『北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。』第3話レビュー
老若男女問わず全ての人の心をトリコにしてしまう北くん(岩瀬洋志)を33%ずつシェアする協定を結んだ南(本田 翼)、東子(志田未来)、西野(増子敦貴)。今回は、ささいなことから南と東子が大げんかをして、33%の会に解消の危機が訪れるという内容。さらに西野に思いを寄せる女子中学生が現れたり、西野に人間不信になった過去があったことに触れられたりと、盛りだくさんなエピソードがテンポよく展開して、笑ったり驚いたりしていたらあっという間に30分が過ぎていました。
個人的にこのドラマの好きなところは、アグレッシブな女性たちが好き放題に言い合ってけんかするシーンが見られること。同居人でありながら恋のライバルでもある南と東子が、お互い遠慮なく「余裕ぶってんじゃねえぞ!」「南は私が必死に料理を作ってるのだってバカみたいだって思ってるんだよ!」などと思いっきり言い合うシーンはすがすがしさすら感じます。
さらに、西野に思いを寄せる中学生・天(横溝菜帆)が登場。南を西野の彼女だと勘違いして、突然南を「おばさん!」と呼び止め、「目もとのシワ、大丈夫ですか?」「あなたはあぶらが抜けてカッスカス!」などとののしります。完全に八つ当たりの悪口ですし、南からすればもらい事故のようなものですが、天のあまりの言いっぷりに「そこまで言う?!」と笑えてきます。“炎上”や“コンプライアンス”が気になる時代、南や東子や天が、人にどう思われるかなどお構いなしに発言する姿を見ていると、なんだかスッキリ! するんですよねぇ。
さて、第3話の見どころの1つは、北くんと中学生男子の野球対決だったのではないでしょうか。ことの発端は、天に片思いをしているらしい中学生・大地(橋本和太琉)が、北くんのことを西野だと勘違いした上に、北くんが書店前で東子と仲よさげにしている様子を目にして、「二股だ」と怒ったところから。天のことが心配な大地は、部活の練習中に北くんを見かけ「おまえが俺の球を打てなかったら天に手を出すな」と勝負を挑むのです。
大地は「俺はこの手で天を守る!」と決意を込めて投球しますが、北くんはそのボールをあっさりとホームラン。ベース間をさわやかに走り抜ける北くん、カッコイイ! と思ったのもつかの間、つまずいて転んでしまいます。そこへ、北くんを探しに出ていた南・東子・西野が見つけ、駆け寄りました。
そこで大地は初めて、北くんを西野だと思い込んでいたことに気づきました。さらに北くんは男女3人と同時につきあっているという事実を知った大地は驚き「3人もいっぺんに? そんなの許されない、めちゃくちゃだ!」と批判します。そんな大地に、北くんが言った「心は自分だけのものだよ。周りにどう言われたって、好きな気持ちは止められないものだから」という言葉が印象的でした。北くんはいつもニコニコしてめったに話さないけれど、たまに口を開くと核心を突くようなことを言う人です。そういうときは、いつもより声のトーンが低くなるのもとても魅力的だと感じました。
野球対決から帰宅し、元の共同生活に戻った4人。そのおしゃべりの中で、東子と南は素直に「ごめん、言い過ぎた」とお互いに謝り、仲直り。北くんの愛をシェアするために同居し始めた関係だけれど、友情も育まれているように感じ、ほっこりしました。言いたいことを全部相手にぶつけた上で、自分の非を認めて謝ることができるなんて、すてきな関係です。
第3話の最後には「迫り来る魔の手・・・」というナレーションと、4人が住むマンションの集合ポストに怪しげな手紙が入れられるシーンがありました。「魔の手」とは一体何のことなのでしょうか。そして、西野の過去や、北くんが持っている謎のペンダントも、今後気になるところです。
文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。子育て系やエンタメ系記事の取材・ライティングを行う。
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