食べてみよか

「夏バテ防止~エスニック麺で乗りきろう!」わかぎゑふの料理コラム✨

2024.06.30

「夏バテ防止~エスニック麺で乗りきろう!」わかぎゑふの料理コラム✨

夏バテ防止~エスニック麺で乗りきろう!

 そろそろ夏ですね、暑くなってきました。皆さんは夏になると食が細くなるってことがありますか?エアコンが効いてる場所が多いので、そんなこともなくなってきたのかもしれませんが、どうぞご自愛くださいませ。
 
 夏といえば遠い昔の話になりますが、20代の半ばに大阪に戻ってきたときのことを思い出します。21歳の時に東京の劇団の研究生の試験に受かって上京し、6年ほど住んでおりました。よく「芝居してる人って貧乏なんでしょ?」と聞かれますが、はいもうそのとおりです!貧乏でしたねぇ。いや貧乏っていうか、自分のしたいことをやって金がないのだからそんな感覚もありませんでした。
 朝からバイトに行き、夕方から研究所にレッスンに行く毎日。もちろん研究所の生徒ですからお金を払っていくわけです。芝居の本番前ともなれば衣装やら小道具も自前で、地元の子よりも友達が少ないのでチケットノルマも思うようにはハケず、結局売れなかった分は劇団に借金として自分で支払う。それどころか先輩の芝居のチケットも買わされたりして、お金は出ていく一方で、一円も貯めることなんてできない生活が続きました。東京にいるのだから見たい芝居が思う存分見られると思ったら、それどころではない日々。食べる物を節約して見に行ってましたが…。
 それでも年に一回くらいは帰阪したい気持ちもあってお正月にはなけなしのお金を使って大阪の友達に会いに帰りました。毎年ではないですが…そうです帰って来ると言っても年末年始なので冬だったのです。
 それがある年、彼氏にふられたことがきっかけで大阪も戻ることになったのが真夏でした。5年間体験してなかった大阪の夏…あの時の私は自分を過信していましたね。東京ってところは暑いには暑いのですが、夕方になると風が通って、意外と過ごしやすいのです。
だからいきなり蒸し風呂地獄のような大阪に戻ってきて、あれよあれよという間に体力が落ちて食事が食べられなくなり、下痢になり、体重なんて落ちたことなかったのにげっそり痩せて点滴を打ちに医者に行く羽目になりました。その時に病院の先生に「君、なんでもええから食べや。そうめんとか、果物でもええから」と言われて、なんとなく買ったのが「三輪そうめん」でした。
 それまでは、そうめんの高い安いなんて気にもしてなかったのですが、いざ手延べの三輪そうめんを食べてみたら「なんじゃこりゃぁぁぁ?」という食感に感動しました。食が細くなっていた私の喉をつるつると通っていくあの感覚。「ええ~そうめんって、食べられる」という感動!それ以来私は麺道に溺れたと言っても過言ではありません。
  今ではそうめんはもちろん、うどん、そば、各種パスタ、袋麺からカップ麺まであらゆる麺を的確にアルデンテにし、おいしくいただく技を身につけ、家族や友人から「麺クイーン」の呼び名を欲しいままにしております!中にはわざわざ袋麺を買ってきて作ってほしいという劇団員もいるくらいです。

 そんな私の夏バテ防止のおすすめ麺は、ここ数年ビビンそうめん」です!
韓国のビビン麺もおいしいですが手に入れるのが大変な場合もあるので、そうめんで代用する和風韓国麺というところでしょうか。ビビンそうめんは普通のそうめんよりもピリ辛で、野菜をふんだんに食べることが出来るので、蒸し暑い関西にはぴったりの夏バテ防止麺と言っていいでしょう。
 作り方はいたって簡単です。きゅうりやハムの千切り、煮卵などの具をゆでて水洗いしたそうめんに乗せて、タレをかけるだけ。要するに韓国風ぶっかけそうめんです。ただしおすすめは少しお高くても絶対に三輪そうめんです。どこがいいかと言いますと、三輪そうめんは多少ゆですぎても細くしなやかな食感が損なわれないことです。夏の麺にとって最強のアイテムと言えるでしょう。またビビン麺はタレにお酢やにんにくも入るので夏バテ防止にぴったりと言えるでしょう。その上うどんパスタよりもローカロリーです!
 あの点滴を打って寝込んでいた若いころの私に教えてあげることが出来たらと思うと、それだけが悔しいと言えるでしょうか。ともかく皆さん!夏バテを軽視しないようにしてください。いったん食べられなくなると、本当に体力が落ちますのでね。「ちょっと痩せていいかも」なんて思ってる人が居たら言語道断です。夏バテで痩せるとお肌もシワシワになっちゃうので、あなどらないでください!
年々気温が上がっていく中で、夏の初めにしっかりとケアをすることが自分をきれいにしてあげるコツですよ。
【ビビンそうめん】 ※1人前
≪材料≫
・三輪そうめん 1~2束(「お腹がすいてるなぁ」という感覚なら2束)
・きゅうり 2分の1 千切り、またはスライサーで薄い輪切り
・ハム 薄めのハム2枚くらい千切り(お好みで鶏ハムやシーチキンでも可)
・卵 ゆで卵、温玉、千切り(お好みのまま)
・白菜キムチ (お好みで)
・ニンジン 千切り (お好みで)
・タレ コチュジャン(大さじ1)みりん、しょうゆ、酢、ごま油 (大さじ2分の1)
・鶏ガラスープのもと(少々)★鶏がらスープがなければしょうゆの代わりに麺つゆでも可

≪作り方≫
①ボウルにタレを合わせて作る。
②野菜とハムなどを切って、冷蔵庫で冷やしておく。
③そうめんをゆでて(約2分ほど)、流水で洗う。
④器に盛って具材を乗せ、タレをかける。レモンなど添えるのもいいです。
【おまけ~トロトロ煮卵の作り方】
①卵は常温に戻しておく。(冷蔵庫に入れてたものは1時間くらい出しておく)
②沸騰したお湯で7分ゆでる。時間厳守!
③冷水に取り(出来たら氷水に)30秒から~50秒ほど冷やす。
④皮をむき、ジップロックなどに水1、麺つゆ3分の1、白だし少々のタレに漬けて2時間ほど置く。
★多めに作って冷蔵庫に入れておくと3~5日くらいは持ちます。
わかぎ ゑふ(劇作家・演出家)大阪府出身。
関西小劇場界の老舗劇団、「リリパットアーミーII」2代目座長。
芝居制作処、玉造小劇店の代表。
大阪弁のオリジナル人情劇を数多く手掛けている。古典への造詣の深さも有名で
落語、歌舞伎、新作狂言の作、演出や衣裳デザインなども手掛ける。
小劇場から大劇場まで縦横無尽に活躍する数少ない女性演出家の一人。
エッセイも多数出版。2023年には大阪市民表彰を受賞した。
miyoka
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