『御曹司に恋はムズすぎる』最終回レビュー
前回、お互いの気持ちを確かめ合った昴(永瀬廉)とまどか(山下美月)。最終回である今回は2人の恋以外にも、子供服部門の存続、昴と友也(西畑大吾)の友情、そしてまどかと実の母・東雲社長(筒井真理子)の関係の行く末なども気になる回でした。
子供服部門のメンバーは、廃止される前になんとか結果を出そうとアイデアを練ります。服天らしい子供服を作るためには、友也の協力が欠かせないと考えた昴は、すでに会社を辞めると決めていた友也に会いに行くことに。ぶつかり合って心が離れてしまったように見えた昴と友也でしたが、「辞めるの、やめてくんない?」と持ちかける昴に対し、友也は「また昴と一緒に服が作りたい」と涙します。2人が「もっと本音を言い合える関係に」と、再び友情を築こうとするシーンに感動でした! そしてやっと友也の笑顔が見られてほっとしました。友也は服天の辞職を撤回し、子供服部門に戻り強力な戦力として商品開発に取り組みます。
そして、子供服部門の存続をかけた新作ローンチイベントで、リバーシブルジャンパーを紹介した昴。ドラマ初回のボクサーパンツのローンチイベントのときよりずっと頼もしく、服づくりへの情熱や、着る人のことを考えた説得力のある内容で、昴の人としての変化や成長を感じました。
イベント終了後、子供服部門のメンバーが新作の受注数を確認しているところに、突如現れたのは天堂家の執事・リチャード(芹澤興人)です。リチャードは、役員会議で子供服部門の存続が決まったこと、そして東雲がすべての役職を退任することを報告しました。
リチャードの話から、なぜ東雲が亘(鹿賀丈史)を解任して会長職を兼任したのか、さらに友也を秘書にしプレミアム部門を任せようとした理由が明かされます。そこには、会社や社員たちを大事に思う亘と東雲の、密かな計画があったのです。まだ見ていない人は、ぜひ見逃し配信で楽しんでください。
東雲が会社を去ると知ったまどかは、昴に促され、東雲を追いかけて話をしようとします。今回、私的に最も感動的だったのは、まどかと東雲が和解するシーンでした。東雲があえて厳しい社長として、子供服部門に試練を課した理由を知ったまどか。しかも、幼いまどかが服天の服を好きになるきっかけを作ったのも、実は東雲だったのです。
東雲がまどかを置いて家を出た理由ははっきりとは明かされませんでしたが、まどかのもとを離れても、母親として子どもを大切に思っていたことがわかり、感涙のシーンでした。それでも東雲があえて「覚えていないわ」と言うのは、幼いまどかを置いてきてしまった自分への厳しさなのではと感じました。
自分の素性を隠しながらまどかの入社を喜ぶ母としての表情や、まどかに「お母さん」と呼ばれ振り向かず静かに流す涙から、東雲なりのまどかへの愛情が伝わってくるようでした。
さて、物語の最後には、昴がまどかの誕生日を祝うシーンが。なんとも豪華なごちそうは、すべて昴が準備したもの。味噌汁も作れなかった昴が、ここまで料理の腕をあげたことにびっくりです。テーブルには、まどかの大事なプチトマトもたっぷり盛られています。すてきなレストランのディナーもいいけれど、こんなふうに愛情たっぷりにお祝いしてくれる恋人との時間は、まどかにとって何よりもうれしいのではないでしょうか。
自分たちらしく愛を育もうとする昴とまどか。にこにこと幸せいっぱいな微笑みを浮かべながら、そっとキスをする2人に、幸せのおすそ分けをもらいました。わがままだった御曹司と、倹約家の庶民派女子、お互いのいいところを認め合えるすてきなパートナーになる予感がします。
なんとも心があたたかくなるハッピーエンドで本当によかったです〜! 笑えるラブコメディでありながら、心に響く人間模様も描かれた見応えあるドラマでした。主演の永瀬廉さん、ヒロインの山下美月さん、そして小関裕太さんや西畑大吾さんたち、俳優陣のすてきな姿に目にも幸福な栄養をもらっていました。毎週火曜の夜、楽しさとドキドキをありがとうございました!
文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども1人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。
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