見てみよか

女子高校生と教師が“禁断の恋”「先生を好きになるのは罪ですか?」教師が見せた“男”の顔「キスされて嫌じゃなかった」 ―『ぼくほし』第7話レビュー

2025.08.25

女子高校生と教師が“禁断の恋”「先生を好きになるのは罪ですか?」教師が見せた“男”の顔「キスされて嫌じゃなかった」 ―『ぼくほし』第7話レビュー
磯村勇斗さん主演の月10ドラマ『僕達はまだその星の校則を知らない』(カンテレ・フジテレビ系)の第7話が8月25日に放送されました。

▶今回のテーマは「教師と生徒の恋愛」、鍵を握る保健室登校の少女

『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 左:巌谷光三郎(淵上泰史) 右:島田聖菜(北里琉)

『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 左:巌谷光三郎(淵上泰史) 右:島田聖菜(北里琉)

本作は、少子化の影響で男子校と女子校が合併し、共学となった私立濱ソラリス高校に「スクールロイヤー」として派遣された弁護士・白鳥健治(磯村勇斗)が、学校内のさまざまな問題に法の視点で向き合うドラマです。
第7話のテーマは「教師と生徒の恋愛は罪か」。

メインとなる生徒は2年桜組の島田聖菜(北里琉)。合併後、保健室登校を続けている女子生徒です。演じるのは、雑誌「Ray」でモデルとして活躍する北里琉さん。生徒役では最年少の16歳、本作が初めての連ドラレギュラー出演となります。
これまでもアンニュイな雰囲気をまとった島田を好演していた北里さん。第7話では、「先生に恋をした」大人びた島田を巧みに表現していました。

▶挙動不審な健治、“恋バナ”で盛り上がる教師

第7話冒頭、濱ソラリス高校の校門前では、生徒指導を担当する山田美郷(平岩紙)が登校してくる生徒にあいさつをしていました。健治も出勤してきましたが、想いを寄せる国語教師の幸田珠々(堀田真由)を思い出し、校門前で足を止めてしまいます。そこへやってきた珠々が、山田とあいさつ当番を交代。

珠々に「おはようございます」と声をかけられた健治はあいさつを返したものの、どこかそっけなく……。そのまま校内へ向かうかと思いきや、足を止めてウロウロしながら珠々をチラ見しています。
第6話で珠々を意識しすぎた健治は挙動不審になっていましたが、第7話でも相変わらずでした。

健治と珠々をどこかの“家政婦”のように見ていたのが、山田です。職員室で山田は珠々に「健治と何かあったのか」と聞きます。副校長・三宅夕子(坂井真紀)も合流し、恋バナで盛り上がり始める3人。恋バナに、年齢も職業も関係ないのですね。

しかし、盛り上がりつつも「学校内の恋愛は気をつけて」と、山田は念押しを忘れません。個人的には、緩すぎず厳しすぎず的確に助言できる山田が同僚だったら、心強いだろうなと想像します。
『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 左:白鳥健治(磯村勇斗) 右:幸田珠々(堀田真由)

『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 左:白鳥健治(磯村勇斗) 右:幸田珠々(堀田真由)

▶「一緒に帰りたくて」不器用だけどストレートな健治の想い

その日の夜、健治と珠々は2人で帰路につきました。待ち伏せの仕方は怖いし、待ち伏せの口実も下手だし、待つ相手が珠々でなかったら通報されていたのでは……と心配になります。そんな不器用な健治がいじらしいといえばいじらしいのですが。

「......本当は待っていました。一緒に帰りたくて。」

いざとなったら素直に思いを言葉にできるのが、健治の強み。こんなことを言われてみたかった人生でした。

▶事件発生“教師”が生徒に淫行疑惑 警察が任意同行

事件が起きました。3年葵組担任・巌谷光三郎(淵上泰史)が青少年保護育成条例違反の容疑で警察に任意同行を求められたのです。午後11時過ぎに出歩いていた島田が補導された際、巌谷の自宅に向かっていたのが発覚したためです。

校長・井原久(尾美としのり)が「生徒と教師が個人的に連絡を取り合い、学校以外の場所で会うだけで十分罪だ」と発言していましたが、筆者は「そうなの?」と思ってしまいました。筆者の高校時代、「先生にご飯をおごってもらった」「2人で出かけた」みたいな話がざらにあったためです。

