗り出した亮子は、さくらの母(宮地雅子)から話したいことがあると呼び出されます。それは、14年前のサカミクリーン建設にまつわる闇深い過去についてでした。
元々は多数の住民が産廃処理場の建設に反対していたものの、国からの補助金や多額の謝礼金などに釣られて、ほとんどの住民が寝返ってしまった。最後まで反対姿勢を貫いた村人・内海泰造の交渉によって、一度は建設計画が頓挫(とんざ)したものの、他の住人からの強い抗議によって彼は自ら命を経ってしまった。山遥村には、そんな悲劇の過去があったのです。
神波亮子(趣里)
訴訟の鍵を握るのは、内海の息子で、サカミクリーンで働いていた過去を持つ内海拓未(前原滉)。意味ありげな粒来の鼻歌や、城野のすご腕リサーチによって、亮子は彼との接触に成功します。当初、拓未は裁判で証言することを頑なに拒絶していましたが、杉浦の“めっちゃしょうもない”活躍が彼の心を動かしました。
危険な相手に立ち向かう裁判の行方、どうなるかと思いましたが、見事な心理戦と伏線回収で両者の望むように事が運びましたね。まさか被告側と原告側、双方に不利益のない形で決着するとは。それにしても、粒来も亮子も言葉少なすぎる!粒来の狙いを推理する亮子と、自分の意図する方向にうまく亮子を操作した粒来。亮子のゲーム感覚で裁判を楽しむ性分は、やはり親譲りのようですね。
神波亮子(趣里)
神波亮子(趣里)
毎週視聴者を熱狂させてきた亮子の活躍も、いよいよ次週でラストとなりました。それにしても、ラスボスは誰もが知る巨大企業なんて、分が悪すぎる!粒来も謎の有害物質でがんに侵され倒れてしまい、村人の協力も得られないなんて……。最後の最後まで波乱が続く『モンスター』、果たして物語の結末は?巨大な敵に立ち向かう亮子の勇姿を、最後まで見届けましょう!
フリーライター 兼 一児の母。
取材・インタビュー、エンタメ記事、エッセイなど、複数媒体・分野で執筆中。
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