見てみよか

高橋努、原作読んで「これ俺じゃん」白髪と15㎏減量の裏側

2025.02.03

高橋努、原作読んで「これ俺じゃん」白髪と15㎏減量の裏側

『秘密~THE TOP SECRET~』岡部靖文役・高橋努 インタビュー

板垣李光人さん・中島裕翔さんがW主演を務めることで話題を集めている新・月10ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』。原作は清水玲子さんによる傑作サスペンス漫画「秘密-トップ・シークレット-」で、『アンフェア』シリーズや映画『陰陽師0』で知られる佐藤嗣麻子さんが脚本を手掛けます。

本作品で主人公・薪剛(まき・つよし)とともに科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”で特殊調査を行う捜査員、岡部靖文(おかべ・やすふみ)役の高橋努さんにインタビューをしました。本作をはじめ過去の出演作における徹底した役作りや、板垣さん・中島さんとの撮影現場での印象的なエピソードについて聞きました。
Q. 今回高橋さんが演じられる岡部は、がっしりとした体格で野生みあふれる人情派調査員という役どころですが、高橋さんご自身は岡部をどのような人間だと感じましたか?

すごく純粋な人なんだろうなと率直に感じました。室長の薪をはじめ、“第九”のメンバーはみな頭脳明せきで冷静沈着な人が多い。その一方で、岡部は頭よりも体を動かして現場に出向いたり、事件の真相に迫っていくうちに怒りや悲しみなど、素直に感情を表現していくタイプ。すごく共感できましたし、この作品にいい味を生み出してくれるんじゃないかと思いましたね。

原作を読んだときに、岡部を見て「これ、俺じゃん」って思ったんです。美青年が何人も描かれる原作の中で、1人だけワイルドで瞳もキラキラしていなくて……「岡部だけ違う作品のキャラクターみたい」なんて(笑)。重々しい雰囲気が続いていくシリアスな作品ですが、人間らしい岡部がいることで視聴者の方も少し安心感を抱いてドラマを楽しんでいただけるのではと思っています。

岡部は他の捜査員に対していろいろと聞き込んだり、疑問をぶつけたりするシーンが多いんです。現場の状況説明的なセリフも多いのですが、あくまで自然なテンポで、岡部の口から自然と溢れてきた言葉として演じるようにしています。

岡部靖文(高橋努)

Q. 役作りのために、何か準備されたことはありますか?

容姿でいうと、まずはひげを生やしました。原作の岡部は袖をまくると腕毛がびっしり生えているような雄々しいキャラクターなんですが、残念ながら腕毛までは間に合わなかったです(笑)。

スーツを着る役なので、ある程度肩幅もあったほうが箔がつくかなと、少しだけ体づくりもしたんですが……。僕、鍛えるとすぐにムキムキになっちゃうんです。あまりに筋肉をつけすぎないよう、調整しました。

現場では、岡部の持つ“熱”の部分のバランスを探りながら演じています。天才肌なキャラクターがそろうこの作品において、岡部は普通に近い感覚でいてくれる唯一の存在だと思うんです。あまりに力がこもりすぎていても、反対に冷静すぎてもよくないので、監督ともよく相談し合いながら向き合っています。

Q. 撮影現場において、共演者の皆様とのやり取りで印象に残っているエピソードなどはありますか?

制作発表会見でもお話したんですが、撮影のスタンバイ中に、李光人が僕を見つめてずっと微笑(ほほえ)んでくれていたことがあったんです。頭の中でセリフを確認していた最中のことだったので、面食らって「ん?どうした?」って、3回くらい聞き返したんだけど、しばらく微笑(ほほえ)んだまま。どうやら、撮影直前にカップラーメンを食べたらしく、「歯に何かはさまってませんか?」って確認してほしかったみたいなんです。かわいらしいなと、思わず笑ってしまいました(笑)。

李光人や中島くんとは、撮影での動き方や見せ方について話し合うこともよくあります。緊張感あるストーリーの中で、視聴者の方がリラックスできる瞬間も作れるよう、共演者ともすり合わせながら撮影に臨んでいます。

薪剛(板垣李光人)、曽我育秀(濱津隆之)、岡部靖文(高橋努)、小池穂高(阿佐辰美)

Q. さまざまな映画やドラマ、作品で演じられてきた高橋さん。映画『クローズZERO』などに代表される格闘シーンや、朝ドラ『虎に翼』での記者役など、演じられる役も幅広い印象があります。

自ら好んで演じているというよりも、たまたま殺陣(たて)や格闘シーンのある役柄をいただくだけなんですよ。体も、普段は全然鍛えていないし。自覚はあまりないのですが、なぜかこわもてタイプの人物を演じる機会が多いんです(笑)。

『虎に翼』では、40代から70代までの年齢を演じなければならなかったので、容姿の変化をいかに演出するか悩みました。70代の役を演じることって、なかなかないので。白髪のヘアセットをしてもらう際にも、ヘアメイクさんに「もう少し白くなりませんか?」と何度も相談して、眉や目元のリアルさにもこだわりました。

同時期に『晴れたらいいね』の撮影もあり、1945年のフィリピンで赤痢を患っている役だったので、短期間で15kgくらい減量したんです。撮影が終わってから自宅に帰るまでの道のりを、何時間もかけて歩いて帰ったり……役作りの期間は、ほとんどトマトジュースだけで過ごしました(笑)。骨格を小さくすることはできなくても、ほほの肉が落ちてげっそりしたので、老人のような外見に近づけられたかなと思います。

Q. ストイックに役に挑まれる姿に、熱い役者魂を感じます……!

きっと役者さんなら、誰もがされていることじゃないかな。僕の場合、細部までこだわることで、自分自身が安心できる部分が大きいです。映像化されたときに、自分の姿がどう映って見えるのか、それがどう作品に作用するのか、必要以上に気になって作り込むときも。特に経験したことのないような役では、備えすぎるくらいがちょうどいいのかなと思っています。

岡部靖文(高橋努)

文・神田 佳恵
フリーライター 兼 一児の母。
取材・インタビュー、エンタメ記事、エッセイなど、複数媒体・分野で執筆中。
miyoka
0