食べてみよか

歴史の偉人も愛した奈良・吉野山の桜、お花見にぴったりなグルメ店3選

2025.03.29

歴史の偉人も愛した奈良・吉野山の桜、お花見にぴったりなグルメ店3選
山肌一面が桜色に染まり、古くから桜の名所で知られる奈良の吉野山。約3万本の桜(シロヤマザクラを中心に約200種)は、開花時期になると、低いところから、下千本・中千本・上千本・奥千本の順に開花し、約1ケ月間、お花見を楽しむことができます。

<2025年 桜の開花・満開予想日>
吉野山下千本    開花:4月2日    満開:4月8日
吉野山中千本    開花:4月4日    満開:4月10日
吉野山上千本    開花:4月6日    満開:4月12日
吉野山奥千本(西行庵付近)  開花:4月11日    満開:4月17日

※観桜シーズンの2025年3月22日(土)~5月6日(火・振替休日)は、吉野山周辺は交通規制されており、マイカー乗り入れ規制があります(例年、駐車場が少ない吉野山周辺は非常に混雑します)。
そのため、可能であれば、平日に公共交通機関を利用するのがおすすめです。
奈良交通バスの臨時運行もあります。詳しくは、吉野山観光協会HPをご確認ください。
吉野山観光協会HP:https://yoshinoyama-kankou.com/sakura/

なぜ桜の名所に?

画像提供:吉野山観光協会 相叶と花山を望む(中千本)

もともと山桜が多い地だったのですが、吉野山の桜は、信仰の桜です。修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が、修行の末、この地で金剛蔵王権現(こんごうざおうごんげん)を感得(かんとく)し、その姿を山桜の木で刻んだ故事にちなみ、桜は蔵王権現や役行者に対する信仰の証である神木として、信仰のあつい人々により献木されてきた歴史があります。

お花見とともに、役行者開基の金峯山寺(きんぷせんじ)では、世界遺産・国宝の「金峰山寺本堂(蔵王堂)」の秘仏本尊・金剛蔵王大権現3体が2025年3月28日(金)~5月6日(火)で特別開帳されていますので、ぜひ参拝も。

平安時代から鎌倉時代初期にかけて活躍した歌人・西行が愛し、豊臣秀吉が花見の宴を催した吉野山の桜を散策しながら、奈良らしい春を楽しめる周辺飲食店を3軒ご紹介します。

【矢的庵(やまとあん)】吉野の名水が生み出す絶品の手打ちそば

「矢的庵」外観

夢見の桜(ゆめみのさくら)がある大峯山護持院(おおみねさんごじいん)のひとつ「櫻本坊(さくらもとぼう)」の近くで、上千本エリアにある手打ちそばの名店「矢的庵(やまとあん)」。地元人が「ここは本当にうまい!」と太鼓判を押すほど、石臼挽(いしうすび)き八ヶ岳産そばと吉野山の名水で、丁寧に手ごね・手打ちしたそばは、香り豊かでコシがあり、のど越しも絶品です。

田舎ざるそばと天丼セット

信州で5年半そば修業をして、生まれ育った吉野山に戻ってきた店主の大矢貴司さんは、改めて「やっぱり吉野の水はええですわ」と地元の名水にこだわります。吉野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」は、2004年にユネスコの世界遺産に認定されましたが、この世界遺産エリア(吉野エリア)は湧水地が多く、名水の里として知られています。

そば湯

そば粉をこねる時にも吉野の名水を使用するのはもちろん、この水を使用した「そばつゆ」も大矢さんが吟味したかつお節・さば節・日高昆布で丁寧にだしを取り、国産の材料で焚(た)いたかえしをじっくり寝かしあわせて作ったもの。〆のそば湯を飲むと、そばの風味とつゆの滋味深さ、水のまろやかさを堪能できます。天ぷらも吉野の山菜など、地元奈良県産のものを多く使用し、サクッと軽やかな衣がおいしいので、お花見と一緒に桜だけではない吉野山の魅力に触れるランチとしておすすめです。

※3月29日~4月20日までの観桜シーズンは、予約不可

手打ちそば 矢的庵
住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山2296
TEL:090-2478-5834
営業時間:11:00~17:00(時期により変更あり)
定休日:不定休(春期間以降の手打ちそば営業は問い合わせ要)
※そばは手打ちのためなくなり次第終了の場合あり
公式HP:http://www.yamatoan.com/index.html

【ひょうたろう】事前予約がおすすめ!作った翌日がおいしい柿の葉すし

画像提供:「柿の葉すし ひょうたろう」店舗外観

金峯山寺の銅の鳥居(かねのとりい)の横で営む、下千本エリアの「柿の葉すし ひょうたろう」。創業から50年以上変わらぬ伝統の柿の葉すしを味わえます。お花見で食べるなら、事前予約をして、「前日製造希望」を伝えてください。なぜなら、柿の葉すしは作りたてではなく、1日寝かしてから食べるのがおすすめだからです。
“海なし県”である奈良の郷土料理「柿の葉すし」は、熊野灘でとれたサバを塩で締め、酢飯と一緒に柿の葉で包んだ押しずし。奈良県は、柿が特産品であり、柿の葉には抗菌作用もあります。ひとつひとつ柿の葉で包んであるので、外でお花見しながら、奈良らしさを満喫するのに最適です。個人差はあるものの、8個前後が1人前の目安です。(サバ・サケ 8個入り1,450円)

吉野地方では、5月後半から9月くらいまでの夏場のすしとして、昔から、夏祭りや田植えなどの“ハレの日”に家庭料理である柿の葉すしをみんなで集まって食べる習慣があったそう。

なぜ作った翌日がおいしいの?

