実験中にスパーク?売れ筋レンジの開発秘話【ウラマヨ!】
2024.10.12
累計15万台売れているというその革命的な機能が、専用ボウルを角皿のレールに差し込んで、浮かせて調理する“うきレジ”。普通の電子レンジは直置きして温めるため、マイクロ波が底の部分に集中するなど、加熱のムラが生まれます。そこでボウルを浮かせることで、全ての方向からマイクロ波が食材に届きムラを抑えて調理時間も短く済むのです。
この革命的な商品を開発したのは、象印マホービン商品企画部の稗田雅則さんと、シニアアドバイザーの金井孝博さん。これまでなかった“浮かせる”というアイデアがひらめいた理由について聞いてみると、「我々がレンジについて全く素人だったからです」と稗田さん。金井さんも「どうやって浮かせたらいいのかっていうのが、多分ほかのメーカーさんでは発想が生まれなかったと思うんですね」と口をそろえました。
“加熱のムラをなくすには浮かせればいい”と気付いたものの、電子レンジについては素人だっただけに、そこからは失敗の連続。稗田さんは「どうやって浮かせるかというところで、最初は金属製の角皿で検証していましたらスパーク、火花が散って。ボウルもプラスチック製で検証したら溶けちゃいました(笑)」と恥ずかしそうに振り返っていました。
そうした試行錯誤を繰り返して角皿をセラミック、ボウルを耐熱性ガラスに変更し、浮かせるレンジが完成。ちなみに角皿をセラミックにした副産物として、レンジで食材の芯まで加熱し、その後自動でグリルに切り換えて表面を焼き上げる“レジグリ”という機能も生まれました。
また、17年ぶりとなる電子レンジの開発担当に抜擢(ばってき)されたことについて、吉田さんが「そこを任されるっちゅうのは、かなりのプレッシャーですよね、“どうしよう…”ってなりますよね?」と、それまで炊飯器の開発者だったという稗田さんの気持ちを察したところ、「そうですね、結構定年も近いんで…はい。もう先が見えてますから」と実は不安でいっぱいだったと告白。「“最後に変な感じになってもイヤやな”みたいな?」と小杉さんが尋ねると、「そうです(笑)。“穏やかに定年を”と思ってたらどうしようっていう…」とサラリーマンの悲哀を感じさせましたが、「最後に大功績あげられましたやん!」と称賛され、稗田さんは充実感たっぷりの表情を見せていたのでした。
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