反町隆史が演じる鬼塚英吉は、令和でも“スーパーヒーロー”になるのか。ドラマ『GTO』第1話が問いかけた教師像

反町隆史が演じる鬼塚英吉は、令和でも“スーパーヒーロー”になるのか。ドラマ『GTO』第1話が問いかけた教師像
反町隆史さんが主演を務める『GTO』(毎週月曜 午後10:00~/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)の第1話が7月20日に放送されました。

『GTO』は、藤沢とおるさんの同名漫画を原作とするもの。1998年の夏に連続ドラマとして放送され、「グレートティーチャーオニヅカ(Great Teacher Onizuka)」こと元暴走族の教師・鬼塚英吉(反町)の型破りでありながらも生徒と真正面から向き合う教育スタイルが視聴者の心をつかみ、社会現象を巻き起こしました。加えて反町さんが作詞を手がけた主題歌「POISON〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜」(1998年)も不朽の名曲に。約28年ぶりの連続ドラマとなる今回の『GTO』は1998年版の要素を引き継ぎつつ、令和の価値観を取り入れて語られていきます。
『GTO』第1話 山崎裕太、反町隆史

『GTO』第1話 山崎裕太、反町隆史

第1話では、赴任先でトラブルばかり起こしてクビが続く鬼塚が崖っぷちに。私立高校・武蔵野聖林学苑(えん)勤務時代に同僚教師だった妻・あずさ(松嶋菜々子)はそんな鬼塚に愛想を尽かし、「一刻も早く新しい就職先を見つけて、次の学校は絶対やめないって約束してくれる? もちろん“グレートティーチャー”とは何かって答えもちゃんと出してよね。それがダメだったら」と離婚届を突きつけます。

そんな鬼塚は、元教え子・宮澤龍之介(工藤阿須加)が出向職員として勤めている私立誠進学園に迎え入れられます。1年B組の担任になった鬼塚ですが、授業中も休み時間もタブレットばかりに目をやる生徒の雰囲気に戸惑いを覚えます。さらに鬼塚は、欠席が続く片山健太(森本陸斗)に不登校の理由を聞くため自宅を訪れますが、なかなか心を開いてもらうことができず頭を悩ませます。
『GTO』第1話 反町隆史、工藤阿須加

『GTO』第1話 反町隆史、工藤阿須加

平成のヒーロー・鬼塚英吉に“現実”を突きつけた第1話の冒頭

1998年版の鬼塚英吉は、型破りな面が目立つ一方で、心をぶつけ合うやり方で生徒の信頼を勝ち取っていきました。また「自分の生徒は命懸けで守る」が信条の鬼塚は、生徒がピンチに陥ったとき、どこからともなく現れて必ず救い出します。鬼塚英吉という存在は、アウトローではあるものの、スーパーヒーローと言えるかもしれません。だからこそ1998年当時、『GTO』に影響を受けて教師を目指した若者が増えたのではないでしょうか。
『GTO』第1話 反町隆史

『GTO』第1話 反町隆史

では、今回の鬼塚も変わらずスーパーヒーローと言えるのでしょうか? 第1話を鑑賞した限り、筆者は「ただのヒーロー」には収まらない「別の側面」を感じました。  

注目するべきは第1話の冒頭です。教師を辞め現在は客室乗務員として働く妻・あずさが自宅に帰ると、鬼塚が、彼女が大好きなハンバーグを作って迎えます。しかしあずさは、鬼塚の魂胆をいとも簡単に見破ります。勤務していた学校をまたもやクビになったこと、あずさのご機嫌取りのためにハンバーグを作っていたこと。見透かされてたじろぐ鬼塚――。

このやりとりは、スーパーヒーローの裏側を突いた描写と言えるでしょう。前述したように、鬼塚は生徒たちのピンチの場面で必ず登場します。なぜ先回りできるのか、どうしてその場所が分かったのか、どうやってそこまで来たのか。そうした理屈を、ドラマや映画のスーパーヒーローに突きつけるのは野暮です。

しかし第1話の冒頭では、どんな現場でも先回りして待ち構えている=あずさよりも早く自宅に着いて彼女を迎える、生徒を救う=あずさを労うために好物のハンバーグを作るといった“スーパーヒーロー展開”が、あずさの指摘によって次々と崩れていくのです。さらに「再就職」と「離婚届」というシビアな現実を提示することで、鬼塚の“ヒーロー性”を問い直したような印象を受けました。

鬼塚の主張にあえて疑問を抱かせる内容に?

『GTO』第1話 生見愛瑠

『GTO』第1話 生見愛瑠

鬼塚は新たな赴任先・私立誠進学園でも、以前と同じように生徒とぶつかり合うスタイルで臨みます。しかし、そうした鬼塚特有のやり方は“令和の教育現場”では、簡単には受け入れられません。

教師陣の指導方針も「かつて」と「今」とでは異なる部分が多数あります。不登校の片山健太をめぐり、教頭の中丸浩司(近藤芳正)が「今は、学校に来ることが絶対に正しいという時代じゃない」と言うと、鬼塚は「教師がそれをいっちゃあ、お終(しま)いだろう」とつかみかかります。
『GTO』第1話 反町隆史、宇梶剛士、近藤芳正

『GTO』第1話 反町隆史、宇梶剛士、近藤芳正

筆者はこの場面を見て「鬼塚の主張は確かに以前は正論だったかもしれない。しかし中丸教頭の“学校に来ることが絶対ではない”という考え方もまた、今の時代に現実的であり、状況によっては生徒の気持ちに寄り添っているともいえる」とも思えました。むしろ筆者のように、「絶対に学校へ来させる」という鬼塚のスタンスに少し違和感を覚える視聴者がいることも見越して「時代の変化」を描いているのではないかと推察します。
『GTO』第1話

『GTO』第1話

鬼塚は依然として、生徒のためなら体を張る教師です。その“強さ”も変わらずスーパーヒーロー的かもしれません。1話後半でも、“いつもの鬼塚英吉”を見ることができます。一方で、冒頭では鬼塚が抱える“弱み”を描き、さらに新たな学校生活でも熱意だけではどうにもならない状況があることを突きつけています。鬼塚の信念が令和の価値観とどう向き合い、どう変化していくのか。鬼塚の成長を描く物語になっていくのかもしれません。
『GTO』第1話 森本陸斗

『GTO』第1話 森本陸斗

文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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