同じ景色を一緒に見よう。小型モビリティで手に入れる自由
2024.03.22
小型モビリティとは、自動車よりコンパクトな1人~2人乗り程度の車両のことです。その種類は歩行補助用具、原動付自転車、軽自動車となります。
各社が小型モビリティ開発を進めているのには、地球温暖化対策としてCO2削減が急務ですが、大気汚染物質を排出しないゼロエミッション自動車の開発・普及が求められている背景があります。(※ゼロエミッション=環境を汚染するような廃棄物の排出をゼロにすること)
それに加えてエネルギー需給のひっ迫も問題です。
その点においては、小型モビリティは電動なので、エネルギー消費効率はガソリン車の1/6程度、ハイブリッド車の約1/3程度と言われていますので、ゼロエミッションで環境にやさしいといえるでしょう。
また高齢化が進む中、シルバー世代の移動をサポートする社会的な役割を担う側面もあります。歩行が困難な高齢者の場合、徒歩圏内の外出などちょっとした移動などでも大変ですが、座ることができる低速モビリティで、歩道を走行できるものであれば、高齢者の自立的な移動がスムーズになり、お出かけする機会も増え、心身の健康増進にもつながることが期待できます。
そんな中、先日、カンテレ扇町スクエアでトヨタが開発した小型モビリティ・C+walk S(シーウォークエス)の試乗会が開催されました。2日間で約200名が訪れて試乗会は大賑わいでした。
C+walk Sの開発に携わるトヨタ自動車 CV Companyの濵﨑守さんにお話を聞きました。
C+walkシリーズはずいぶん前から開発検討されていました。2021年の11月に立って乗るタイプが発売され、2023年3月に今回みなさんに試乗していただいている、座って乗るタイプが発売されました。
トヨタが小型モビリティに取り組むきっかけは、トヨタ自動車がモビリティカンパニーに変革していくとなった時から、何をすればよいかを考えるようになりました。そこで、自動車以外の領域において、移動で困っている方の自由を実現するために、歩行や移動をサポートするモビリティの企画を検討し始めました。
電動車いすと呼ばれるものは何十年も前から他社が開発を進め対応していて、年間に約1万数千台規模の出荷台数があると聞いていました。
でも移動に困っている方はもっといらっしゃるだろうし、私たちにもできることがあるのではと考えました。
日本の高齢化は進んでいますし、身体の衰えとともに自動車にいつまでも乗り続けられないと考える方や、免許返納したほうがいいというムードが社会にあります。でもじゃあ、免許返納した後はどうすればいいの、と思う方に対応できる移動手段が必要になります。
そして、実はシニアカーって高齢者のためだけのものではない。歩いて行きたいけれど、それが困難な方もいらっしゃる。みなさんに移動する手段を提供し、生き生きとした生活をサポートできたらいいなと思っています。
自転車の走行を許可していない場所でのシニアカーの乗り降りはハードルが高いところもあります。歩いている人にぶつかるんじゃないかと不安に思うことは誰にでもあると思います。このようなモビリティの普及には、造っているメーカーだけが頑張っても広がらない。自治体や商店街や近隣の住民など、様々な方の理解があって初めて乗っていただくことができる。ただ、これからの取り組みになるので、ひとつずつ不安材料を取り除いていかないといけません。すべての方が行動範囲を拡げ、さらに豊かな社会生活を送っていただくためにも、理解してもらえるような活動を進めながら安全に利用していただける環境を作っていく必要があると考えています。
ー具体的にはどんな利用シーンが考えられますか?
ご自身の日常の生活エリアでの移動だけではなく、例えば観光地でも有効だと考えています。旅行先で歩きじゃないと行けない場所があって、そこに行くことをあきらめていた人が「私はC+walk Sに乗っていくから、あなたは歩いて行ってね」と同伴者とスピードを合わせて、一緒に移動しながら観光を楽しんでいただけます。
ちょっと上り坂があるところでおじいちゃんおばあちゃんが「私たちはここで待っているから、あなたたちだけで行ってきて」ということがあると思います。そんな時、これに乗れば一緒に目的地まで行けるし、みんなで楽しめるよという提案ができます。
すべての方に移動の自由を手にしていただき、より良い世の中になればいいなと願っています。
トヨタ自動車
CV Company
濵﨑守さん
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