さすがに未成年者との性交渉が犯罪なのは、分かります。しかし、「ご飯をおごるのもアウト」なのであれば、高校当時の筆者の周囲は条例違反だらけだったと戦慄(せんりつ)を覚えました。認識を改めなければならないと身が引き締まる思いです。
『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 巌谷光三郎(淵上泰史)

『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 巌谷光三郎(淵上泰史)

▶「キスされて嫌じゃなかった」教師が初めて見せた“男”の顔

巌谷は、母親と上手くいかず、家庭に居場所がない島田のことを気にかけていました。夏休み中、不安定な母親の発言が引き金となり家を飛び出してきた島田を保護。翌日、父親に引き渡した巌谷の行動は責められるべきではありません。

しかし、個人的に連絡先を渡す、その後もやり取りをするなど巌谷にも反省すべき点がありました。とはいえ、筆者は途中まで、巌谷は島田の行動を「子どものすること」として、まともに取り合っていなかったのではないかと考えていました。

だから、巌谷が「島田にキスをされて嫌じゃなかった」「守りたいと思った」と健治に伝えた時は、思わず「そうなの!?」と声が出てしまいました。
筆者と巌谷は世代が変わらないのですが、自分が巌谷の立場になったら男子高校生に対して同じ気持ちを抱くのか。頭で考えても答えが出ませんでした。理性は働くだろうとは思いますが……。
『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 左:巌谷光三郎(淵上泰史) 右:島田聖菜(北里琉)

『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 左:巌谷光三郎(淵上泰史) 右:島田聖菜(北里琉)

▶「好きになるのは罪?」少女の問いと、スクールロイヤーの答え

島田は、保健室で健治に「先生を好きになるのは罪か?」と聞いていました。健治は「“好き”は犯罪ではない」としつつ、「その付き合いに婚前交渉が含まれたら犯罪になる」と説いていました。
心の中の自由が法で認められているのは、目から鱗(うろこ)でした。感情のあり方も法で守られているのですね。

健治の説明を聞いた島田の「好きになったらその人のこと知りたくなるし、知ってもらいたくなる」との発言には、「危ういな」と嫌な予感がしました。
夏休み前から島田が巌谷に視線を送っている様子が描かれていましたが、なんとなく「憧れているのかな」くらいに感じていたので。思った以上に「巌谷に本気なのかも」と感じた台詞(せりふ)でした。
『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 白鳥健治(磯村勇斗) 

『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 白鳥健治(磯村勇斗) 

▶恋の代償は“退職”すれ違う2人

島田は島田なりに、巌谷へ懸命にアプローチをしていたのでしょう。結果として、巌谷は学校を離れることになりました。島田は巌谷が学校を離れる原因が自らの「親」にあると考えていましたが、個人的にはこの思考も危ういなと思ってしまいました。

「淫行疑惑で任意同行された」事実は、解雇されるには十分な理由なのではないかと筆者は考えます。健治は、解雇に反対していました。しかし、校内でも噂(うわさ)になりつつあった状況を鑑みると、今回の巌谷の処遇は適切だと思います。

そもそも島田が補導されるような行動を取らなければ、巌谷が任意同行を求められることはありませんでした。
ここを島田が理解していなさそうな描写に、筆者は「ムムス」となりました。年齢的に仕方ないのかもしれませんが……いつか、理解してくれたら良いなと思わずにはいられません。
『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 白鳥健治(磯村勇斗) 

『僕達はまだその星の校則を知らない』第7話 白鳥健治(磯村勇斗) 

▶「全部見返すような大人になれ」退職した教師が生徒に託した最後の言葉

第7話ラスト、巌谷は島田にエールを送りました。

「親も、僕のことも、全部見返すような大人になれ」

今、島田は学校生活のほとんどを保健室で過ごしています。同級生の男の子が苦手な理由も分かりましたが、できることなら保健室の外の世界も見てほしい。いろいろな世界を見て、触れて、視野を広げて、心を育てて、「全部見返す大人」になってくれることを祈ります。

取材・文:宅野美穂
都内在住のライター。主に、インタビュー記事を執筆。本とゲームと音楽が好き。
miyoka
0