制作期間約1年、意外と気づかれていない年賀状デザイン
2024.10.27
手がけているのは、日本郵便に所属する切手デザイナーのみなさん。年賀はがきをはじめ、全国に出回る8億枚以上の切手を、たった7人(2024年9月現在)で担当しています。切手デザイナー歴25年の丸山智さんに、年賀はがきの制作秘話を教えて頂きました。
「限られた条件でどれだけお客様に楽しんでいただけるか」
切手デザイナー歴25年・丸山智さん/2024年10月
「料金額を示す切手の部分」という役割ではありますが、そこに新春のおめでたさやその年のえとを表現したり、さらに楽しい工夫があればお客様により年賀状を楽しんでいただけるのではないか、注目していただけるのではないかという思いで取り組み始めました。
―周りからの反響は?
初めてご注目いただいたのは、やはり2015用ひつじ年です。2003年用ひつじ年の年賀はがきとの関連性に気づかれたお客様がいらっしゃり、ネットニュースで話題となりました。それより以前も、切手部分(料額印面)と消印、下部カットに関連性を持たせたり、さまざまな工夫をしてまいりました。私が担当したもので思い出すのは、2002年用うま年です。当時は、各種年賀はがき共通としていた下部カット(お年玉)を担当しました。”うま”年にちなんで絵”馬”を描き、事務担当官(郵政省時代)から、「“うま”年だから絵“馬”なんだね!」と笑ってもらいました。
2002年(平成14年)うま年の年賀はがき/切手デザイナー・丸山智さん制作(下部カットのみ)
えとによってはアイデアが豊富に出る年もあれば、その逆もあり、難しい年はみんなでアイデアを絞り出すのが大変です。例えば「猪目(いのめ)」のように日本古来から使われている模様は、実は現在の「ハート型」によく似ています。そのようなところからもデザイン案のヒントを得ることもあります。最終的には、必要なデザイン数の3倍以上の案を用意し、社内会議などを経て、翌年の年賀はがきのデザインが数種類決定します。デザイン制作から校正、印刷など、販売されるまで約1年間かかります。
―どのような時にやりがいを感じる?
年賀はがきのデザインは表面だけでいうと、「切手の部分(料額印面)」「消印」「下部カット(お年玉)」の小さな3か所です。基本的に赤一色で、制約も多くありますが、限られた条件で、どれだけお客様に楽しんでいただけるか、デザイナー全員で取り組んでいます。その工夫や思いがお客様に伝わったとき、とてもやりがいを感じます。
―読者のみなさまに伝えたいこと
メールやLINEなど個人間通信がスピーディーで便利になっていく中、温かみのあるやり取りが「郵便」だと思っています。みなさまも郵便で思いを伝えていただければうれしいです。
2025年は1枚の年賀はがきに仕掛けが4つ
来年のへび年は、1枚の年賀はがき(無地インクジェット紙)に4つの隠れメッセージがあるとのことですが、みなさんはもう見つけられましたでしょうか。
2025年(令和7年)へび年の年賀はがき/無地インクジェット紙
② 【消印】…令和「7」年の数字をへびの姿で表現
③ 【お年玉】…「へび」の文字を紅白のへびの姿で表現
④ 【お年玉】…「ヘビ」の隠し文字
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