見てみよか

本当の正義はどこにある?警察には「ヒーローでいてほしい」と訴える橋本環奈

2023.12.05

本当の正義はどこにある?警察には「ヒーローでいてほしい」と訴える橋本環奈
第8話で描かれるのは、正義の味方であるはずの警察組織の不正についてです。榊山官房長(福井晶一)から「脅迫者Xの正体を明かす」という特命を受けていた円(橋本環奈)が、Xの正体を追うにつれ、警察幹部や政治家とのつながりや、組織の闇に気づき始めます。円が感じる疑問とモヤモヤを通して「正義とは何か」を考えさせられる回でした。
第7話の最後で、万町署に保管されていた一億円が盗まれる事件が起きました。そのため管理責任者だった須賀(佐藤二朗)が懲戒処分となってしまうことを心配して、円は脅迫者Xの捜査よりも1億円の捜査を優先させたい、と榊山に申し出ます。しかし「X捜査が最優先」と言う榊山。「Xを見つけ出せれば、1億円の件での万町署の処分はなくなる」と持ちかけます。榊山はXの捜査を「これ以上優秀な人材を失いたくないから」と言いますが、その高圧的な態度からXの捜査は一体だれの、なんのためなのか、疑問に感じてしまいます。
須賀によれば、そもそも「警察官僚や政治家が金銭や出世を見返りにして、現場の警察官を駒として使うのは昔からある手」なのだとか。実際はどうなのかはわかりませんが、警察だけに限らず、ほかの大企業などの組織でもありそうな話です。でも、自分がこれまで頑張ってきた仕事が、実は駒として使われていたに過ぎないとしたら……。これまでの円がひたむきに頑張ってきた姿を思い出すと、胸がキュッと苦しくなります。
円だけでなく他の警察官たちも、警察幹部からの特命で本来の業務以外の仕事を請け負っていると知った円。万町署の仲間たちに「警察幹部が依頼してくる特命は勇気を持って断りましょう」と提案しますが「承認できない」と言う中塚副署長(鶴見辰吾)。やりたくもない特命を受けるのは、家族や生活を守り、組織で生き残るためだと言うのです。自分の信念や正義を貫くのか、それとも生活のために組織に従うのか……組織に属して働く以上、組織に逆らえない人の本音が、中塚の言葉に表れていると感じました。

今回は、円に関わる上司3人の態度が印象的でした。
これまで円と対立しながらも、実は似たような正義感を持っていた湯川(沢村一樹)は、「お前がいてくれて俺たちはラッキーだった」と初めて面と向かって円を認めるような言葉をかけます。
そして、これまで円を見守りながら事件解決のヒントを与えてきた須賀は、自分は駒でしかないのかと落ち込む円に「君は経費削減という偉大な仕事をした」と励まします。
そんな湯川と須賀に反して、榊山は「私の言いなりになるなら、好きな部署に移動させよう」と円を駒のように扱おうとします。
湯川・須賀・榊山、そして円の姿を通して、自分なりの正義にどう向き合い、どんな仲間とともに、どう生きるのか……そんなことを考えさせられました。
結局、須賀は1億円紛失の責任をとり万町署を去ることになります。円との別れ際、少し涙目になりながら「君こそが正義のヒーローだ」と叫ぶ須賀。その言葉の奥に須賀の熱い思いが隠されているような気がしました。
X(旧Twitter)でも「毎週笑えるトクメイでこんなに涙させられるとは!」「須賀さんと円との敬礼が泣けた(泣)」「佐藤二朗さん、カッコよすぎた!」と、須賀と円のやりとりに感動した人が多かった様子です。
さらに今回、キーとなった人物はクレープ屋「C×C」店長の片桐(米本学仁)です。いつも穏やかで優しい人柄ですが、情報屋として湯川に情報を渡す裏の顔も持っています。実は裏社会に生きていた過去があり、7回も湯川に逮捕されていたのだとか。湯川に情報を渡すため、新聞記者・芹沢詩織(石井杏奈)について調べていた片桐は、Xの正体を突き止めます。しかし、8話のラストではなんと血を流して倒れる片桐の姿が……!この衝撃の結末にX(旧Twitter)でも「片桐さん!!ショックすぎる…!!」「片桐さん死んじゃ嫌だよー!(泣)」「最後に急展開で衝撃受けました」と多くの驚きの声が見られました。
これは脅迫者Xの仕業なのか……!?1億円の消えた先、そしてXはだれなのか、Xの本当の目的は一体なんなのか。ここへきて謎がさらに深まったような気も。芹沢が持っていた動画データの謎が明かされるのかどうかも、次回、気になるところです。
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文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。
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