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福(桜田ひより)が病院で号泣! その涙の理由【あの子の子ども】

2024.07.23

福(桜田ひより)が病院で号泣! その涙の理由【あの子の子ども】

『あの子の子ども』 第5話レビュー

5話は涙腺崩壊した回でした。これから見る方はどうぞ箱ティッシュをご用意ください。

宝(細田佳央太)に妊娠検査薬で陽性反応が出たことを伝えた翌日、再び前に行こうとしたクリニックに一人で訪れた福。前回のように帽子やマスクを身につけていない様子から、福の決意を感じました。改めて問診票に記入する福。問診票の「出産を希望していますか?」という欄は「出産希望・中絶希望・未定」のいずれかに丸をつけなくてはいけません。
福の心には、保健の授業で受けた「人工妊娠中絶は新しい命を奪う行為」という言葉が深く残っているようで、丸をつけることを少しためらっているように感じました。
そして福は「逃げたい」けれど「私は私からは逃げられない」と勇気を出して診察室のドアを開けます。
福の診察にあたったのは院長の野田由紀(板谷由夏)。てきぱきと説明をしながらも、優しさを感じる人。福が少しずつ話す言葉を待って、否定せず聞いてくれる野田先生には、安心して信頼して心配ごとを話せそうです。
野田先生は、福の不安に対し「逃げずにやるべきことをやったあなたにとって、中絶とは妊娠する前の状態に体を戻すこと」と言います。親や学校に連絡がいくことを恐れアフターピルをもらわずに逃げてしまった、と苦しい胸中を話す福に「親や学校に知られたくないという思いは当然。そうならないことをホームページや受付に明記しなかったこちらの責任」とも言ってくれました。
福と宝が避妊をしていたこと、失敗に気づいてアフターピルにたどりついたこと、そして妊娠検査薬で調べて受診したことを「完璧」と認めてくれた野田先生の言葉に、福は声を上げて泣き始めます。見ている私の涙腺も崩壊。野田先生は、孤独で不安で自分を責めていた福を、暗闇から引き上げてくれたようでした。こんなふうに受け止めてくれる存在がいると、きっと前へ進む力になると思います。野田先生は、福に「あなたがどんな選択をしても、だれにもあなたを責める権利はありません」という言葉を2回伝えます。自分の体のことだから、福自身が納得して選択をすることが大事なのだと感じました。
そのあと福が神社の境内で思いを巡らせていると、そこへ突然宝が現れます。電話に出ない福がいそうなところを探したのだ、と。「ありがとう、ここにいてくれて」と言う宝を、泣きそうな目で見つめる福の表情がたまりません。

宝はリュックからノートを取り出すと、今の福の体の状態について調べたことを説明しはじめました。中絶する場合はどうなるのか、妊娠継続する場合はどうなるのか、学校には通えるのか、ということまでも。出産するなら、自分は部活はやめて働いて健診や出産費用をなんとかする、と。さらに、こんなことでも全然半分こにならない、と涙する宝。その言葉に、自分よりも福のことをずっと大切に思っていることが伝わります。中絶だけでなく出産も選択肢に入れて、2人の未来を考えている宝の人間性に感動しました。このシーンで、福と宝の心がさらに強い絆で結ばれたように感じました。
5話では実際に産婦人科を受診するときの状況などが描かれていたこともよかったです。福が問診票に記入するシーンではどんな項目があるのかがわかったし、内診室の様子や内診台もリアルに再現されていました。内診台は、座ったあとに医師が診察しやすいように回転して上昇しながら動くのですが、初めて座るときの「えっ動くの!? 上がるの!? 足が開くの!?」という驚きが、福の表情からすごくリアルに伝わりました。

さらに、妊娠週数のややこしい数え方や、人工妊娠中絶の方法も解説され、産婦人科を受診しても病院から親や学校に連絡することはない、との説明もありました。こんなふうに、大切な情報をドラマでわかりやすく伝えてくれると、若い世代の人にとって貴重な予備知識になるのでは。そして、これまでも毎回感じていましたが、今回の福の涙を見て改めて、大人が思春期の子たちに性の知識を伝えることの責任を重く感じました。
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文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。
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