聞いてみよか

“みよか”おとなのカルチャー倶楽部~学んでみよか~初回レポート

2023.10.19

“みよか”おとなのカルチャー倶楽部~学んでみよか~初回レポート
10月15日(日)に開催した「“みよか”おとなのカルチャー倶楽部~学んでみよか~」のレポートをお届けします。会場はカンテレのすぐ近く、扇町公園南側に開業したi-Mall(医誠会国際総合病院)さくらテラス2階のセミナールーム。ガラス張りの部屋は秋の日差しが射し込んでとても清々しい気分で参加者のみなさまをお迎えしました。
このセミナーは、みよかのインタビュー記事と連動して、内容をさらに深く掘り下げ、直接お話を聞くトークセミナーとして企画したものです。

みよかの「天満のひと」は、天満界隈を中心に活躍されている方のインタビューシリーズです。初回に取材し掲載したのがクラフトビール「天満天神えーる」を製造している大阪渋谷麦酒の澁谷香名さん。(記事はこちら)
と、いうことで、大阪渋谷麦酒の社長で醸造家の香名さんをお招きしての初セミナー。トークテーマは『天満天神えーるが生まれた!』です。
参加者は20代から70代までの38名。大橋雄介アナウンサーの「乾杯!」の発声でみなさんと一緒にクイっとビールを飲んでからセミナーが始まりました。
天神橋筋商店街の寝具店に嫁ぎ、子育てを経て自らビールの醸造所を立ち上げた香名さん。藤井寺市を拠点に2022年からビールを醸造・販売。「天満天神えーる」はクラウドファンディングでの支援を募ったのち、今年の天神祭の時期に発売されました。ビール造りを始めた経緯や実際の醸造についてなど、大橋アナの進行でどんどんお話が進んでいきます。
もともとビール好きの香名さんは、夫の先祖、渋谷庄三郎が日本人として初めてビール醸造を手掛けた人物だったと知り、一念発起。渋谷麦酒の復活を目指します。
醸造を学び、昔パン屋さんだった実家の空き店舗を改造。床をコンクリートで塗り固めたり、排水設備を整えたりと、できることはなんでも自分で。ミニマムな資金で醸造所を立ち上げた話には参加者から感嘆の声があがります。
香名さんは「石見式醸造法」でビールを作ります。これは島根県江津市の「石見麦酒」が生み出した手法で、大きな食品用ビニール袋とチェストフリーザーを使用して発酵・貯蔵を行うことで、初期投資費用がかなり抑えられるということです。クラフトビールが人気の今、この「石見式」で製造するマイクロブリュワリーが全国に増えつつあるとのこと。
初めての仕込みはヴァイツェン。発酵がうまく進んでいるのかどうかが気になって、フリーザーを開けたり閉めたり。それを繰り返していたら、出来上がったビールは「とんがった」ヴァイツェンになってしまい、イメージしていた「ふんわり」としたビールからは程遠くがっかりしたそうです。香名さんは「ビール造りは子育てと一緒で、触らず、見守るということが大切なんだと実感しました」と体験を語ります。

その後、新型コロナウイルスの感染拡大という状況下で、寝具店のある天神橋筋商店街は活気を失っていきます。なんとか元気を取り戻せないか、ということで街を巻き込んでのビール造りを思い立ちました。
「天満天神えーる」は大阪天満宮の御神水と昆布を使い、3週間かけて発酵、醸造そして熟成という過程を経て出荷。1回あたり120Lの袋で330㎖のボトル約300本分を製造するということです。
住んでいる町が藤で有名だということで、大橋アナの「藤でもビールが作れるんですか」という問いかけに、「入れるタイミングを計れば、藤の香りを生かしたビールができますよ」とにっこり語る香名さん。会場からは「へえ~」という声が。

「子育ての次に夢中になれるものができて、ビール造りと出会えてよかったです。大阪にどんどん人がやってきて、天満・天神あたりを訪れた方がまた来たいと思ってくれるようなお手伝いがしたいです。みなさんがこのビールをもって、笑顔で幸せそうにこの街を歩いてくれたらいいな」と街への思いもあふれ出ます。
参加者からの質問もさまざま。「辛かったことは?」と聞かれ、「やめようと思ったことはないです。次の目標はタンクを大きくして、さらに広い醸造スペースを手にいれること。私にとって大阪のクラフトビールといえば箕面ビールさんなのですが、『北の箕面、南の渋谷』と並んで呼ばれるようになりたい。子どもに残せるような会社にしたいんです」と夢を語る香名さんに「その不屈の精神は大阪のエジソンですね」と声がかかります。

セミナー終了後、参加者のみなさんからは「時間を忘れるほど興味深いお話でした」「とても楽しかったです」「知らない世界を知ることができました」といった声が寄せられました。

大阪渋谷麦酒HP
miyoka
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