画像提供:「柿の葉すし ひょうたろう」 伝統のサバの柿の葉すし

「できるだけ時間をおいてから食べていただきたいです。すぐ食べるのと1日寝かせるのでは味がまったく違います」と店主の水本さん。

昔は、サバが取れた熊野から吉野まで運ぶのに3~4日間かかりました。その間にうまみ成分が凝縮されたサバを薄切りし、すし飯の上に乗せ、柿の葉で包んだものを大きな杉箱にひとつずつ入れ、重石を置いて、1日寝かせてから食べられてきた歴史があります。

そのため、作りたてだと、すし飯、塩サバ、柿の葉の風味の3つがバラバラで調和が取れず、塩味もきつく感じられるのです。ひとつずつ詰めて押すことにより、めしの余分な空気が抜け、めし・塩サバ・柿の葉が一体になり、さらに1日寝かして味がよくなじんだ頃に食べるのが最もおいしいのだとか。

同店では、2~3日目でもおいしく食べられるよう、水本さんが吟味した国産米を使用し、鮮度が落ちないよう精米から1週間以内の米を使っており、サバも旬の時期に水揚げされた、ひょうたろう専用のサバを使っています。

諸説ありますが、江戸時代から先人たちの知恵が詰まった柿の葉すし。冷蔵庫もなく、物流も発展していない時代に海のない奈良県民が海産物を食べるための工夫がいっぱいです。

「なにかと作りたてがおいしい現代ですが、気持ちだけでも少しタイムスリップして、すぐ食べるのではなく、寝かせて待って、味だけではなく、柿の葉すしの歴史背景も知っていただければうれしいです」(水本さん)

柿の葉すし ひょうたろう
住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山429
TEL:0746-32-3070(受付時間:9:00~18:00)
営業時間:9:00~16:00 ※品切れになり次第終了
定休日:4月の観桜シーズン期間は無休(それ以外は、毎週月曜日)
11月・12月は毎週月曜日(月曜日が祝日の場合、翌営業日が定休日)
上記以外は毎週月・火曜日(月・火曜日が祝日の場合、翌営業日が定休日)
公式HP: https://hyoutaro.com/

【萬松堂】吉野山の桜を映したような名物「さくら羊羹(ようかん)」

画像提供:御菓子司 萬松堂 さくら羊羹

お花見といえば、花見だんごや和菓子などの甘い物は外せません。下千本エリアの明治創業のだんご屋「御菓子司 萬松堂」は、金峯山寺の仁王門前にお店を構え、吉野詣(よしのもうで)の参拝客をもてなしてきました。同店の名物は、まるで吉野山の桜の風景をそのまま映したかのような、美しい「さくら羊羹」です。

画像提供:御菓子司 萬松堂

ひとつひとつ丁寧に手作りされ、「山一面に広がる桜の風景を1年中楽しめるように」との思いが込められた「さくら羊羹」は、観桜シーズンのお土産として大人気で、売り切れ必須。吉野山を表した緑と塩漬けした桜を薄い桜色の錦玉羹(きんぎょくかん)に閉じ込め、山に満開に咲いた桜を表現しています。例年、桜の時期は行列ができるほどの人気ぶりです。

画像提供:御菓子司 萬松堂 さくら羊羹

お花見で気軽にテイクアウト!伝統の献上草餅&吉野本葛あいすも大人気

画像提供:御菓子司 萬松堂 献上草餅

店主の橋本さんが「お花見にぜひ」とおすすめするのが、同店のもうひとつの看板商品で、先代から受け継がれた「献上草餅」です。保存料、着色などの添加物は一切使用しておらず、1年を通して春に摘んだヨモギを使用することで、鮮やかで緑色が濃く、ひと口頬張るとヨモギの風味と香が口いっぱいに広がり、春を感じる逸品です。

「この草餅は、昭和天皇皇后両陛下をはじめ、皇室の方々に献上させていただいた歴史があります。皆さまも、訪れた際に召し上がっていただき、日本一の桜の名所・吉野山を楽しんでください」(橋本さん)

画像提供:御菓子司 萬松堂 吉野本葛あいす

お花見で歩き疲れた体にビタミンチャージで食べたいのが手作りの「吉野本葛あいす」(1本400円)。
奈良県の伝統的な食材で名産品である吉野本葛は、葛の根から取り出したでんぷんだけを原材料とする吉野地方で製造された葛粉(くずこ)のことで、古代から珍重されてきました。この本葛にピューレなどで味を付けており、後味もスッキリ。橋本さんのお花見におすすめの味は、さくら味や見た目も春らしいいちご(奈良県産のあすかルビー使用)味、キウイ味です。本葛のアイスは、溶けても形が崩れにくいので、食べ歩きにも最適です。

御菓子司 萬松堂
住所:奈良県吉野郡吉野町吉野山448
TEL : 0746-32-2834
営業時間 : 9:00-17:00 火曜日・不定休(4、11月は無休)
公式HP: https://mansyoudou.thebase.in/
miyoka
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