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姉夫婦が死んだのは薪のせい?“最重要秘密”に隠された真実

2025.03.31

姉夫婦が死んだのは薪のせい?“最重要秘密”に隠された真実

『秘密~THE TOP SECRET~』第10話 レビュー

突然の悲劇が青木(中島裕翔)を襲った第9話から1週間。薪(板垣李光人)や瀧本(眞島秀和)、各々に隠された“秘密”が少しずつその片りんを見せ始め、過去の放送回に張り巡らされた緻密な伏線がその存在感をあらわにした、まさに1秒たりとも目が離せない第10話でした。

姉夫婦の葬儀に参列した青木は、やはり深い後悔と自責の念に苦しんでいるようでした。棺の中で静かに横たわっている姉・和歌子(佐津川愛美)の頭をなでたときに見えたのは、ウィッグの下の坊主頭と切開の傷痕。その瞬間、青木は姉の脳が摘出されたことを悟ったのです。それはすなわち、第九で姉の脳を捜査するということ。身内の身に捜査の手が降り掛かることで、その行為の意味を思い知らされたのですね。正義を貫くために、文字通り墓場まで持っていくはずの“秘密”を白日の元にさらす罪深さに、青木の心は今にも壊れそうでした。薪の前で土下座をして捜査から外さないでくれと懇願する青木に駆け寄り、「お前が死んだ人の脳なんか見てるからこんなことに……」と責め立てるお母さんの声もつらすぎた……。

青木一行(中島裕翔)、薪剛(板垣李光人)

「……狂ってない誰か……」という青木の胸の内の声とともに、薪が映し出される演出、秀逸だったなと感じます。倉辻夫婦のMRI捜査が始まってから、岡部(高橋努)が室長室を訪れたときの問答が、それを物語っていました。鋭い目つきで「青木の妄信を支えられますか?」と問いかけた岡部、さすがすぎる。青木がすがった頼みの綱は、すでに抱え切れぬほどむごたらしい過去と秘密を抱え、深い闇をさまよい続けている薪なのだから。鈴木(中島裕翔 一人二役)の最期のシーンが青木と混同し、夢にうなされているのを見ると、薪の心に刻まれた傷の深さを痛感させられました。

青木と雪子(門脇麦)の別れのシーン、切なかったですねぇ。頭を下げて別れを願い出た青木に「じゃあ、剛くんは?」と問う雪子と、「あの人は最後まで俺と一緒に戦ってくれる人です」と答える青木。青木にとって、雪子も薪も大切だけれど、どんな困難の中でも共にありたいと思うのは、雪子ではなく薪だった。エグいことを伝えるなと思いましたが、それを受け入れる雪子の器の大きさにグッときてしまいました。

三好雪子(門脇麦)、青木一行(中島裕翔)

びっくり仰天だったのは、倉辻夫婦の脳内映像です。どこかで見たことのあるスキンヘッドの男に、「秘密を渡さぬ代償だ」という意味深なメッセージ。スキンヘッドの男は、なんと第1話に登場した石丸大臣殺人事件の犯人でした。しかしその事件は、警察庁長官(利重剛)の命によって真相を闇に葬られ、今や薪だけが真実を知る当事者となっています。薪、ただ一人が握る最重要秘密“レベル5”を狙う、何者かの手によって倉辻夫婦は命を奪われた。つまり、青木の家族は薪のせいで殺されてしまったというのです。この事実が彼にどれだけ大きな衝撃を与えたのか、想像に難くありません。

ところでこの“最重要秘密”って、一体なんなんでしょう?後半に差し掛かるにつれて、その輪郭が少しずつ明らかになっていくのがわかりました。薪が調べていた「クオリア教会」という謎の教団。第9話で青木と雪子が見ていたニュース番組でも代表の後継者決定が報じられていましたよね。見るからに怪しすぎるし、政府との癒着もにおいますし……。

薪剛(板垣李光人)、瀧本幹生(眞島秀和)

そんな中、曽我(濱津隆之)がまとめていた調査報告書……瀧本の正体を知って、震え上がりました!曽我のパソコンをハッキングした瀧本の、いら立ちを超えた殺意にも見える表情。そして拉致された曽我の首元に、無言で手をかけ締め付ける凶行、恐ろしすぎる。青木に警官らしくないと言い放っていましたが、どっちがだよ!とツッコみたくなりました。そういえば瀧本は、第九に再配属された後に石丸大臣(相島一之)のお墓で手を合わせていたような……。気づけばあちこちに伏線が仕掛けられまくっていて、種明かしがされるたびにゾワっとしてしまいます。

いつもそうですが、今回は岡部の活躍が光りまくっていたと思いませんか?薪をまっすぐ見つめて「もう第九から殉職者は出さない。そうなんでしょ?」と問いかけたり、薪の失踪後も第九のメンバーを取りまとめたり。頼もしいシーンが多かった一方で、パチパチと岡部に平手打ちする薪と、がっしりした体つきなのに「痛い痛い!!」と全力で避けようとする岡部の絡みがかわいすぎました(笑)。

薪剛(板垣李光人)、岡部靖文(高橋努)

「僕に考えがある」と岡部に告げ、姿をくらませた薪、一体何を考えているんでしょうか?体当たりで後を追う青木ですが、次回予告が不穏すぎる……。青木の切実な告白に、薪の向ける拳銃から鳴り響く発砲音。愛する人との悲しい別れを、薪は再び繰り返してしまうのでしょうか?そして最後にまで姿を現すのか、貝沼(國村隼)よ……!!最終回ですべての謎が一気に解き明かされていく予感。薪や青木、全員が笑顔で迎えるハッピーエンドを祈りながら、来週を楽しみに待ちましょう!

薪剛(板垣李光人)

文・神田 佳恵
フリーライター 兼 一児の母。
取材・インタビュー、エンタメ記事、エッセイなど、複数媒体・分野で執筆中。
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